DAW武者修行16日目
今日はよく使うハードシンセについて短く書こうと思う。
ハードシンセは目に見える存在感があるので、正直所有欲を満たしてくれる存在ではある。しかし、コスパが良いか悪いかは使い手の使用頻度次第だ。
ソフトシンセが主流な今、作曲でハードシンセを使う人は少ないと思う。
アウトボード類などは使ってないし良く知らないので書けないが、シンセに関してはソフトの方が完全にトータルリコール面で考えても秀でている。
正直ハードの方がサウンドに厚みがある、とは言うものの、正直そんなのDAW側でどうにでもなる話ではある。
多分、同じトラックで聴き比べしない限り一般的にはわからないだろう。
と言うわけで、主に私は気分で使っていると言う感じだ。
目次
ハードに何を求めるか
ハードシンセは外部音源、エクスターナル扱いで操作すれば、DAW上でMIDIは整えれた上でオーディオに変換できる。
だからギターなどの生録音に比べても、クオンタイズなども基本的にできるので問題はない。だが、ぶっちゃけかなりめんどくさいし、書き出してからだと後からテンポやキーを変えたくなってもめんどくさい面がある。
そんな中、ハードシンセをわざわざ持つ理由は、コンテンポラリーでベーシックな音色が入っている、と言う点が魅力的だと思っている。
Integra-7に通じるJUPITER-80はまさにRolandのサウンドだし、打ち込み以外でも、多重レイヤーは色々な可能性がある。
何より見た目も良いし、鍵盤のタッチも極上だ。
あと私はプレイ的にベンダーとモジュレーションは一体型を好むので、マスターキーボードは今のとここれがベスト。
ピアノ弾きが言うセリフでは無いが、打ち込みでピアノタッチは疲れるしグリスし難い。
オルガンは良く使うから余計にそう思う。
まあ実際にはDAWで使い辛くても、部屋のインテリになるからと売ることができずピロピロ弾いてしまう人が多いと思う。
もう一つはKURZWEILのPC361を使っている。
こちらは何と言っても、サウンドデザイナーが非常に優秀な仕事をしている。
どの音色も非常に丁寧なプログラミングで、とにかくサウンドがはっきりしてぼやけていない。プレイヤーのことを非常に考えているようなレスポンスなんだ。
そして、各スライダーに割り当てられているMIDIが非常に機能的。
しかし音創りの可能性がある反面、エディットは非常にやりにくい。
また、プリセットが優秀すぎるため、自分で適当にサウンドを作ると、一気に素人感が出てしまう。
ただリバーブやエフェクターは素晴らしいからライブなどでは抜群に良いと思う。
サウンドトラックではプリセットで十分だと思っている(音創りが得意で作曲にも反映させれる人は良いが)
KURZWEILはのサウンドは、とにかく素晴らしい。PCMハードシンセとしては完成度が非常に高い。
JUPITER-80とKURZWEIL PC3
JUPITER-80の良い部分と言うか、自分が使っている部分だが、主にFX系のサウンドが素晴らしい。あとはベーシックなシングルサウンド。
リバーブが調整しにくいのが難点で、基本的にはオンオフか階層に入る必要がある。
その他のMIDIも、自分で設定しなければならないので、選んですぐ反映させたい場合はやっぱPC3がすげえわ、って思ってしまう。
やはりその面で言えばJUPITER-80は、あらかじめ作り込んで鳴らすシンセだ。
ライブセットは印象的なのでプリセット感が半端ないのだが、レイヤーをいくつか外して、シングルモードのレイヤーまで削いでやると、良いサウンドが見つかりやすい。
コードを弾くだけで重厚なサウンドが鳴らせるから、弾きながらサウンドトラック感に浸る分には良いのだが・・・
デモンストレーションでゴージャスにアピールする上では良いかもしれないが、緻密な音の重ね方を要求される作曲ではそのまま使えない。
シングルモードで選んで調整することになる。
KURZWEILもそうだが、こちらもセットアップモードのプリセットは基本的にシンセだけでジャムれるようにプログラミングされているので、DAWでは使えない。
結局はシングルモードのレイヤーサウンドが重要になってくる。
個性的な音とは何か?
個性を出すためにハードを使いたい、と言う想いがあった。
逆に言えば、それだけで個性を出せると思っていた、ってことかもしれない。
単純だ。
そして、キーボードプレイヤーだった名残から、どうしてもMIDIマスターキーボードだけでは寂しいとう情けない理由から、ハードシンセは10%くらいしか使えてないのに所持してしまっている。
正直言う、全く値段分は使いこなせてない。
だってソフトシンセの方が超便利だから。
でもハードも良い、って思ってしまう。病気だろうか。
トータルリコールが便利とはいえ、実際には曲をフィニッシュしたらプロジェクトを開いて再度いじりだしたりすることって無い。いじり出すとキリがないし。
だから録音したらもう腹をくくるしかない。
そんな感じなので、結局はソフト9割と、ハードの音を1割遊びで入れていると言う感じだ。別に探せばソフトでも似たような音はあると思う。
個性的な音って何だろう? そんなのソフトシンセでも問題ないとは思う。
ただ、ライブではその限りではない。あくまで作曲で考えた話である。
正直、曲のクオリティが一定の水準以上になればどうでも良くなってくる話ではある。
アナログシンセ
そんな中、海外のフィルムコンポーザーのスタジオを見ると、相変わらず大量のハードを所持しているのが見受けられる。
電子系のアーティスト以外にも、オーケストラがメインの人でもハードシンセはかなり持っている。
良く見て見ると、PCMと言うよりかは、アナログシンセがほとんどだ。
それもビンテージシンセが多い。大事に保管されているように見える。
おそらく、ここぞ、と言う時に使うのだろうか。
DAWの椅子からかなり離れたところに置いてあるので、常に弾いてる人とそうでない人は見てわかる。
ハードシンセはノイズ処理も面倒なので、 アンサンブルが分厚いパートで入れる分には良いが、音が少ない部分で入れる気がしない。
これらを扱う人は、センスはもちろんだが、非常に丁寧な音創りをする能力と、ハードを扱うと上での細かい処理と根気がいると思う。
そこまでする人のサウンドは、かなり魅力的になりそうだ。
音の重ね方
私は自分の性格を考えるとO型なので、凝り出すと凝り出すが、基本的にはデモは超アバウトに作りたい性格だ。そこから不要な音を削ぎ出す。
そんな私が最近改めて気づいたことだが、
適正なフレーズ、音域、音色がうまく組み合わされると、トラック的に音数が少なくても すごい存在感の出る曲になる。
まさに、選ばれた音色、フレーズ達だ。
もともとハードシンセに求めたいことは、一音色の存在感だったりする。
これも難しいが、ボリュームをうまく使うことで音を無駄に重ねなくてもバランスのとれたサウンドになったりするから経験値を高めるしかない。
まぁ作り手の好みなんだけど汗
しかし次のプロジェクトで求められるサウンドを見る限り、もうハードを使っている場合じゃないと言う感じはしてきた。
そろそろ本腰を入れて、ソフトシンセの音色を徹底的に探してライブラリーの管理をしていく必要がある。
終わりに
キーボードを弾かなかったら、絶対にハードは持っていないと自分でも思う。
情けないが、売ろうとしたりやっぱり使おうとしたりの繰り返しの状態ではある。
でも良く考えたら、一生使っていく、と言う風に考えたら、まだ10%くらいしか使ってなくても悪くはないかもしれない。
難点は良い音色が多すぎて迷うことだ。
多分だが、弾いた時のレスポンスが良いから、良い音、って余計思ってしまうんだろう。それは、紛れもなく自分がキーボードープレイヤーだからだ。
しかしそれは、音だけ聴いて判断することとごっちゃにしている感はある。
レスポンスは非常に感覚として大事だが、MIDIを扱う作曲ではあくまでサウンドが重要だ。
なんか音色がいっぱいある感、はソフトもハードも変わらない期待感と言える。
当分はまだまだハードを使うことになりそうだ。
DAWの武者修行
自分と使う道具の関係性を客観的にどう見るか、を常に考える人にとっては、有効な自己分析なのかも。