「あんた、明日までにプリセット全部聴いて感想提出しなさい」
シンセを買ったらまず第一にすべきことは
「プリセットを全て聴くこと」である。
今日はこれについて書いていく。
目次
シンセ買ってありがちな行動
大概そうだが、シンセを買って1〜100あたりまで順番に音を鳴らしていく。
これは誰でもやる。
最近のシンセだとプリセットが1000とかあるし、アナログで厳選した感じのやつでも256-300とかある。
セットアップ、コンビネーション、など、レイヤースプリットモードになるとさらにカオスだ。やりたい放題だ。
だがそんなのはソフトシンセと一緒で、1〜20(順番はどっからでもいい)あたりまではサウンドそのものの小さな変化に敏感になり真剣に聴いてはいるが、
20〜100なんてテキトーに聴いてるんだな実は。
気がついたら常に右手はダイヤルを回していて、左手で鍵盤押しながら
「お、この音いいな」
って感じたサウンドだけ反応する。そんなレベルだ。
どんなけ対して変化のない不要な音色があるんだよ。
電車で無数の雑踏の中でカワイイ子がいたら目に止まった。
見ちゃった。
実際そんなレベルでプリセットを流し聞きしてるんだな
何が言いたいかって、ずーと音色選んでると耳が麻痺して
「集中力が切れる」という話。
でもこれって、本能で言えば「相当おっ!って思う音じゃないと反応しない」
ってことで。
デモ聞いててもやっぱり良いプリセットはみんな反応がいいんだ。
そこで自分の音に対する気持ちも分かるわけで。
その音に対して「どう感じたか」を知る
おそらくだが、
「プリセットを全部聴くぞ!」って本気を出さない限り、聞かんだろう。
だって目的もなくちょっと音を出そうとして、普通にひとつでもいい音があったら、それを何分か弾いちゃう。
もうそれで満足。すると奥にあるプリセットほど触らなくなる。
せいぜい音を作るときに、鳴らしたいときにそのカテゴリーから探す、という聴き方をするのが一般的である (自戒)
するとまぁカテゴリーボタン押して前半とかに出てくるやつ以外ほとんど聴いてない。
「プリセットをまず全て洗い出す」というのがなぜ重要かと言えば
紛れもなく「その先へ行くため」である。
シンセを買った人間がすべきことは基本的には「使い倒す」ことが目標となる。
それには、まず「何が入ってるのか」を知る必要があるんだ。
そうしないとどうなると思う?
彼女と付き合っていて、表面的な部分しか見てなくて、
「あんた私のこと何にもわかってない!」
っつって、イキナリブチ切れられるのと似てるんだ。
そんなん急に言われても知らんがな、って男は言い訳するんだが、そこまでことが進むと他でプラスに持っていかないと女の子はブチ切れたままだ。
やってしまってからでも遅い。
基本的に道具は、最低限全て知った上でさらに何ができるか? である。
もしくは、「自分はどこまで使って、どこからを不要だと切り捨てるのか?」
を決める。
シンセは多機能なのだ。
メーカーもユーザーに可能性を託して作っている部分もあるし、それは自分たちでも想像がつかないような使い方をしてくれることを望んでいるのかもしれない。
モンスターシンセ、と呼ばれるものがだいたいそんな感じなスペック。
だがモンスターを扱えるものなどほとんどいないわけで・・・
多機能と知った上で知れることは知っておく
人間と一緒で、知らんかったことが後から次々と浮上するなんてことは日常茶飯事だ。
それは多機能なシンセでも同じ。
プリセットある程度を全て知っておけば、サウンドをレイヤーするときにイメージがしやすい、という点である。
ブラス系で〜とか言って探し始めると、いつの間にか違うことをやっていたりする。
good
確かブライトなブラスはあったから、あれとキレの良いストリングもあったからそいつらを組み合わせるか。
bad
なんか面白さ王なシンセの音ないかな〜 あ、この音面白い。この音もいいな〜ピロピロ〜 1時間後・・・あれ、俺何をやろうとしてたんだっけ?
前者はやることがもう決まっていて、それでさらにイメージと違えば次のアクションを起こせる
後者はまず探すところから始まる。
プリセットをほとんど何も知らない、あるいはさらっと聴いたけど覚えてない、というのはいつまでもそのさきに進めないのである。
感想を書く
メモでいいから、プリセットを順番に聴いていって、感想を書いてみるのがオススメ。
これ結構根性いるんすよ。
今やってるけど、1つ1つの音色とまともに対峙しようものなら、一人一人の人間とカウンセリングしているようなものって感じ。
確かに疲れる。
でも、それって感覚で処理、スルーしてたことを言葉で表す、ってことで。
面白いし、今までやってたことと違うことをやる、って感じでオススメ。
意外や意外、正直な感想を書けばそのシンセのプリセットが実際どうなのか?ってのが自分でわかってくる。
これ同じシンセで人と感想交換したら正直相当面白いと思うな。
例えば
ピアノは何十種類かあったが、あまり変化のないものばかりだ。
この音は音が輪郭がはっきりしないからソロでは好みじゃないけど、静かなアンサンブルではバッキングで溶け込むかもしれない。
エディットで調べたらサンプル自体が違うものもあれば、EQやリバーブの加減が違うだけだったり、ベロシティが細かいものや甘いもの、色々ある。
中域がいい感じ、高音域がいい感じ、低音が濁らずハッキリ鳴る、など。
これはその時は自分がそう思ったのかもしれないし、時が経てば「ああ、こういう時に使うといいんだなこの種類は」と言った具合。
経験によって色々な感想が出てくる。
その時の自分の価値観を記録しておけば、成長を確認できる。
同じ機材をずっと使っていくなら、感想は変わるかもしれない。
少し触ってすぐ飽きて買い換えれば、ずっと同じような価値観かもしれない。
どれもイマイチなリード音ばかりだ。
結局はアナログ波形のシンプルなやつが良いだけで、あとは変な耳の痛いサウンドばかり。
なんか味気ない音だなー
あ、だから作曲で使うとちょうどいいんだなこれ。
そういうのもそう思ったら感想を書いておく。
感想をかく、となると、絶対普段よりも多少真剣に聞く。
新製品が出て動画取られてる緊張感の中なら、研ぎ澄まして1つ1つサウンドを真剣に聞くだろう。
特に難しくはなく、ガチで聴いて見てどう思ったのか、それを書くだけでいい。
マルチモード、セットアップ、ライブセット、コンビモードなど
シングルプログラムを組み合わせて作られてるパッチなど、アルペジエイターやシーケンサーが作動して理解しづらいサウンドがなる場合がほとんどだ。
それはおそらく、作った本人は思い通りの演奏、パフォーマンスができる。
しかし全く違う畑から来たユーザーが聴いたら
「何じゃこりゃ、どうなってる!音が止まらんぞ!」
まさにキーボードコーナーで鍵盤を1つ押したらデカイ音が鳴り始めて止めたくても止まらない!みたいな現象だ。
まぁそれは言い過ぎだが、そういうこともどんどん書く。
「これはどういう場面を想定して使えばいいパッチ何だ?」
「これは一人ジャムセッションか?」
「ファンクのドラムとバッキングが鳴るな〜 自分が弾く部分はオルガンがセットされてる 、ギターのやつとセッションするか!」
「和音押しただけでEDMッぽいサウンドだ。かっこいい!でもこれ俺が作ったわけじゃないし、俺ただ三和音教えてるだけやん。悲しいな」
まぁ色々な感想が出てくる。
どう使いたいのかがわかってくる
キーボードデモンストレーターの氏家さんでもない限り、初見でシンセと対峙して
「これはこれは・・・いいですね〜抜群ですね〜」
ってセッションし始めれる人もそういないと思うんだ、うん。
製作で使うのか、即興で使うのか、逆に「これ絶対使わんわ」って自信持って言えるなら消してもいい。上書きしてもいい。
複雑でキリがない。
これは使わない。これだけ使おう。でもいい。
そう決めたならそれが自分の使い方だ。
終わりに
ソフトシンセのプリセットはソフトによっては数が膨大すぎて、なおかつハードシンセよりも数集めみたいな音が多い場合が多い。
だからソフトシンセに限っては作曲で使う場合、その場その場で探す方がいい。
もし頑張って聴ける数ならレート星を付けておくのがオススメ。
むしろいいサウンドが見つけれたら儲けもんである。
だがハードはわざわざ所有しているわけなので、もう少し深掘りしたいところ。
とにかくプリセットをまず洗って、そこからどう使うか、へシフトすると、アイデアを出しやすい。
「そのシンセがまずプレーンな状態でどんな音が鳴らせるか」
これが分かるだけでも、色々とイメージがわく。
ステージピアノでさえも、プリセットバンクをエディットして、波形レベルからチェックするだけでも相当すごいことが分かる。
ステージピアノでそうなんだから、実際、ワークステーションシンセやキーボードなんかは相当やばいってことになる。
MODXでも十分なのに、MONTAGEがかっこいいからいい!
KROMEより、KRONOSの方がいい!
JUNO-DSよりFAがいい!
っていう人は、下位機種でもバケモンだぞ、って覚えておくと良い(自戒)