ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【作曲】ゲーム音楽を作りたいなら『SNESサウンド』を基準に考える

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ゲーム音楽が好きで、自分でもゲームミュージックを作ってみたい!

そんな人も多いと思うんです (僕みたいに)

 

今ではゲーム音楽と言ってもスマホや次世代ハードのクオリティ性もあり、そのイメージは年代で少し違うと思います。

けど僕みたいに30代前半の世代にとってはスーパーファミコンやプレイステーションの音楽がドストライクだったりするんですよね。

 

そこでゲーム音楽の発展に欠かせなかった「スーパーファミコンのサウンド」で作曲することで見えてくること、これを考えて見たいです。

(作ってるゲームの宣伝も兼ねて、オリジナルゲームのスクショを貼ってます)

目次

スーファミ音源と今時の音源

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今からDAWを始める場合、最初から入ってる音源やフリー音源でもリアルな音源がたくさんあります。

どれも共通してることが「生音に近くなってる」という点です。

シンセサウンドなら、最初からプリセットが迫力のある音(レイヤーサウンド)に仕上げてあるか。

 

確かにそういう音源で

「ゲーム音楽をイメージした曲を作る」

これももちろん楽しいんですけど、やっぱり弱点としては「音源の統一性に欠ける」という点。

 

僕も最初に作ってた曲とかは、ただ自分で「ゲーム音楽」と言ってただけで、実際の聴こえ方としては、普通のサウンドトラックみたいな感じ。

3年くらいで300曲くらい作ったけど、本格的なスーファミ音源、または近い音源で作曲したことがなかったんです。

 

そこで、最近友人とオリジナルゲームを作っていて、古き良き時代のRPGを作る、ということで、スーファミ音源を使って挑戦してみよう、となりました。

ゲームファンは「SNESサウンド」が好き

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海外のゲームクリエイターにも、SNESサウンドが好きな人はたくさんいて、その音源でこだわって曲を作っている作曲家はいます。

 

8bitのファミコンはNES

16bitのスーパーファミコンはSNES

 

スーパーファミコンの楽曲は、まず本体が8チャンネルのミキサーで対応してるらしいので、最大同時発音数(一度に鳴らせる音数)もそれに付随して8つになってます。

なので、8トラック、8音以下くらいで押さえて作るという制限の中で作ることになるんですけど、これがすごく考えさせられます。

 

余談ですが、

ファミリーコンピュータは同時発音が4つで、和音が3つ(矩形波、パルス波、三角波)まででした。

ホワイトノイズは固定トラックで1音扱い

三角波も固定トラックで1音扱い(3和音のうちの1つ)

パルス波

パルス波のDuty比を広げた「矩形波」も含めた、残りの2トラックを使って3和音+ノイズの1音で曲を作ります。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

 

そんなファミコン音楽に比べて、スーファミ音源ではチャンネル数が8に増えたので少しどころか、相当余裕が出ました。

音自体の幅も一気に増えたので、表現力も相当広がったはず。

言うまでもなくゲームジャンルも…面白い。

 

そして、これらのサウンドで作られた楽曲が、今でも世界中で評価されているという事実があるんです。

 

僕はそこがヒントだと思ってるんです。

普遍的な作曲マインド

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今では楽曲を作る場合って、そもそも歌もののようなバンドサウンドだったり、シンセを駆使したEDMだったり、生音に近い音源を使ったオーケストラだとか、なんでも出来てしまいます。

 

そこに音源による、レベルの高さ、低さ、みたいなのってあるんだろうか?

曲を作り始めた時、それをすごく考えてたんですよね。。。

 

単純に考えれば、

良い音源を買えば、曲のクオリティも上がる、って最初は思ったりするので、やっぱりみんな買うんですよね。

僕はそれほど買ってない方だと思ってますが、音源を積極的に買ったり試したりすることって大事だと思う反面、そこにお金を使うことのコスパも考えてしまうんです。

 

単純に不要だったとか、もあるんですけど、買っても使いこなすまでがめんどくさいので、いつも使ってる音源で追求する方が楽しいし楽だったりします。

組み合わせ問題もあります。

 

やっぱり使い慣らさないと、曲にした時に音がまとまらないんです。

ここが一番大きい。

いくらゴージャスな音が出ても、そこが一番気になる部分。

まとめるのって本当に難しい。

 

僕がたどり着いた考えは

「自分が表現したいことが実現できる音を買えばいいだけ」

レベルが高い低い、リアルかどうかはどうでもよくて、曲の基盤がしっかりしてることと、その音源で作られる範囲での限界というか、使い倒し、みたいなのが大事だと思ってます。

 

それが出来てる作曲家って、やっぱり「音がまとまってる」んだなって。

聴いてて安心できる感じです。

 

自分もそういう統一性や、バランスを表現できるように試行錯誤してて、

その1つが

「スーファミサウンドで、スーファミっぽい曲を作れるようになること」

 

ゲーム音楽の作曲家を目指すに当たって、これは避けて通れない洗礼みたいなもの (って勝手に思ってます汗)

 

スーファミサウンドや90年代の打ち込みのアニメの曲、今でも評価されてます。

懐かしさ、という思い出補正はあるにしても、やはり曲自体も良いから、今でも音源変えたりライブやコンサートで演奏されるんです。

作曲の基礎

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ゲーム曲を作る上での基礎的な部分を見ていくと、

「スーファミ音源でも良い曲が作れるか」

これは基準の1つだと思っていて、それができれば曲つくりの基礎的な部分をきちんと積み上げれると思いました。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

 

というのも、

僕は最初このSF6で作曲した時、うまく作れなかったんですよね。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

上記は作曲を始めた当時に書いた記事ですが、

まさにブーメランのごとく未来の自分に跳ね返ってきて、それを自分で試行錯誤することになったのですが・・・

やはり当時の自分の考えは合っていたと分かりました。

 

音が違う、それだけで同じティンパニやストリングスを使ってるのに、思うような音の重なり方やニュアンスが出せない。

 

「あ、やっぱり自分、わかってないんだなぁ」

 

そこで、まずはパラメータをきちんと見て音作りをしようと思って、シンセサイザーの基礎的なパラメータを変えてその音の変化を確認しました。

 

ずっとやってきたことだけど、やっぱりプリセットが違うので、その音源の癖を見ることが大事だと分かったんです。

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ようやくカットオフ、ADSRはもちろん、ECHOパラメータをいじることで、自分がイメージしていたスーファミのサウンドに調整できるようになってくる。

今まででも普通にいじることがあるパラメータですが、やはりこの音源だと如実にサウンドの変化に現れますね。

 

だからこそ、すごく考えて操ってる感覚はあります。

音源の重要性も改めて知る 

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この音源を使ったことで、改めてサウンド自体の持つ力、それを感じました。

 

このサウンドは色々な人が聴いてきたサウンドなので、まずその音を使うというだけでもアドバンテージ。

そんな音源で縛って作曲してるので、音がすごくまとまるんですよね。

だから調整が普段よりもいらなくてすごく楽なんです。

 

無数のプリセット、音源から自分のテンプレートを組み立てるのは骨が折れますし、いくら好きな音で構成したところで、それがまとまったサウンドのテンプレートなのかは作曲者のセンスにかかってる、そう感じます。

このSF6の音源は、まずそこを考えなくて良いので、作曲に専念出来るんですよね。

 

聴き比べ

最後に、今作ってるRPGのメインテーマの聴き比べ。

フィールドで流れる曲をイメージしてますが、交互にそれぞれの音源で作った同じ曲が流れます。

 

QLSO (定番のオーケストラ音源)

SF6 (スーファミ音源)

 

QLSO→SF6→QLSO ....という順番で流れます。

同じ曲でも、音源で広がり感が表現力が違いますね。 

SF6音源で作る時には、輪郭をしっかり意識してメロディも強めにしました。

もともと音源自体もはっきりしてるので、誤魔化しが効きません。

 

リアルなオーケストラのリバーブ感よりかは広がり感が出ないものの、目の前にゲームサウンドが鳴ってる感を感じます。

なんだかスーファミサウンドの醍醐味ってこれだなって。

 

僕の作り方の問題ももちろんあるんですけど、人気タイトルはこんな感じでリメイクされてきたりするので、そこがゲーム音楽の楽しい部分、楽しみ方だったりします。

どこをアレンジしたのか、という部分ですね。

 

上のデモはQLSOで作った打ち込みは、スケッチなのでぼやけてて参考にならないかもしれませんが、パッと聴き比べた印象の違いを感じていただけたら嬉しいです。

終わりに

もし、ゲーム音楽が好きな方でリアルな音源を使ってる方は一度「SF6音源」を試してみてはいかがでしょうか?

SF6 Library for KONTAKT - twinkledisc (Dios/シグナルP) - BOOTH

すごく勉強になりますし、何より曲作りの基礎、構成しているトラックの1つ1つの重要度を再認識出来るのでオススメです。

他にもFF4やFF5、ロマサガの音源を再現したものもありますよ。

ただ一気に全部揃えようとはせず、まずはどれか1つだけで作り込んでみるのが良いと思います。

これで色々作ってからいつもの音源に戻った時に、ちょっと考え方変わります。

スーファミサウンドで作ったオリジナルのゲーム音楽、ゲームの製作日記に興味のある方はこちらもどうぞ。

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