ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

シンセサイザーで音創りしたい人は、どこまで自分が踏み込むべきかを決めよ!

f:id:Andy_Hiroyuki:20181222213414p:plain

 

シンセは大きくアナログとデジタルがあるが、一般的には

アナログは音圧があって暖かなサウンドだが値段が高い

デジタルは利便性はあるが、リアルタイムパフォーマンス、音創りの操作面でアナログよりも劣る

 

 

どちらもメーカーによって個性は分かれるし、使いやすさも求めるサウンド、パフォーマスによって好みはある

 

そんなシンセだが、アナログデジタル問わず、自分で音を作れることが魅力だ。

しかし、音を作る、と言うことだけで引っこ抜いて考えると「どこまでが音創りだ?」と言った疑問が浮上する。

 

プリセットのピアノのリバーブを変えたり、ストリングスのエンベロープをいじるだけでも音創りと言える。

 

サンプリングが出来る機種であれば、自分で外部から音を取り込んで、それをソースに面白いサウンドを作ることも可能だ。

 

だが、結局は「自分の目的の応じて、どこまでやるか」と言う話になる。

 

音を作るとは?

キーボードやシンセを弾く人は、少し慣れてくるとプリセットの音をそのまま使いたくない、と言う傾向が出てくる。

文字通り、「自分だけの音を創りたい」と言う想いからそういった行動に出る。

また、せっかくシンセを買ったのにプリセットばかり使ってるのはどうなんだろう?

そんな疑問もあるはずだ。

 

つまり言ってしまえば

「オリジナリティを出したい」

これに尽きると思う。

 

そこで2パターンある。

  1. 一から自分で作るのか
  2. プリセットからカスタマイズするのか

 

言うまでもなく簡単なのは、2、となる。

サウンドの軸が崩壊しない程度に、少しずつ音をいじくりまわす。

例えば、ブラスの音をEQで削ったりフィルターをいじってシャープにしたり、ファットな感じにしてもいい。

ブラス、と言う概念を捨て去り、キレのあるエッジなサウンドでリズムを出す、と言うのもいい。それはもはやブラスというよりかはシンセだ。

生のブラスサウンド、構成にとらわれず自分が曲に対して適正かどうかを判断することが大事だったりする。

 

逆に1のパターンだが、実は面白そうに見えて難易度が高い。

一から作る、というのは、波形を選んで、そいつを味付けしていくという感じになる。

 

もしこの時、実験ではなくサウンドに明確な目標があるなら

「この波形音を、楽器に似せたいのか、シンセにしたいのか」

を決めて作業に取り掛かった方がいい。

音創りは意識してイメージしたサウンドに近づける方法と、

全く適当にパラメータをいじるパターンがある。

 

どこまで偶発性に期待し、どこからは自分で具体的に調整して仕上げていくのか

それも面白いかもしれない

 

だが、大抵テキトーにいじくりまわすだけだと変な音が出来上がるし、一定以上は勉強しないと到達できないようなサウンドだったりする。

 

しかしシンセの本質はこの「適当にいじる」ってのが醍醐味。

だから両方とも必要な感覚出会ったりする。

 

プリセットにシンセの波形で作られたサウンドがいくつかあると思うが、

例えばパッド、であれば、これは目標がシンセなんだ。

目標となるサウンドの役割としては、だいたいストリングスがベースになっている。

ストリングスでは具体的すぎるから、ウォームでかつ、不思議な雰囲気を創りたい、というわけだ。

 

次に、ブラス系だ。

JUPITER-8など代表されるブラスサウンドはノコギリ型の波形から生成されている。

いうまでもなく、シンセの波形からブラスに似せようとしているわけだ。

でも実際の使われ方としては、生ブラスの代用では無い。

シンセブラス、という音色が独立して存在してる。

 

今ではブラスの波形が入ってるのは当たり前だが、それがなかったから工夫してブラスに似せた、というわけ。

それはストリングスも然り。

それが偶然にも、生っぽく無いけど、これもいいじゃん、という感じで音色の1つとなっている。スーファミのストリングスが、サンプリングして実装した結果、あの劣化した音だが、結果的にあの音が独立して味わい深いものとなっている。

不思議なことだ。

 

なので整理すると、一から音を作るってことは

「既存の音を作るのか」

「聴いたことが無いようなサウンドを作るのか」

「シンセ波形を使って既存の音に似せたサウンドを作るのか」

になる。

 

カスタマイズする、というのは、自分の奏法や曲に合わせてサウンドを適正に調整する、ということ。それはプリセットからでも問題ないし、プロが作ったプリセットの方がサウンドの軸は高性能なので、そのほうが早いし良い結果になることが多い。

 

サンプリングはワンショットだけ録音して、アサインした鍵盤でSE的に鳴らすパフォーマンスが多い。

普通に音色として弾けるようにするサウンドを作り、それをプリセットと同じくらいの立ち位置に持ってくには敷居が高いが、多少変な音でも個性を出すという点では良い。

自分の代わりとなる音だけ徹底的に作る

最近のPCMシンセであれば生楽器の音はプリセットの音から少し調整するだけで十分な品質を備えているものが多い。

全ての音色をオリジナルにしなきゃ、というと大変だし質も落ちるかもしれない。

何よりキーボーディストは他にもやることがあるし、レイヤー、スプリットで役割も多岐に渡る。

そこで、生楽器はプリセットを使い、シンセ音だけは作る、と決めてもいい。

ソロを奏でるリードサウンドだけは、自分のキャラクターを出す音を作るなど。

曲の中でアピールポイントはいくつかあるが、メリハリも重要だ。

バッキングはきちんと既存音でこなし、ソロは聴いたことが無いようなサウンドでオーディエンスを魅了するというのも、住み分けが出来ていて良い。

終わりに

やはり作曲とバンド演奏、それぞれで音を作る、というのは少し異なると思っている。

バンドは弾くこと、演奏する、という音色に仕上げる反面、作曲ではもはや打ち込みからして異次元なサウンドだ。

人間が弾けないパフォーマンスをする、ということ自体でももはや音創りと言えるのかもしれない。

ならば、プリセットでもアイデア次第では全然オリジナリティを出せる、というわけだ。

 

オリジナリティとは何か?

それは「アイデア」だと思っている。

アイデアさえ詰まっていれば、プリセットを使おうが、それは個性だ。

それを踏まえて、

シンセサイザーを使いこなさなきゃ!という変な呪縛から己を解放してやるべき