KORGのPaシリーズは、Pa900、Pa600、Pa300 が国内で販売されています。
つい最近購入したのですが、これを買う人はかなり珍獣レベルであるのか一般情報がほぼゼロでした。
まともに買うと高額であるのと、コンパクトでミニ鍵盤の MicroArranger の方が安くて手に取りやすいからだと思います。あちらはヒットしましたし。
値段と機能を見て自分に合ったものを選べば良いと思います。
そんな感じでデモ機も置いてないので私も購入に迷いましたが、買ってひとまず良かったので購入に迷っている人は参考にしてください。
目次
- KORG Pa シリーズとは?
- アレンジャーキーボードとは?
- デモ動画
- チュートリアルが充実している
- Pa900を選んだ理由
- 買わない方がいい人
- 買った方がいい人
- アレンジャーキーボードの需要
- 実際の使いみち
- どこにでもあるようなBGMの基本を押さえたい
- 色々なBGMを作曲する人向け
- スタイルから構成パターン、要素を解析する
- サウンドトラック的なものには向かない
- その他の機能
- 最後に
KORG Pa シリーズとは?
Paシリーズは「アレンジャーキーボード」という位置付けで発売されているキーボードで、その名の通り「編曲、作曲に特化したキーボード」になります。
スピーカー付きですぐに音が出せる他、様々なジャンルのリズム、バッキングパターンを持つ「スタイル/スタイルプレイ」と呼ばれる機能を操れば、各ジャンルの作曲、編曲レベルを引き上げることが可能となり、同時にデモ作成までの時間を短縮できます。
また、内蔵されている音色は基本的に EDS で、M50、M3 の音色がベースになっており、そこから本機の DNC、RX 音源が一部追加されています。
当然 KRONOS よりかは音質面で劣りますが、1000音色以上なので必要にして十分、目的をしっかり見定めれば十分なクオリティを誇っています。
アレンジャーキーボードとは?
アレンジャーキーボードは表向きでは「作曲が出来ない人をサポートする」という位置付けになりますが、実は「作曲や編曲をする人にこそオススメしたい」キーボード。
一流のプロが作ったシーケンスパターンを組んでおり、様々な音楽ジャンルのバッキングスタイルが内蔵されています。
イントロ、アウトロ、フィルインはもちろん、曲が始まって終わるまでどのように盛り上がりを出すかなど、四段階から分かれたバッキングパターンからそれらを参考にすることができます。
特に色々なジャンルのドラムパターン、ベースフレーズを知りたい方、研究したい方などはこれだけでも十分に役に立つでしょう。
デモ動画
ボーカルとユニットを組んでいる人、リアルタイム演奏ができる人はこのようなセッションやオーソドックスなデモを作るのにも適しています。
ただ日本のポップスではこのような作り方はあまり一般的では無いかもしれません。
チュートリアルが充実している
Paシリーズの良いところは、チュートリアル動画が充実しているところです。
公式のものを一通り見るだけでもだいぶ理解が深まるでしょう。
こちらはセクション1ですが、セクションは全部で8動画あり、こちらの「Pa900 KORG」公式サイトから参照できます。
何度も一通り見てから、自分の使い方をイメージできれば購入に踏み切って良いと思います。
Pa900を選んだ理由
KORG は色々と最先端のシンセサイザーを出していますが、2017年現在でも普通に考えれば主力は ワークステーションである「KRONOS」です。
なのでなぜ今、このPaシリーズを購入するのか少々頭がおかしいんじゃないかと思う人もいるかもしれません。
Paシリーズの国内でのラインナップは Pa900、Pa600、Pa300 があります。
私が買ったのは最上位機種のPa900 ですが、ポイントバックなどをフル活用して実質10万円で購入しましたが、まともに買うと20万近くしますのでそれは避けましょう。
Pa 900 を選んだ理由は単純にタイミングで価格差が Pa600 と大差無かったためです。
(今回のタイミングでは、Pa300 は約6万、Pa600 は8万、Pa900 は10万でした)
もし Pa900 が14万〜20万でしたら、Pa600 を検討していたかもしれません。
もう一つは、Pa900 は各スタイルと呼ばれるボタンが直接押せる部分が大きいです。
一番使う機能なので、ダイレクトに選択できるのが便利でした。
買わない方がいい人
もしあなたがキーボード弾き専門で、活動領域が主にライブであれば KRONOS やその他の音創りに特化したシンセを選択しましょう。
一応この商品の紹介パターンではライブ演奏でも特化しているような感じですが、実際そこまで行くと相当使いこなし、なおかつリアルタイムで弾けなければなりません。
それには仕込みも必要で、エレクトーンに近い形になります。
ボーカルとちょっとした場所で気楽に演奏するには最適ですが、普通にライブでこれ一本で使うなら、ボタンを押すタイミングなどを含めた演奏をしなければならないことを念頭におきましょう (まぁ普通に弾いても良いのですが)
普通にシンセとして使いたければ、パフォーマンスモードで好きな音色を弾くことも可能です。
買った方がいい人
- あらゆる用途で応用可能なカラオケ用のバッキングトラックを一瞬で作成したい
- 作曲や編曲でバンドのデモトラック作成の時間短縮を図りたい
- 作編曲で各ジャンルの基本的なバッキングパターンを参照したい
- 作曲が全く出来ないので、コード進行とメロディだけで作曲したい【初心者】
- 様々なバッキングスタイルで、ソロ、アドリブの練習をしたい
- バンドのデモ制作や曲作りでアレンジパターンを考えたりしたい
スピーカー搭載、タッチビューでシーケンスパターンも MIDI で書き出せる他、ワークステーションシンセで操れる基本的なパラメーターは殆どエディット出来ます。
それらを DAW に持ち込みベースを整えつつアレンジを発展させたりも出来ます。
使い倒せば値段以上の価値は回収出来るシンセだと思いますが、目的によって Pa900、Pa600、Pa300 を選択するかは考えた方が良いです (価格と機能面)
アレンジャーキーボードの需要
日本ではこのようなアレンジャーキーボードの市場は閉鎖的です。
例えば、私は本当は KORG Pa4X、YAMAHA Tyros 5 といったさらに上のモデルが欲しかったのですが、40万円〜で KRONOS などよりも遥かに高い値段でした。
アレンジャーキーボードは海外では主流で人気が高いのですが、日本では需要が無いためか Pa4X などの次世代上位機種は取り扱っておらず、最低限のラインナップしか販売しておりません。
デザインやディスプレイは素晴らしいのですが高すぎる・・・まぁ日本で発売されていないのでどのみち買えませんし、この額で個人輸入とかなると50万は超えます (ムリ)
Pa4X は色々すごいのですが、自分に本当に必要なものは
「スタイル」「スピーカー付」「弾いて編曲を参照し、曲の土台を作ること」
音色などは正直 KORG M3 あたりまでで十分です (実際はそれ以上ですが)
Pa900 のデザインは正直「工場かな?」って感じですが、ま、まぁ個性的でいいでしょう。
実際の使いみち
色々と出来るのは分かったけど、実際いらん機能が殆どでしょ、という。
もちろんです、なので自分の目的を明確にする必要性があります。
私の場合は、作曲する為にポップスやジャズ、ワールド音楽などの様々なパターンのバッキングを聴いて身体に叩き込みたいという目的でした。
作曲はメロディを作ることが基本ですが、それなりのドラムパターンを一から組むのは正直面倒であったりします。バンドで演奏するだけなら、リズムだけ押さえればあとは自分のパートを練習すればいいだけです。
ですが、作曲となると全てのパートを知る必要が出てきます。
マルチプレイヤーではないので、普段作らないジャンルのパターンを習得するには少々厄介です。ドラマーでは無いので、リズム一つにしても知っているものと知らないものがあるからですね。
「別に色々な音楽を探して聴けばいいだけなのでは?」
という声もあると思いますが、ベースとなる各スタイルのバッキングサウンドをコード進行によって自在に操れるのはなかなか発想が広がります。
例えば DAW に付属しているようなビートのサンプルを使うのも良いのですが、ジャンルを選んでリズムの MIDI だけ鳴らしてもイマイチ全体像が不明確なことが多いです。
それであれば、CASIO の CTK シリーズなどに入っているリズムパターンとそう大差がありません (それは言いすぎかもですがw)
どこにでもあるようなBGMの基本を押さえたい
どこにでもあるようなBGM、実はこういうものこそ作るのが難しかったりします。
私が欲しかったのは、ドラムだけではなく、トラディショナルなベースライン、ギター、ブラス、ストリングスなどのその他のバッキングパターンが全て組み合わさったものでした。
それを鳴らしながら、自分のキーボードパートをレイヤー、スプリットして弾け「コードを押さえるだけで自動的にバッキングを生成」してくれるので助かります。
それをそのままダイレクトに MIDI や MP3 に書き出せるというのは半分は完成したようなもので、後はそれを手早く耳コピし直して DAW に打ち込み直すだけです。
そのまま書き出した MIDI を持って行って編集するのも良いですが、パターンさえ掴めれば聴くだけで十分です。
EDM などは流行りモノなのでパターンが古くなったら使えないことも出てくるかもしれませんが、ジャズやポップス、ソウル、ラテン、サルサ、ワールド系などは普遍的でパターンも結構決まっています。
色々なBGMを作曲する人向け
このシリーズは、すでに一定のジャンルしか作らない人には価格と機能が釣り合わないと思いますので、色々な音楽を作りたいと思っている人に向いていると思います。
ゲーム音楽を始めとして、様々なジャンルの BGM を作る自分にとっては、それらの「ひとまずベースとなるサウンド」の構築が早ければ、あとは広げるだけです。
ですが、まずそれさえも知らなければ一から全て考えなければいけませんし、参考音源を探すところから始まります。
それらを解消すべく、このキーボードを購入しました。
手持ちの音源を参照しても同じことだとは思いますが「コードを弾いて展開を操れる」というのがこの機種の強みだと思います。
私の場合は主楽器がピアノ、キーボードであること、さらに曲作りは完全に即興から始まるので、このようなスタイルを持つキーボードは楽しくて仕方ないのです。
ただ作曲をしない人がこれに手を出すと、間違いなく飽きて売るハメになるでしょう。
最初は楽しくて良いと思いますが、次第にそれらのパターンが自分の力で作ったものでないと感じ始め、また、どう活かせば良いか分からなくなり飽きて売ってしまうのは目に見えています。
もし購入を検討している方は「絶対に曲作りに活かしてやる」くらいの気持で買いましょう。
スタイルから構成パターン、要素を解析する
各スタイルを選択し、コード進行と音色を決めてメロディを弾くだけで簡単に曲が形になります。
もしキーボードでコード進行がある程度弾ければ、デモ作成までのスピードは一瞬でしょう。
ただし、このパターンで作成して必ず思うことが「8割自分の作ったものじゃない」そう思うことです。これが勘違いしてはいけないパターンで、それらをこの機材を買うことで省略している、と考えた方が良いでしょう。
わざわざお金を払っているわけなので、カラオケ用、楽器の練習用トラックならこのままこのパターンを録音して使うのも一つの手です。
ですが、オリジナルの BGM として作るのであれば、そのまま使うのは作曲者としては「・・・」と言う具合です。
なので、最終的にオリジナルの BGM を作成するのであれば、あくまで「基本パターンを参考にする」という目的にした方が良いでしょう。
そして、内蔵スタイルの4段階のパターンから
「何の音が加わり、バッキングやベースラインがどのように変わったから曲が盛り上がり、また発展しているように聴こえるのか」という要素を解析します。
それを色々なスタイルから抜き出せば、将来的にはこのアレンジャーキーボードを使わなくても様々な BGM を作れるようになっているでしょう。
私の最終的な目的はそれになります。
サウンドトラック的なものには向かない
Paシリーズのスタイル機能は、あくまでリズム、バッキングトラックを生かしたものであり、またそのようなコンテンポラリーな BGM を手早く作り出せることになると思います。
オススメのスタイルは主に、ファンク、ソウルを中心に、ダンス、ポップス、ジャズ、カントリーなどになりますが、映画音楽的なリズムパターンなら、DAMAGE などのソフト音源を使った方が良いでしょう。
(MOVIE とかありますが、正直微妙で自分で作った方が早い)
その他の機能
基本的に、バッキングパターンはオンオフはもちろん、音色も変更できますし、不要な音だけ消すことも何でもできます。
ただ使い方にもよりますが、そういうことをこれ本機だけでしだすと結局 DAW でやった方が早い、となります。あくまで DAW がメインであれば、目的を持って利用する、と割り切った方が良いでしょう。
少しずつ機能を試していますが、やはり殆ど要らん機能ばかりですね。買いたいと思っている人は自分の使い方に沿うか十分吟味してください。
当然ですが、作曲やその他様々なことをこのキーボードのみで完結したい方は、私が不要と思う機能が、逆に殆ど無くてはならない機能になってくるでしょう。
最後に
急ぎ足でしたが、私が Pa900 を購入した経緯でした。
私の場合、いかに慣れてないジャンルの作曲のスピードを上げることをサポートしてくれるか、が今回の Pa900 を購入する決め手でした。
「あらゆるジャンルの、基本的なバッキングパターンを知ること」
音も良いしバッキングスタイルのクオリティは素晴らしいので非常に参考になりますので、これで普段作らないジャンルの編曲の幅を広げれるといいなぁと思っています。
人によっては、Pa300 や MicroArranger の方がコスパは良いかもしれません。
ミニ鍵盤とタッチビューで無い部分で意見が分かれそうですが、MicroArranger は私も良いと思います。ある程度長く使うのであれば、Pa900 はオススメだと思います。
(Pa900 は高いので安い時を狙って買いましょう)
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