https://www.apple.com/jp/logic-pro/what-is/
DTM 、または DAW のシーケンサーで曲作りを行う時に、音符を入力する方法が大きく分けて2つあります。それは【ステップ入力】と【リアルタイム入力】です。
この2つの録音方法は、楽器の演奏が得意、不得意、または出来る、出来ないなどを中心に様々な話題が繰り広げられますが、今回はそれぞれの機能の特徴や使いどころなどを考えてみたいと思います。
目次
ステップ入力とは?
自分でリアルタイムに弾いて録音せず、マウスやMIDIキーボードなどを使って音符を置いていく方法です。マウスの方が直感で打ち込みやすいですが、DAW用のMIDIキーボードであればベロシティに対応してるので、音の強さも入力段階で反映させれます。
主にドラムのリズムなどを打ち込む時に利用されますが、基本的なリズムのループを作成する時などにも手早く打ち込めるので重宝します。
限られた画面サイズで制作を行う iPad/iPhone の作曲アプリなどにも、この方法はよくメイン機能として搭載されていますが、PCと違って画面に直接手を触れて入力していく事になります。
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冒頭でも少し触れましたが、打ち込みの基本楽器であるキーボードが弾けない人にもやさしい入力方法でもあります。鍵盤楽器が苦手なギタリストやベーシストなどが、ドラムのパートはもちろん「ストリングス」や「オルガン」といったキーボードパートを【MIDI入力】で打ち込む時にもステップ入力は役立ちます。
https://www.mi7.co.jp/products/presonus/studioone/explore/
それから人間では弾けないような機械的なフレージングなどにも有効です。例えば音程が高速で広範囲に飛躍するチップチューンなどのアルペジオ、正確なリズムでビートを刻みたい、などその使い方は人によって様々です。主に EDM と呼ばれるダンス系のビートメイキングの定番方法となっています。
エレクトロニック・ダンス・ミュージック - Wikipedia
リアルタイム入力とは?
上記のステップ入力の逆で、人の手で楽器の音を直接弾いて録音していく方法です。これらはギターやベース、歌声などの生楽器と言われる音を直接入力する【オーディオ録音】と、DTM (シーケンサー) の中に入っている音色をキーボードで弾いて打ち込んでいく【MIDI 入力】という方法があります。
オーディオ録音
オーディオ録音の特徴として、外部の音をマイクなどを使って【音の波形】としてダイレクトに録音する事になりますので、録音した音の改変は【MIDI 入力】と比べて色々制限されます。
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本来であれば、このように波形で録音されるギターやボーカルなどのオーディオトラックは、ピッチを変えるとテンポにも影響が出てくるため修正が難しいものでした。
各 DAW の性能にもよりますが、今ではピッチ補正やリズムのタイミングなどを修正出来る機能も搭載されるようになりました。便利な世の中になったものです。
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ボーカルが歌声を何度もリテイクする理由の一つとして、メロディの「音程」はもちろん「自分がイメージしているニュアンスを目指す」ということが上げられます。極端な例で言えば「もっとやさしく」「ここは少し怖く」「女の子らしく可愛い感じで」など。
このようなニュアンスや感情表現は、後から機械でどうこうできる部分ではありません。なので出来る限り原音の録音段階でベストを尽くします。
ピッチ補正
前述したように、音程に関しては近年のソフトウェアの技術の発達により後からでも修正が可能となりました。【ピッチ補正】などと呼ばれる機能がそうです。
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範囲を指定して、鉛筆ツールなどで補正値に近づけるといった使い方が基本です。
誤摩化す、と言えば表現が良くありませんが、ニュアンスを優先した結果音程が不安定になった、という場合に助けてくれる機能です。ただやり過ぎて完璧に音を合わせてしまうと、それはそれで人間的では無いとされるので難しいところです。
逆にいくら音が合っていても、自分が思うニュアンスで録音できなければ後からどうにも出来ません。CD音源は基本的に形として残るものですから、殆どのアーティストは音程を補正しています。
音源では歌が上手いのに、ライブでは音程が不安定になる人は修正し過ぎている可能性があります。なるべく実力も伴った上で適度に使用したい機能です。
MIDI入力とソフトウェア音源
冒頭で簡単に触れた、DAW に入ってる音 (ソフトウェア音源) を鳴らして入力する方法です。これらはサンプリング音源とも呼ばれます。
ソフトウェア音源は DAW を介して鳴らす音ですが、サードパーティ(音源を提供している企業) の製品を後から買い足して、自分好みのサウンドライブラリーを構築することが可能です。
https://www.apple.com/jp/logic-pro/plugins-and-sounds/
この画像は、Apple社の DAW である Logic Pro に最初から搭載されている【EXS24】と呼ばれるソフトウェア音源ですが、この様々なパラメータは録音前、もしくは録音後にも変更出来ます。
このように【MIDI入力】は、音符、音程、音の強さ、音の長さなどを始めとする、音に関するあらゆる情報をコントロール出来る入力方法です。
これらの音の情報は【MIDI情報】と呼ばれ、音に関する様々な情報を【数値化】することにより、あらゆるメリット、互換性を図ろうとするものです。
基本的に自由自在に音を細かく操れますので、間違えて録音しても後から音を修正可能です。また、音色自体も情報として処理されますので、上記のように音色やパラメータを後から変更したりも可能です。
まだまだ他にも使い方次第ではメリットはたくさんありますが、ソフトウェア音源は使い過ぎると PC に負荷がかかります。最悪の場合はフリーズ、強制終了もあり得ますので、メインで使用していく場合は処理能力が高い PC を購入する必要性も出てきます。
最後に
私はピアノが主楽器なので、キーボードからの【MIDI入力】がメインですが、【ステップ入力・リアルタイム入力】どちらも使います。
ギタリストやベーシストの方はギターなどを【オーディオ録音】で【リアルタイム入力】し、その他の音を【ソフトウェア音源】で【MIDI入力】される方が多いですね。
その他、実際の楽器であるハードウェア音源をオーディオ録音する時もあります。理由としては、録音段階で少量のノイズが入るのでソフトウェア音源と馴染ませると良い意味で音が豊かになるためです。この話はまた別の機会にしようと思います。
というわけで今回は、DTM、DAW における録音方法の基礎的な事に触れてみました。それぞれの入力方法のメリットを活かしていけば、効率性も上がり、それが自分の作曲スタイルに繋がっていくと思います。また、これらの技術はどんどん進化しており、オーディオ録音した音でもある程度の次元までは修正、改変が可能となりました。
アーティストによっては「弾ける事がウリ」という人もいますし、多少ズレてても許容範囲内であればそれが特徴的だと捉える人もいます。リズムの正確性よりも「勢いやパッションの方が大事」という場合もありますので、修正に関しては必要に応じて使い分けていくのが良いでしょう。