つい先日遅まきながら東京ダークをクリアしました。
ミステリー、ビジュアルノベルは好きなのですが、クリアする前から何ともエンディングはどうなるのか、と言う期待と悲壮感に追いやられまして。
タイトル通り、色々な闇を感じさせる内容でした。
(以下ネタバレありなので注意)
目次
ゲームの感想
オカルトな題材、要素が多いので現実世界と少し距離を置いてプレイしそうになるんですが、まぁゲームを進めていくうちにこの世界観にはまっていくわけですね。
最初はやはり結構意味不明な感じで進むんですけど。
主人公である絢美ちゃんが理解の早い子なので、すぐ伏線や関連性に気づいてくれてサクサク会話が進みます。
テンポよく話が進むので、こちらも同調しやすかったです。
一周目はセーブが出来ないのは緊張感あっていいですが、2週目プレイのセーブも選択肢の直前でセーブ出来ないのがちょっと面倒でした。
ただ、たしかにラストとか直前にセーブ出来ちゃうとマルチエンドでやり直す時に緊張感ないとも思うので、チャプター区切りにセーブをおいたのは正解かもです。
面白いのが絢美ちゃんの職業や、今の立場的にどうなのか、って考えられた選択肢ですね。パラメータに影響が出るので、刑事として正しい行動だったのか、とか反省しちゃう。
だからこそ理性を忘れて押したくなりますん。
そんな感じで2回目はセーブできるので色々な選択試せて助かるんですけど。
猫へのオマージュがすごい
私も最近猫を飼い始めたので、このゲームで出てくる猫的表現のこだわり、については共感要素が大きく、そこがまず楽しめました。
メイドカフェ、猫カフェが面白かった!
また、可愛い猫ですが、猫カフェってこう言うリスクもあるんだなぁとか。
猫エンディングもあるくらいの猫こだわりですが、正直猫エンディングはよく分かりませんでしたw
ちょっと考えさせられたのは、猫って喋らないので、飼っている身としてはまぁ上から目線じゃないですけど、赤ちゃんとか子供に話しかけるような感じになります。
それがこのゲームだと、猫は基本崇められている、と言うか、人間の方が奴隷的な視点で描かれています。
で、猫エンディングもそんな感じなんですが、自分の猫ももし喋ったらこう言う目線で人間を奴隷として見ているかも、とか思っちゃいました。怖〜
日本語訳が良い
英語版は分かりませんが、日本語の翻訳、表現が好みでした。
猫カフェのオーナーのサチコさんがブチ切れだしたり、JKがキモいキモい言ったり楽しいですね。
ルビーちゃんとかのキチガイ具合な表現とかあれ大変ですよね。すご
海外の開発者の方とお仕事する様になって、日本語へのローカライズの重要性をとても感じてます。
そう言ったこともあってSteam発のゲームとかって研究する要素と言うか、勉強になる部分がたくさんあります。
コンポーザー
Reign of Fury と言うイギリスのメタルバンドのフロントマン、Matt `Bison` Steed 氏がBGMを作ったみたいですね。
帽子かぶったメガネの方で、見た目は全然メタルっぽくはないのですが、素晴らしい声の持ち主です。
東京ダークのサウンドトラックは、Steamのコレクターズエディションから購入できますが、プレイ後にリストを見てみると驚き。
62曲もあり「こんなに曲があったのか」と言うのが正直な感想です。
プレイしていて微妙にサウンドが変化している場面や、FX的なアンビエント要素で構成されている曲も多いです。
音楽の感想
普段から作曲者の方がバンド以外でどう言った音楽を作るのかが分かりませんが、非常に多彩で引き出しの多い、それでいて素晴らしい世界観を持っています。
上の場面なんかではジャジーな曲が流れますが、リバーブ感たっぷりな艶のある曲ですごく好き。
バンドの音源を軽く聞いて見たのですが、スラッシュでソリッドなリフはメタリカの影響を感じましたし、ボーカルパート、ツインギターがとてもメロディアス。
あと曲展開にものすごくこだわってて、尺が長い曲も最後まで聴けちゃう。
ゲームBGMに話を戻して、
トレーラーではエレキギターやヘヴィなベースサウンドを使ってダークな雰囲気を出しつつも、シンセの使い方が上手く、ゲームミュージックらしいサウンドに仕上がってます。
バックグラウンドがメタルと思えぬほど、各シーンにおいてバラエティなサウンドを見ることができます。
序盤の新宿からピアノやFX系を組み合わせたリフだったり、病院ではピコピコ鳴っているシンセが印象的です。
驚いたのが、鎌倉や秋葉原やゲーセンイベント、猫カフェ、アイドルのルビーちゃんの曲など。
こう言う音楽も作れるんだ!っていう。
実はプレイする前、世界観的にほとんどピアノとかダークアンビエント系ばっかりかなぁ、と勝手に思っていたんです。全然違った。
秋葉原とかかなりオタク要素が入ってますが、あそこはかなり面白くて、絵的にも可愛いキャラクターも多く、楽しめましたね。
日本的要素が中心になっている部分
舞台が鎌倉であったり、ストーリーやオカルト部分などの設定が日本の道具や世界観が中心であることから、あえてそこにこだわりを持って作ったのが伝わってきます。
と言うのも、作者のシナリオライターの方は日本在住のイギリス人で、制作パートナーの奥さんも日本人と言う、まさにこの二人のタッグでしか生み出せない世界観です。
ゲームのタイトルである「東京ダーク」ですが、宗教要素はもちろん、闇ビジネスや鎌倉と言う日本的な印象が強い舞台を組み合わせたのが面白い部分です。オカルトな怖さ。
人生を狂わされたルビーちゃん、その被害を被る絢美ちゃんと田中刑事。
なぜこの二人なのか、とプレイしててほんと思います。辛いわ
でもプレイしてると、やはりこの二人だからこそ、なんだなって思うのです。
エンディング
マルチエンディングには色々と考えさせられましたね。人の本質と言うか…
自分だったらどう言う選択肢をとるだろう?
そう思ってしまうほど、絢美ちゃんの立場に共感しながらゲームをプレイしました。ハッピーエンドは無理なのかーって。
二人のマンションの部屋で永遠に近い24時間を過ごす箱庭エンドもありかと思ったのですが、それは「人生ではない」と思いましたし・・・。
ただ、そこにいくまでのストーリーはグッときましたね。
田中刑事が現世に帰る前に危惧していた通りの現象になり、それでも一緒にいたいのか、って思いましたもん。見てて辛いよあれは・・・
なので、色々なエンディングがあるなか、私がベストだと思うのは、、面を担って年に一度の逢瀬を許される、と言うエンドでした。
なんと言うか、これが二人の意識がきちんとしている状態で、年に一度の再会を楽しめるエンドだと思うので・・・
インディーゲームの可能性
一番書きたかったのはこのへんですね。
私も海外のゲーム開発者とやり取りしてゲーム音楽を作っていますが、どのようなやり取りを経て、このようなサウンドに行き着いたのかが非常に興味があります。
キックスターターで出資してもらい、ゲームリリースする流れが主流になっていますが、そうやって作られているゲームの音楽って、どこまで打ち合わせと言うか、やり取りしてるのだろうか。
英語でのやり取りで、ゲーム画面の実装前にイメージを伝えられて曲を作ってます。
チームとして多人数になれば、ゲームの進行度が把握しにくく、どの場面でどの曲が使われるかも分からなかったりするので、東京ダークのようにこれだけ場面にリンクした雰囲気にするのはなかなか難しいのです。
今後インディーゲームはどんどん増えていくと思うので、東京ダークの様な成功例には夢があります。
終わりに
価格も安く満足感の高い東京ダーク。
絵柄や世界観、そして音楽はもちろん、シナリオがよかったです。
ゲームのレビューを見たら、東日本大震災が起きた時にその経験を元に構想を練り始めたみたいですね。
なるほど、それを聞くと、確かにラストの地下、扉に進む過程なんかはグラフィック的にも怖かったし、そう言った要素を感じます。いわゆるドラゴンヘッドみたいな世界観と言うか。
こういうゲームをもっとプレイしたいですね。