ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【DAW】各トラックの音量バランスは『小さい音量で聴くこと』がコツ

 

 「混ざりあった絵の具」

DAWのミックス作業は「作曲者の表現したい曲の伝え方」だと思ってるんですが、なかなかこれって難しい・・・というか正解がないですよね。

 

今ではNuetronなどのミックスのプライグインが出てますが、そのミックスの話ではなく、「トラックの音量バランス」のミックスの話です。

今日はこれについて考えてみたいです。

目次

どうしてミックスは難しいのか? 

「伏し目がちに考え事をする色白な女性」[モデル:川子芹菜]

まずミックスが難しい理由は「曲毎で決まってない」のと「作曲者の好み」があるからですね。

つまり言ってしまえば正解はないわけです。

 

ある程度の基準はありますが、それをクリアしたら後は好みの問題でもあります。

 

歌もの

インスト

音楽ジャンル

トラック数

 

これがまず前提にあった上で「作曲者がどう聴かせたいか」が追加されます。

 

私はミックス自体に詳しくないのですが、個人的に「トラックの音量感」についてはずっと気にしている部分があります。 

 

それは

「マスターボリュームをどれくらいにして聴きながら調整するか」

 

これもまた難しい話ではあるんですが・・・

大きな音で作曲するメリット

「ヘッドフォンで音楽を聴く女性」[モデル:Lala]

私はヘッドフォンはノイズや定位の確認以外ではほとんど使わず、基本的にスピーカーでバランスを確認します。

本格的な防音をしている訳ではないので、音量に関しては限界がある訳ですが・・・

 

それでも、同じ音量でもスピーカーとヘッドフォン、イヤフォンでは全く違ってきます。

 

リファレンス環境は、iMacの内蔵スピーカー、iPhoneの内蔵スピーカー、DAWのモニタースピーカー、ラジカセ型のCDプレーヤーです。

 

作曲をやり始めた時、私はなるべく大きな音量で作業してたんですよ。

それには理由があって

  • 大きな音で作業するとサウンドの細かい部分が明確になるので、発見がある
  • 単純に、大きな音で作業するのは楽しい
  • 大きな音の方が打ち込みしやすい
  • ダイナミクスが分かりやすい

 

大きくはこの辺を無意識に求めて大きな音で作曲してました。

やはり適正音量で作曲するのは大事だと思っていて、音色の一番良い部分が失われない程度のレベルで作業したいのです。

大きな音のデメリット 

「スピーカーがうるさくて嫌になる女性社員」[モデル:河村友歌]

 

作曲してると、自分の音量感覚が変わります。

普段音楽を聴いている音量よりも、かなり大き目の音で作業しがちなんですね。

これは楽器の練習をしている時もそうです。

 

でかい音量というのはなんでもそうですが

「ごまかしが効く」ということです。

(逆に粗が見えるとも言えますが・・・)

 

同じボリュームで曲を聴いても、音が大きい曲の方が迫力があってよくできているように感じることってありませんか?

別に同じボリュームまであげれば同じだと思うんですが。

(空間や隙間をうまく埋めて出している音圧感と別の話です)

 

さらには、

音量感のマヒに加えて「なんども同じフレーズをリピートする」というトラップも作曲にはあります。

 

耳がフレーズを覚えてしまって、一日経って聴くと「なんでこんなフレーズ、音量にしたんだ」って不自然に聴こえる部分があったりします。

コツは、大きな音で聴いた後に→小さな音量で聴くこと

 

「スマートスピーカーの反応に大満足の男性」[モデル:藤沢篤]

大きな音で聴いた後に、「小さな音でもう一度聴いてみる」のがコツです。

 

これを何度も繰り返すのがコツ。

大きいボリューム、小さいボリュームで聴いた時の感じはもちろん違うのですが、それぞれ違和感がある場合、自分で気づける時があります。

大きな音量では気にならなかったのに、小さく再生したら

「ん、今のとこおかしくね?」って。

 

これだけで、かなり冷静に自分の音量感を維持することができます。

人にもよりますが、大きな音でしかやらない人も中にはいるんじゃないですかね?(自分だけ?)

 

もちろん、小さな音で聴くと聴こえない音もたくさん出てくるのですが、それによって浮き出てくるトラックがあります。

それは「メロディライン」ですね。

 

ミックスでは、この「メロディラインがずっと聴こえるように意識する」というのが大事だと思ってます。

しっかりメロディが聴こえるミックス、を意識する

私が自分で聴いていて上手いミックスだな、って思う時が

「メロディがきちんと追うことが出来るミックス」

すなわち

「聴くひとが迷子にならないようにすること」 

 

よく友人に作った曲を聴かせていた時に、途中でメロディが分からなくなる、と言われたことがありました。

メロディが迷子になるミックスをしてしまう原因 

「夜に明かりを灯すランタンと女性」[モデル:さとうゆい]

これについて原因は分かってるのですが、 

単純に、コード+リズム+メロディ、だけなら、メロディは聴いてれば分かるはずなんですが、慣れてくると色々なフレーズのトラックを増やそうとするので、ミックスが難しくなるんだと思います。

 

作曲してると、ハモリや裏メロなど、色々なメロディの音色が同時になっている時があるんですよね。

特にオーケストラなどの曲を書く時、各楽器に色々な歌わせ方をしようとするので、そのどれもがうまく機能するようにしたり、聴かせようとする傾向があります。

 

そういう曲って大きな音量で聴くと

「なんか分からんけど、雰囲気出てる」ってなるんですが、、、

 

では小さい音で聴いてみたら

「あれ、どれがメロディ? てかなんか分かり辛い・・・」

 

私はこの時

「そうか、自分が良いと思った曲って、どれだけ小さな音量で聴いた時でもメロディがきちんと聴こえてくる、追えるわ」

簡単に言えば、最後までメロディが歌える、というバランス、聴こえ方ですね。

 

スーパーやコンビニの低音がないスピーカーでも、曲が流れてきた時、中域〜高音域のメロディがきちんと聴こえる。

自分以外の聴こえ方も参考にしてみる

「研修中パソコンの画面ではなく先輩の顔を見つめる新入社員」[モデル:大川竜弥 河村友歌]

あと大事なのは

「作曲してない人が聴く感覚のバランス」

 

先ほどのマヒの話が関係しますが、自分は作曲者なので全てのフレーズが追えちゃうんですよね。知ってるので当然です。

でも初めて聴く人や知らない人は、あくまでその音量バランスが全て、なんですね。

 

それに気づいてから、

「メロディは自分以外の人でも、全て追えるようにしないとダメだな」

 

すると作曲自段階の時も意識が変わったり。

「もっとシンプルにした方がいいな」

「そうか、ならこの音、もっと聴こえなくしてもいいくらいだな」

 

我慢ができるようになった、という感じ。

作曲してて思うんですが、「我慢して音量抑える」ってかなり大事だと思ってます。

 

昔は苦労して作った全てのトラックの音色を聴いて欲しくて、大きくしがちだったんです。 

 

もちろん人の意見だけを聴いてたら自分で決めれなくなってしまうので、あくまで参考にした上で自分で決めることが大事です。

 

ミックスって難しい。

終わりに

ミックスが迷う人は、

「小さな音でメロディやリズムのラインが聴こえるように軸を作ってみる」

これだけで、ハーモニーやバッキングの音量調整をどれくらいに抑えるべきか、みたいなのが変わってくると思います。

 

それでも難しいんですけどね。

なぜなら人によっては、ドラムがうるさいとか、もっと聞こえて欲しい、とか好みはあるわけなので・・・もちろんそれに加えて自分の好みもあるんですから。 

もちろん再生環境は言わずもがな。

あくまに参考程度に。

 

正解はないけど、

「これはいくら何でも大きすぎやろ!」

こんな崩壊バランスでさえなければ、ぶっちゃけ後は好みだと思ってます。

 

もちろん、世界が認めるオーケストラの巨匠とかに

「ここのホーンはもっと大きくしないとダメだろ」

って言われたら、

「あっはい! 分かりました!」

とか言っちゃうんだろうけど(汗

 

正解は自分で決める、それが作曲ですね。

この本が久々に大当たりで、音量バランスの次の段階の作業内容の本ですが、かなりミックスの考え方は変わりましたね。オススメです。