ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

3つのMIDIデータを編集するだけ【BGMの簡単なアレンジ方法】とは?

f:id:Andy_Hiroyuki:20160408172112j:plain

Photo by Alexander Master

自分の曲をアレンジしたい」けど、フレーズなどは殆ど手をつけずにもっと簡単に曲の雰囲気だけでも変えたい時ってありませんか?

アレンジと言ってもその規模やコンセプトによっても方法は様々だと思います。今日はその中でも「3つの MIDI データを編集するだけで簡単にアレンジ出来る方法」を紹介したいと思います。

目次

作ったオリジナル曲をアレンジしよう!

私はインスト曲(歌が無い楽器だけの曲)を制作しています。私が作ったオリジナルの曲を例に、BGM を簡単にアレンジできる方法を紹介したいと思います。

もし一つ曲を作ってみて、違う雰囲気にアレンジしてみたいけど一からまた作るのは少し面倒、と思っている方へ「とりあえずこれだけ変えれば良いよ」っていうことをいくつか紹介したいと思います。

変更するデータは3つ

手っ取り早く曲の雰囲気を変える方法としては下記の3つの MIDI データを変更しましょう。

  1. キーを変える
  2. テンポを遅くする
  3. 音色を変える

ではまずこちらの曲を聴いてみてください。RPG のフィールドや荒野をイメージした曲です。

Field Theme ~異邦の地図~

こちらが「原曲」、そして巻末にアレンジバージョンを貼ってあります。

1、キーを変える

キー (調性) を変えるというのはこの3つの中でも最も変化を感じさせれる方法です。曲の感じがガラッと変わります。DAW にはキーを変更できる「トランスポーズ機能」がありますので、その MIDI データを下のように変更してみましょう。 

・明るい印象にしたければ+1(半音)、+2(1音)

・暗めに印象にしたければ−1(半音)、−2(1音)

キーを変える時の2つの注意点

キーを変えると手っ取り早く雰囲気を変える事が出来ますが、お手軽な反面注意する点が二点あります。

①音域の確認

トランスポーズ機能を使うと対象のトラックの音域、音程の MIDI データを一気に変更できますが、「変えた楽器の音 (音程) が消えていないか」を確認しましょう。

楽器の出せる音域をオーバーすると音が鳴らなくなりますので、元々原曲の段階でギリギリの音域で鳴らしている場合、1番高い音だけ鳴ってない、消えているということになっているかもしれません。

その場合メロディを少し変えるか1オクターブ下げるか色々試してみてみましょう。「これ意外考えられない」というようなメロディの場合は不自然になってしまう可能性もありますが、大抵は回避できることが多いです。

キーを変えすぎると崩壊しますので、±1〜4くらいまでが妥当と言えるでしょう。

②リズム楽器は変更しない

二つ目の注意点は、リズム系、パーカッション系、ドラムは変更しないこと。これらの音色はキーボードの黒鍵と白鍵一つずつに、楽器別にサンプリングされた音色データが割り当てられていますので、これも一緒に変更するとリズムが大崩壊します。(まぁそれはそれで面白いけどw)

トライアングルの音が太鼓の音に変わっていたり、とまぁそんな感じに、夜中のドンチャン騒ぎ的な感じなってしまいます。なので、キーチェンジは基本的にメロディを担当する音色のみを変更しましょう。

原曲が元々どんな雰囲気を持っているかによって、一概にキーを上げたら明るくなるかと言えばそうでない場合もあります。そこが音楽の面白いところなのですが、切なくなったりカッコ良くなったりと、本当に面白い機能です。

上手く利用して楽曲に変化をつけましょう。

あえて「原曲自体のキーを変える」という逆パターンを使う手もあります。 

2、テンポを遅くする

なぜテンポを「変える」ではなく「遅くする」という風にしたのか。理由は「遅くする方がアレンジが成功することが多い」のです。やってみると分かりますが、テンポを上げただけでは、何故だかただの早送り再生にしか聴こえないのです。

これは私も研究しているところですが、恐らく曲の印象を形成しているメロディやフレーズ自体が関係しているのです。「元々速く感じさせないフレーズを速く弾いても速さは出ない」ということでしょう。

基本的にテンポを下げると「重たい雰囲気」「夜っぽい雰囲気」が出ます。 

3、音色を変える

これは使用している全ての音色を変えるという意味ではなく、一部の音色だけでも効果が出ます。なるべく近い音色に変える方があまり他のデータを弄らなくても良いのでオススメです。

ピアノをエレピに変える。ストリングスをシンセストリングスに、など。それから特定のトラックだけ「音をミュートする」のもかなり効果が高いです。

特にリズム系の音色をミュートするとガラっと雰囲気を変える事ができます。 

音色を変える時の注意点【補足】

フレーズの音数、特に和音などを担当する音色や楽器に注意しましょう。

例えば、元々ピアノの音色であったデータはピアノらしい演奏になっていることが多いです。それをいきなりストリングス系に変えたら、ストリングスに適した演奏になっていないので間違いなく崩壊するでしょう。

それからフレーズの音数はもちろん「サスティンペダル」の MIDI データや、シンセ系であれば「モジュレーション」などの MIDI データにも注意しなければなりません。ペダルが必要の無い音色にペダルの情報が残ったままだと音が濁ります。

これらの MIDI 情報を消すなりして、音色にマッチしたデータに変更しましょう。 

まとめ

1、キーを変える

・トランスポーズは±1~4くらいまで

・リズム系の音色は変えない

・楽器の音域をオーバーしていないか注意する

2、テンポを遅くする

・ただのスロー再生、早送りになっていないかフレーズと雰囲気をチェックする

3、音色を変える

・楽器らしさを形成している要素に注意する「音数」「ペダル」「音の長さ」など

・ミュートも有効

・近いカテゴリーの音色同士が有効

・音色によってはベロシティの強さにも注意する

 

以上、簡単にアレンジできる方法をまとめてみました。

もちろんこれらをベースに EQ やリバーブ、エフェクトの定位などを変えたり色々試してみるのもオススメです。

ただ最初は下手に色々弄ると、結局何がしたかったのか分からず崩壊する可能性が高いので、まずは紹介した3つの方法だけで変化を持たせてみるのが良いかもしれません。

 

こちらが冒頭で紹介したフィールド曲のアレンジバージョンです。

Moonlit Night Wanderer ~月夜の放浪者~

ちょっとイジっただけですが曲の印象を変えれたと思います。

このように少し工夫すれば、〜の曲の〜バージョン、というような位置付けの曲が比較的短い時間で作ることができます。

もちろん、慣れてきたらがっつりアレンジしても良しなので、研究あるのみです。

こんな記事もいかがですか?