シンセの音というのは奇抜なサウンドからベーシックなものまで色々あるが、いずれも考えたいことは「相対的な使い方」で印象が変わると思ってる。
簡単に言ってしまうと、ダラダラ好き勝手使うのか、意図を持って使うのか、である。
1つのゲームがあるとして、その中で例えば使われる曲が20曲ある場合
その20曲はどんな音色がメインになっているのかでシンセの立ち位置が変わってくる。
20曲のうち、18曲が何らかのシンセのサウンドが入っている場合、
これはその作品においてシンセの音というのは雰囲気さえ出せればどんどん使っても違和感がない感じになる。
しかし、20曲のうちほとんどがバンドやオーケストラ、アコースティックで構成されている場合、シンセの音色というのはその作品に置いては異質な存在となる。
その中でも、例えばストリングスやブラスなど、既存の楽器に近いニュアンスのサウンドはうまく溶け込める場合も多いが、単純なアナログ波形やピコピコしたサウンドなどは明らかにキャラクターが濃すぎて世界観をさらってしまう威力がある。
どのように楽曲に溶け込ませるかにもよるが、一聴して「面白いなこの音」みたいな音は大抵単体で聴くと面白いのだが、作曲に使うとなれば話は変わってくる。
楽曲において個々のサウンドというのは、曲ごとに大まかに役割があり
基本的には「主役」か「裏方」かである。
主役であれば言うまでもなくダイレクトに聞こえてくるメロディであったりするが
裏方の場合、音ではなく周波数でリズムを出す、帯域を埋める、と言うような使い方が想像される。
その場合、大抵良く聴かないとどうなっているのかがわからないことが多いが、
あるとないとでは大きな違いがあるくらい重要だったりする。
そういうレベルで考えていくと、シンセというのは人によって使い方が結構分かれるサウンドであり、個性の出しどころである音なのかもしれない。
くれぐれも、面白いから入れよう、という気軽な感じで入れる前に
「この音はこの曲でどんな効果を担うのか」
という部分をよう考えて入れていきたい。
どう使うかはもちろん自由だし、曲単体で表現する場合は面白ければ良し。
問題なのはゲームや映像といった作品に曲を当てる場合、である。
そう考えると、シンセというのはハードやソフト問わず「プリセットがやたら多い 」ものが多い中、実際使えるのは数える程度である。
なぜなら、同じ音を別曲でどう使うか、を考えた方が作品に統一性が出る上に、1つのパッチの使い方、熟練度が上がるので引き出しが増える。
一石二鳥である。
たとえ1つのパッチでも、フィルターやADSR、エフェクトの組み合わせや調整でもかなり可能性がある。
もしシンセをサブ的な使い方をする場合、「曲自体の方が重要」であったりする。
その場合、役割的にいうと「味付け、スパイス」になるのかもしれない。
9割のアコースティック、バンド、オーケストラのサウンドに1割のシンセが混ざるとは、そういうことである。
出番は少ないが、役割は重大だぞ、という感じ。
「そういう印象」
を目指すのが自分は目標である。