photo by ぱくたそ
今回、またまた新たに作曲に関してご質問いただきました。
内容は
「今やってる作曲の方法に飽きた」というものです。
いただいたコメント欄に回答しようと思いましたが、
せっかくなので同じように悩んでいる方に向けてもシェアできればと思い、少し長くなりますが記事にしました。
目次
- 質問内容
- まず結論
- 逆にDAWをやらないとどうなる?
- 今のやり方について
- ソロの限界
- 原曲と編曲をセットでやること
- 今からすべきこと
- とにかく盗むこと
- 名盤がなぜ名盤かを知る
- 今の「壁」を理解する
- 良い曲とは
- 終わりに
質問内容
先に質問者様の情報をまとめた上で回答していきます。
まろにーさん
作曲をしている者です。 最近作曲に飽きていて悩んでいたところ、こちらのブログに辿り着きました。 具体的に「作曲に飽きた」というのは、作曲の方法に飽きたと思っています。 毎回アコギを使いながら弾き語るように作っているのですが、いざ作曲を始めようと思っても手順が決まり過ぎていて「コード決めてメロディ乗せて構成考えて・・・」と先のやることが分かってしまっているので、なんだか面白くないなぁ。と思ってしまいなかなか動き出せず、どうすれば作曲が楽しくなるのか、ワクワクするのかをずっと考えてしまっています。 DTMで色んな音を使いながらも試してみましたが、結局はメロディをしっかり作りたいので、弾き語りでメロディを作ってから装飾、のようになってしまいます。 やってみて少し楽しかったのは「メロディから作る」でしたが、それもうーん、、って感じでした。 でもやっぱり「良い曲を作りたい」という情熱はいつまでも消えません。 他の記事で「作曲はランダム性があるから飽きない」というのもあり、確かにと思いました。 作曲が毎回、実験になるように、ワクワクするようにしたいのですが、どうすれば良いと思いますか?
悩みの内容
- 作曲に飽きたと思ったが、よく考えたら「作曲の方法自体に飽きた」のかも
- 作曲手順が毎回同じで展開が予測できてしまい、作曲する気が出ない
- やり方はアコギを使いコードを弾きながらメロディを生み出す
- 先にメロディから作ることはやってみたが、微妙
- DAWで打ち込む際にも、先コード、後メロディ、装飾みたいになる
- 良い曲を作りたい
- 実験になるようにワクワク作りたい
追加情報 (悩みのみ抜粋)
お返事いただきありがとうございます! YouTubeにオリジナル曲の弾き語り動画をアップしてます!動画自体のクオリティなどはこれから上げていきたいです。
どんな音楽を今まで聴いていたかは、世に言われている名盤(ブルース、ジャズ、ロカビリー、ロック、パンク、ハードロック、オルタナなど…)と言われる音楽を学生時代から中古CD店に通って、むさぼるように聞いてきました。 さきほど少し思ってのですが、たくさんの音楽を知ってはいるけど、知っているだけで自分の血肉にはなっていないと感じました。 もっと音楽を体に染み込ませて、メロディの奥深さ・コード進行の奥深さなどを知っていればもっと音楽の楽しさ、作曲の楽しさが分かるのかなぁと。 せび動画も見ていただいてアドバイスいただければと思います。
- 弾き語りスタイルをしている (元々はバンドをやっていたが解散)
- いわゆる名盤と言われるものは自分なりに色々聴いてきた
- ブルース、ジャズ、ロカビリー、ロック、パンク、ハードロック、オルタナなど
- 色々音楽を知っているが、知ってるだけで自分の血肉になっていないと思ってる
- もっと色々知れば、音楽や作曲の楽しさが分かるのかも
色々あるように見えますが、大きく整理すると
赤は「今のやり方」
青は「次に目指すこと、またはそのヒント」
では深掘りしていきたいと思います。
まず結論
最初に結論から言います。
「DAWを使ってアレンジ/編曲」に取り組んでいくべきです。
アレンジ次第で、まろにーさんの音楽、世界観は大化けする可能性を秘めています。
DTMで色んな音を使いながらも試してみましたが、結局はメロディをしっかり作りたいので、弾き語りでメロディを作ってから装飾、のようになってしまいます。
多分言わなくてもやってると思いますが、恐らく「本当の面白さ」にまだ出会えてないと思ってます。
DAWは一年くらい毎日触って、ようやく何かわかってくるレベルです。
機能が多すぎますし、頭の中でやりたいことがあってもなかなかすぐ出来ないでしょう。
操作を理解するだけで疲れてしまい、ろくなものが作れず、時間が過ぎていきます。
でも、最低一年はそれに本気で時間を費やして、取り組んでほしいと思います。
それでもつまらない、飽きる、のであれば実験、ワクワクなどは無いと思ってます。
DAWこそが、曲つくりの幅を広げ、MIDIを駆使する事により、色々な楽器をすぐに扱え、色々な方法を試せる魔法のツール、空間なのです。
逆にDAWをやらないとどうなる?
遠回りにも見えますが、
「アレンジが出来ないと、作曲のやり方や可能性はほぼ広がりません」
ずっと原曲 (今やってる事) を作り続ける事になります。
例えば、他にアレンジャーがいて、自分は原曲作りに徹するスタイルなら別ですが、今つまらない、飽きたと言っているわけなのでそれが目的では無いはずです。
今やってる「アコギのコードの弾き語りが、まろにーさんにとっての編曲を含めた作曲」なのかもしれませんが、それだと余計勿体無いと思ってます。
私はまろにーさん自身の
「自分で打ち込んでアレンジしたバージョン」を聴いてみたいです。
すると今やるべき事は大きく2つあり
「今、完成してるオリジナル曲をDAWでアレンジしてみる」
「DAWでのアレンジを想定してこれからDAWを使って曲つくりしていく」
今やってる事は前提として
「最低限の譜面 (コードとメロディ)を作る作業」です。
なので、ここに楽しいも飽きるもクソもありません。
これはやって当たり前の作業です。これが飽きるなら作曲は続けれないです。
で、これだけで完成なら飽きますので「アレンジ(楽しくて辛い作業)」があるわけです。
どんな名曲でも、
アンサンブルがあってソロ表現 (弾き語り、デュオ)
ソロ表現があってアンサンブル
リスナーは、どちらから入っても、もう一方のアレンジを聴く事によってアーティストの曲への印象や理解を深めていきます。
「自分の曲の表現力、印象を意図的にコントロールする」
これが音楽の面白い部分だと私は思ってます。
そこで今の時代「作曲とアレンジはセットで考える」のが基本です。
編曲は
「自分の曲の可能性をさらに広げる創造」なのです。
今のやり方について
今の作り方「アコギでコードを弾きながらメロディを作る」というのは、王道中の王道であり、死ぬまで使えるやり方です。
これが「飽きる」というのはちょっと違うのです。
これは飽きちゃダメ、というか、これは作曲する時の最低限の基本動作です。
ピアノが主楽器ならピアノでまずスケッチする
ギターならギターで、と言う話です。
この作業がツマラナイ、飽きてしまう、と言うのは
「その先にあるアレンジを想定していないから」
「もしくは、単純に作曲に飽きた (これについては何も言えません)」
そもそも「アレンジをする、と言う前提で作曲する」だけで、今やってる「原曲の作り方の意識」も変わっていくかと思います。
音楽の表現の仕方は色々ありますが、 まろにーさんの今の作曲スタイルは
「アコギで弾き語る」
これが当面のアウトプットになってます。
しかしこれだとずっと自分から出てくる音楽は、アコギの弾き語りサウンドです。
バンドをやっていた頃は
ギター、ベース、ドラム、が当たり前なので「アンサンブル」のアレンジを無意識にしていたかもしれません。
もしかしたら、まろにーさんが曲を作って、ベースとドラムに渡してセッションして曲を固めて言ったのかもしれません。
今度はそれを全部一人で考えてDAWで打ち込み、試行錯誤してみるのです。
そして、当時のレコーディング音源を超えてください。
ソロの限界
例えば、今あるオリジナル曲ようなフォークスタイルで行くにしても、イントロのメロディをコードで少し鳴らして歌に入るのではなく、ハーモニカのようなリード楽器でメロディがあっても面白いわけです。
全部ズクジャーン、って軽くイントロを弾いてAメロに入られても「どれも同じような曲」に初見では聞こえてしまう可能性があります。
このままアコギと歌のみで同じように曲数を増やして言ったら、どうなるか?
リスナーが各曲を相当聴き混まない限り判別できなくなります。
サビに行く前に、イントロやAメロで飽きてしまうかも知れません。
リスナーに飽きさせない努力をする、と言う意味でも、
アレンジを学ぶべきだと思います (自分が楽しく音楽をする為にも必要)
ソロ表現には最低限のサウンドで奏でる良さ、緊張感がありますが、やはり表現としては限界があります。
アンサンブルバージョンがあるから、ピアノソロ、もいいなぁ〜となります。
もしくはジャズバージョン、とか。
と言った具合に、もうアレンジを覚えたら可能性は無限ですね。
それは表現に置いてはもちろん、作曲を続ける事にも両方言える事です。
例えば、私はインストを作ってますが、
これを「ピアノ縛りで曲を書き続けろ」って言われているようなものです。
ピアノ曲を書くことが楽しいのは、ピアノ曲やスケッチを軸に、様々なアンサンブルバージョンを思い描けるから楽しいのです。
もしくは「この曲のピアノバージョンを書こう(アレンジしよう)」
となるので面白いのです。
これがなかったら当然飽きるので続けれません。
原曲と編曲をセットでやること
今はアコギから作るパターンだと思います。
しかしアレンジを積み重ねると、いきなりDAWのシンセサイザーなどのサウンドから曲のイメージが思い浮かぶかも知れません。
さらに慣れてくると、頭の中で大まかな作曲、編曲できるようになります。
それを「脳内イメージ」と呼ぶ人もいるかも知れませんが、
DAWの画面が頭の中にイメージできて、各トラックのサウンドが同時に頭の中で再生出来たり、鳴っている感じになってきます。
どれだけ自分が色々なサウンドを聴いてきたか、コピーしてきたか、作ってきたか、フィルターを通してきたか、それによっても次に出てくるアイデアに影響します。
それがいわゆる
「作曲の引き出し、発想の引き出しを拡張した結果」だと思います。
ここまでくると面白くなってきます。
今からすべきこと
アレンジをすべき、と言われても「どうやってやるんだ」となります。
私も最初はそうでした。
結論から言うと「既存曲の完全コピー」をしてください。
自分が好きな曲、近づけたい曲を耳コピーしてほしいと思います。
耳コピーをしたことがないと
「メロディとコードはできるけど、他の音が採れない」
最初はこうなると思います。
ではせめて最初は、「なんの音が鳴っているか」だけでも、曲を聴き込んで分かるようにしてみてください。
なんの音かわからなければ、どんな楽器が存在して、どんな音が鳴るのか、も勉強してみてください。
まずはオーケストラ楽器が良いと思います。
すると、この音はこうやって使うと効果的なんだな、と言うのが分かってきます。
コピーをせずに自分の曲でいきなり適当に音を選んで足して行くと、
「付け足した装飾」みたいな感じになってしまい、アレンジ、と言うよりかは「ただ音を重ねただけ」になる可能性があります。
まぁだいたい、それは失敗に聞こえますし、ほとんどの人はここでDAWを挫折します。
この辺はこの記事の趣旨から外れるので割愛しますが、
それでもくじけずにアレンジに向き合い「あ、これプロっぽい!それっぽい!」っていう重ね方を体感するまで時間をかけて欲しいと思います。
とにかく盗むこと
作曲やアレンジはとにかく
「盗む」というのが大事です。
え、なぜ「盗むの?」「パクっちゃやばくない?」
まあ最初はパクってなくても似たような感じにもなりますが、とにかくそれでもベーシックなアレンジの引き出しが必要です。
最初は、オリジナルとか個性とか言ってる場合ではありません。
それは
「演奏力、即興力、作曲力、アレンジ力」はそれぞれ別物だからです。
演奏力
楽器の腕前。
いきなり楽器を渡されて弾けないですよね。何か既存曲のコピー、練習から始めます。
即興力
即興演奏、アドリブです。
いきなりアドリブを弾け!と言われても、テキトーに弾いて終わりです。
その曲、コードで使えるスケールや理論、感情までも既存曲から学びます。
作曲力
原曲を作る力。
これも、コードや最低限の即興力、音楽理論がないと出来ません。演奏力を鍛え、曲のコピーをある程度した後に授かる能力です。
アレンジ力
原曲を化かす魔法
上記の全ての能力を駆使します。それでいて、既存曲からコピーして盗み、アレンジの引き出しを増やすことが重要です。これで曲が良くも悪くもなります。一番難しいです。
アレンジは、まろにーさんが次に求める「実験、ワクワク」のことです。
(原曲を作る作曲でも、もちろんワクワクはあると思いますが)
アレンジは「自分で試行錯誤するから楽しくなるし、面白くなる」
一番時間がかかる部分なので、苦労して作る分達成感があります。
注いだ時間分それを感じることが出来ると思いますが、もちろん泥沼にハマって抜け出せなくなるので注意も必要です。
名盤がなぜ名盤かを知る
よくこの名盤は聞いとけ、って言われますよね。
私は昔、曲だけ聴いて良いか悪いか、を判断してました。
まぁ自分が気にいるかどうか、です。
と言うのも、名盤の歴史を知る手段があまりに閉鎖的でした。
楽しく音楽を学ぶ機会がなかったと言うか。
今ではネットでいくらでも調べれます。
昔の名盤では、どう言う機材が使われていたかとか、どんなシンセサイザー流行っていて使われていた時代だったのか、とか知ってから聴くとすごく楽しかったりします。
私はキーボードプレーヤーだったので、そこが面白い部分でもあります。
それが曲への理解度、だと思ってます。
音楽理論やコードテクニック、演奏のうまさ、を理解して、その音楽を深く感じる方法もあれば、
この時代にはまだこう言う音楽がない状態で、こう言う音楽やパターンが生まれた、など、そう言う楽しみ方があります。
ここで書くことではないかも知れませんが、まろにーさんのコメントの後半に書いてあったことを私なりに考えてみて書いてみました。
知っているだけで血肉になっていないのかも、という部分ですね。
おっしゃられる通り、自分の中に落とし込む、というのは簡単ではありません。
なので、先ほど書いた「完全コピーの経験」がある程度必要になってきます。
音がどうやって重なっているか、アレンジされてるか知るためです。
それがある程度こなすと、今度は聴いただけでどうなってるかだいたい分かりますので、パクリではなく「参考にする」という聴き方もできるようになります。
人それぞれ、
音楽の面白さが違って当然で、表現したいものもきっと色々あります。
先ほどの耳コピーの話と重複しますが
「名盤の完全コピーは勉強になる」というのも大いに言えることです。
1曲でも真面目にやればかなり色々得られるものがあると思います。
今の「壁」を理解する
今向き合ってほしいのが
「苦しい、生み出せない、飽きてきた」
こういう時期、だと言うことです。
これは絶対に起こります。
その時、「そう言う時期なんだ」と自分で理解しないと自分と向き合えません。
「なぜそう思うのか」
「では自分の曲をどのような曲にしたいのか」
「実験でワクワクして生み出せれば変な曲でも良いのか」
「変な生み出し方で楽しいがイマイチな曲と、安定した生み出し方でつまらないがそこそこな曲でどちらが良いか」
「変な曲でも楽しかったなら、それを自分の力にするまで粘り強く継続できるのか」
「自分はそれくらい、音楽、作曲が好きなのか」
疑問はどんどん出てきますよね・・・。
私も10年くらいやってきたバンド活動を辞めた時、自分は音楽好きだったんだろうか?
とか、そう言う次元まで考えました。
ずっと音楽は好きで当たり前だと思ってましたから。
自分の人生がうまく行ってないと、こう言うことを改めて考えてしまいます。
それが、再度音楽と向き合う、と言うことなんだと思ってます。
恐らく「精進したい」と言う気持ちがある限り、悩み続けることになるでしょう。
良い曲とは
良い曲を書きたい、とコメントにありました。
私は曲を作り続けてきて、良い曲というのは
「リスナーが判断すること」
だという答えに、今のところたどり着きました。
まろにーさんにとっての良い曲は、もしかしたら
「自分が納得のいく曲を書くこと」
かも知れません。
それはもちろん誰でもそうだと思いますが、結局のところ
「人が聴いてどう思うか」
ということは、
人に聴いてもらえる確率を上げていかなければ、いくら素晴らしい曲を書いても「ただの自己満足」です。
ですので、音楽以外のことも頑張ることもすごく大事、だと思います。
終わりに
この質問をしてくださった「まろにーさん」は、以下の記事よりコメントをくださいました。
下の記事では、作曲に飽きる理由や解決方法について「目的から逆算してモチベーションや使命感を意識する」という視点で書いてます。
なので、今回の記事は「音楽的な視点」で書いてみました。
作曲は、
引き出しが少なくても飽きるし、
目的を見失うことでも飽きます。
なので、常に自分で「なぜ曲を書くのか」を考えることが継続に繋がります。
私も書いていて自分で出来てない部分は多く計り知れません。
なので精進します。
何か少しでも参考になれば嬉しいです。
そして、決して私の書いたことが全てだと思わず、自分のやりたいことをやってください。
一つの提案にすぎませんので。
もしDAWを使う以前の問題として、作曲自体のやり方を変えたいのであれば、
「新しい楽器を練習する(出来ればピアノ)」
まろにーさん、ご質問いただき、ありがとうございました。
音楽活動お互いに頑張りましょう。