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今回は「ピアノスケッチ」の曲を「サウンドトラックバージョン」へ編曲した例を紹介します。
実は「さぁ曲を作ろう」としたところで、なかなかメロディなど思い浮かばずにすぐ作れないこともあります。
そこでオススメしたいのが「スケッチした曲を貯めておく」という方法です。
ただ単にスケッチを貯めるだけならすでにやっている方もいると思いますが、貯め方の意識を変えるだけで、いざスケッチを本格的にアレンジして曲にする時に理解を深めた状態でスタートさせれます。
作曲は色々なパターンの作り方があると思うのですが、今回の方法があなたの引き出しの一つになってくれたら嬉しいです。
目次
- スケッチは「テーマ」が大事
- リズムとテンポを決めるとうまくいく
- スケッチ方法
- プレイリストを作成し、曲名をつける
- スケッチと編曲したバージョンを聴き比べてみよう
- スケッチの強み
- なぜ覚えることが重要なのか
- まとめ
- 最後に
スケッチは「テーマ」が大事
私は一定の頻度でピアノスケッチを行います。
スケッチはもちろん即興 (アドリブ) で行いますが、当然「ただ闇雲に弾いても良いスケッチにならないことが多い」です。
アドリブはアドリブですが、完全にただスケールを適当に弾くだけでは意味不明なものになってしまう場合が多いのです。
なので必ず私は弾く前に、ある程度の「テーマ」をしっかりと決めてから録音します。
例えば今回は「樹海、銀世界、森、村、王国、花」など「白銀に染まる一つの森の世界観」をイメージして、13曲ほどスケッチしました。
リズムとテンポを決めるとうまくいく
さらに「リズム」「テンポ」をある程度決めてから録音するのがオススメ。
モチーフとなるフレーズが1小節ほど思い浮かんでいるなら、それを広げていくのもアリです。テンポやリズムが決まっていれば、そのフレーズ自体を自然に展開させやすくなります。
アドリブに求めることは適当に弾くことではなく「パッション」だと思います。
冷静に大事に、緊張感を持ってフレーズを弾いていくことによって意外性のあるフレーズや展開が自分の中から出てくるでしょう。
ただ適当にピロピロアドリブを弾く、これは集中していないため、ただ手癖を放出するだけの無駄な時間を過ごすことになります。
しっかりと緊張感を持って集中して弾いたなら、その即興曲、スケッチは後から聴き返してみても良かれ悪かれ、自分の中から出てきたものとして受け止められるでしょう。
ぜひ、緊張感を持って集中してみましょう。
Silver Forest
考えながら弾いている部分もありますし、アドリブなのでミスタッチも沢山あります。
おおよそ、私は一曲の録音で集中できる時間が約2分くらいなので「1曲2分」と決めて2時間ほど集中して出し切ります。
そこからパッと聴いた感じ、面白そうな曲などをチョイスします。
実際は20〜25曲ほど録音しましたが、ミスが多いものや途中で諦めたものは消します。
今回はこの中から1曲だけアレンジして紹介したいと思います。
スケッチ方法
手順としては簡単で、まず最初に下記のように DAW を立ち上げてピアノトラックを10トラックほど並べます。そして以下の通りに進めます。
- 2分と決めて、その時間内でイメージを膨らませてピアノで即興で弾きまくる
- 1曲2分のピアノトラックを10曲くらいピアノ曲として1曲ずつバウンスする
- それらをiTunesのプレイリストへ入れて最低10回は聴く (流しっぱなしにする)
- 10曲全てにそれぞれのイメージにあった「曲名」をつける
プレイリストを作成し、曲名をつける
このようにバウンス (ピアノで録音したトラックをMP3ファイルに書き出す) したトラックを iTunes などの「プレイリスト」に入れて、各曲を何回か聴いた後にイメージした雰囲気に近い曲名を付けてあげてください。
このしっかりと完成してもいないスケッチに「曲名を付ける」っていうのが、今回最もオススメしたい提案です。聴いているうちに、トラックリストを見ているうちにも曲が存在してるように感じ始めます。
ジャンルやアーティスト名、そしてコンセプトに沿ったアルバム名も付けて、出来たらフリー素材の写真をネットで検索してイメージに近いものを用意しましょう。
自分のスケッチした曲に一つのアルバムを作るくらいの「愛情」を持ってください。とにかく未完成でも曲たちを「存在」させましょう。
スケッチと編曲したバージョンを聴き比べてみよう
では実際に聴き比べてみましょう。上が「ピアノでスケッチ」したもので、下が「サウンドトラックバージョン」です。
Living in the Forest ~森での暮らし~
ゆったりとしたイメージで「森の中で暮らしている人たち」をイメージしていました。ミスタッチなどは気にしなくて良いです。あくまで大体のメロディと雰囲気が大事です。
Village in the Forest
こちらが即興で弾いた流れを軸にメロディを整えて再構成。息継ぎがイメージ出来るようなメロディだったので「フルート」の音色を選びました。アルペジオの伴奏部分はピアノだとスケッチとあまり差が無いため「ハープ」にしてみました。裏メロに「ホルン」を入れて完成です。曲名も少し変更しました。
スケッチして何回も曲を聴き、自分の中に消化して寝かせたからこそ、このアイデアになったと思います。
スケッチの強み
最低限のピアノ演奏で録音された1曲2分のトラックを、10回も聴けばまずその曲をある程度は覚えます。この覚えることが重要です。
中途半端なスケッチとはいえ、覚えた曲というのはその場ですぐ1から作ろうとしている何も決まってもいないメロディ、もしくは曲に比べて編曲しやすいのです。
理由は、作曲に入る前にある程度聴き込んでいる為、アレンジバージョンをイメージしやすい事が考えられます。スケッチを聴いている段階で「こんなアレンジにしよう」と思い浮かぶようになることが近道です。
「さぁ曲を作ろう」としたところで、何も決まってなければいつまでたっても行き当たりばったりにフレーズを弾いたりするだけで、どんどん時間が流れていきます。
私は今回、13曲ほどスケッチして車や寝る前などに曲名を付けて聞き流していました。
すると、本当にそのような曲名の曲に聴こえてくるのです。それがイメージに繋がります。何も思い浮かばないスケッチは、消去するか曲名を変更します。
そしてとっかかりのメロディ、覚えやすいセクションなどの雰囲気をアドリブのぐちゃぐちゃな展開なりに段々と覚え始めます。
この段階で、あなたはすでにスケッチを一つの曲として認識し始めているのです。
なぜ覚えることが重要なのか
作曲に対して熟練した方は別かもしれませんが、人は1回目で聴いた曲をすぐ理解したり、好きになる事はそんなしょっちゅう無いと思います。もちろん良い曲、自分が好き系の曲は別としてです。
ですが、微妙な曲でも何回も聴いて覚えると好きになっていたりすることってありませんか?
「好きだから覚える」こともあれば逆に「覚えると好きになる」こともあります。
一発目でカッコいいと思える曲は世の中に色々ありますが、中にはあとからジワジワくる曲もあるのです。
スケッチの段階で自分が聴き込むと、その曲のことをある程度理解できます。これはスケッチから作曲する時はもちろん、アレンジする時などにも有効です。
自分が分かっている、理解している曲はアレンジしやすいのです。
理想的なのは、スケッチを何回も聴き、イメージが湧いてきて自発的に曲を形にしたくなるパターンです。
「曲のイメージが湧く」と言う事は、7割は完成したようなもの
スタートラインをこの状態にするのが理想的です。
まとめ
・スケッチを集中して量産しておき、それらを垂れ流しで良いので聴き込む
・スケッチは必ず「テーマやコンセプト」を決めてから即興する
・バウンスした曲は名前を付け、自分自身に"1曲として存在している"と認識させる
・音色だけある程度決めておくなど、アレンジをある程度イメージさせる
最後に
メロディを貯めるのはピアノ音色で無くても、ギターやシンセ系でコードを弾くなど、そういったスケッチでもかなり有効です。
コード進行だけでも聴き込めばメロディが浮かんでくるかもしれません。
とにかく1曲として存在させて聴き込むことが大事です。
作曲方法は人それぞれだと思いますが、曲を作ろうとしても、適当に音色を弾いてるだけでただ時間が過ぎてしまう事が多い方は、是非この方法を試してみてください。
「形にする事」「適当に弾いたものを残す事」「名前を付けて存在させる事」
これらを意識しながら、自分の中から出て来たものを取りこぼさないようにしていきたいですね。