ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【作曲】スーファミ音源『SF6 Library』で『バトル曲』作ってみた

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以前ロスに住んでる友人とRPGツクールでゲームを作ってると書きましたが、相変わらずそれぞれのペースで継続してます。

彼が自分でキャラとかドットを全て打つとかいう話で、大丈夫かなって心配してたんですがなかなかオリジナリティが出てきてます (その代わり時間半端ない)

  

今日は久々に今作ってるゲームのバトルの作曲記事を書いてみます。

目次

「SF6音源」縛りで作曲 

今作ってるRPGは我々が好きだった、古き良きスーファミ時代のテイストが漂うグラフィックなんですよね。

そこでどんな音源を使うか結構迷ってるんですが、数ヶ月前にFF6の音源を再現した「SF6」をシグナルPさんがリリースしてくれました。

twinkledisc.booth.pm

ハープやストリングスがまんまで、最初は簡単にFFのプレリュードとかコピーして遊んでたんですが、これで今作ってるオリジナル曲を作ろうかと。

以前も「バトル曲の作り方」を3記事に分けて書いたのですが、まぁ細かすぎて「他人からしたらどーでもええわ」ってくらい書いてしまって。。。反省ですね。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

(この記事書いたの2年前か・・・汗)

今回のバトル曲はかなり短いループですが、作った時に意識したことや、見つけたこと、感じたことを書いてみます。

雑魚バトル用の戦闘曲

デモですが、こんな感じの曲です。

雑魚戦、すなわちノーマルバトル。

昔の曲はテンポにもよりますがだいたい1分ループが多いです。

しかし最近のスマホゲームとか、ほんとサクサクテンポの良い作品も多く、雑魚戦は30秒でループとか結構あるんですよ。

プレイしてても、確かにそんくらいでいいなーって思います。

あと、バトル曲を作りたいって思う人はたくさんいると思うんだけど、結構ノーマルバトルって一番聞くから大変だったりするんですよね。

どのゲームも、バトル1っていうのはかなり大事にしている気配があります。

とはいえ、あんまり気にすると作れなくなるので気軽に一曲作ってみるのもオススメだし、短い代わりに密度を工夫してみるのも面白いと思います。

使った音色

ドラムキット

ベース

ストリングス1 (メロディ、SE

ピチカート (アルペジオ

トランペット (リフ

マリンバ (リフ、アルペジオ

シンセ1 (アルペジオ

ロックオルガン (メロディ

今回の曲のコードはEだけ

オンコード的な経過音はもちろんありますが、基本的にEです。

色々と展開させてもいいんですが、雑魚戦なので正直数秒で終わる戦闘なので、30秒〜40秒くらいのループで全然OK!!

 

作った順番としては

イントロ、Aメロ、Aメロ展開、Bメロ、Cメロ、ループ、という普通に順番に作っていったのですが、雑魚戦だからBメロ以降要らんやろ、って話になりバッサリカット。

ループして戻る場所はイントロと少し違うようにしたり、そこ気にしましたね。

まずトラックのテンプレートを作る

いちいち音源を読み込んで確認してたらあかんので、スペックに余裕あれば最初にSF6の音色パレットを用意します。

プロジェクト用のテンプレート、オーケストラでいうひな型を作るみたいなイメージですが、自分が見やすい方法でいいと思います。

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全部トラックを出しときます。

自分が好きな音色を一望でき、好きな音で曲作りのきっかけを試すことができます。

あとは選ぶだけ、差し替えるだけ。

まずは一通り鳴らしてみるとどんな音色か特徴をつかむ事が出来ると思うので、どう使えば活きるかなーとか感覚を掴んでみます。

私が最初に鳴らして見た率直な感想は「FFだ!」でした。

そのつもりで買ったのでまぁ当たり前なのですが、かなり感動しましたね。

あとはやっぱり、「〜の音だから〜の使い方をする」っていう常識は捨てた方がいいかなーって思いました。

どの音色も音域やフレージングによっては、生楽器の代用的な使い方に止まらない可能性を秘めています。

音量バランス 

ドラムキットは1音色で1トラックずつ個別で分けましょう (音量調整が必須)

使うものはその都度プラスしていったほうがいいので、基本よく使スネア、ハイハット、キック、シンバルをテンプレートに出しておけばいいと思います。

タム欲しいなってなったらトラック追加です。

ドラムの各パーツは楽曲の聴き心地にかなり影響を与えるので、この音量バランス次第ではいくら曲自体が良くても騒音になってしまう失敗経験があります。

でもこれって結構人に言われないと自覚できないんですよ。そこが本当に難しい!!

バシッと「お前、その音うるせーわ」って言ってくれる人を配置してください。

そして一回傷付いてください。

もうね、今でも本当にこのバランスは気にします!

基本バランスはもちろん、オートメーションを書くと効果の高いトラックは必ず書いた方がいいと思います(どのトラックかは自分で確認)

コピーとオリジナルの壁

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コピーとオリジナルの難しさの違いは何回も書いてきましたが、今回もやはりそれを感じました。この音源だからこそ余計にですね。

FF6は丸コピーすれば素人なら原曲聴かないと分からないくらい似てしまいます。

やはり、音源がそのままというのがいかにすごいか、そして、だからこそいざオリジナルを作ろうとすると「その差を」思い知らされます。

それは、いかに植松さんがオリジナリティを出そうと工夫してるかが分かるんですが、ドラムパターンや他の手法にしてもそれを参考にしてしまうと一気に植松さんになってしまう。

それらを回避してかいくぐって、他の作曲家の人たちは自分の音創りを実現できてるので、改めてすごいって思います。

とはいえ自分流にすれば最初は音源を使いこなせてないからか、しっくりこない、やはり音的にごまかしきかないので、うまくハマるまで最初は戦いでした。

軽い気持ちで触ったものの、そう思ってしまうということは、私はそれをすごく気にした、ということなんでしょうね。

同時発音数

スーファミって同時発音数「8」ですが、ふだん何気にコードを弾いてるとそれでもう3つ使ってるんですね。

なるべくコードを担当できる楽器、ストリングスとかブラスとかピアノとかは、2音とかでもいい感じの響きになっているかとか追求してみても面白いと思います。

今回だと、トランペット、マリンバは2音でリフを作ってます。

8音で作る必要は全くないし、もっと少なくてもいいです。ついでに言ったら今回はSF6縛りですが、これに違う音源組み合わせても面白いと思うんですよ。

まぁ今回はこの音源縛りですが。

ドラム

ドラムキットは一種類でシンプル。

もうジャズとかロックとかそんなん選んでる暇があれば曲作れっていう。

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今回使ってるのは「クローズ/オープンハイハット、スネア、キック+強打スネア」です (強打スネアってなんだろう、リムショットかなw)

今回の曲的にはクラッシュシンバルを使わなかったのですが「無くてもいいかな」っていう言い方がベストかね。

 

まずざっくり8ビートを打ち込んで、先ほども書いたようにバランス調整して音創りをします。最終的に詰めますが、ここではざっくりしときます。

キックがキツいので、フィルターを少し閉じて抑える感じで好みで調整します。

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基本的なビートを打ち込みますが、ドラムのビートというのは定番のスタイルがあるものの、最終的には「曲のメロディ」に絡んでないとダメだと思うんですよ。

自分はめっちゃここ気にしてます。

うまく絡むと聴いていて気持ちいいんです!(絡んでいたい!)

ベース

ベースもこの音源はハッキリしており、フレーズ1つで印象変わるので重要です。

なるべく特徴的なフレーズを考えていきたいです。

8分音符で刻むのもいいいんですが、積極的に動かしてドラムと絡ませて面白いパターンを作るようにしたい。

イントロは半音階も使って多少トリッキーに。

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この曲の基本的なベースラインは、頭からEを弾くんじゃないしに、DからスライドでEに着地させてE感を出します。頭から弾くよりも面白い効果が出てます。

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こういうベースラインよく使うんですが「うん、ゲームらしいベースラインだ」とか友人が言ってました。

ゲームらしい、か。なるほど〜(ハナほじ)

メロディが難しい

メロディから作るのって結構しんどいんですよ実際。でもメロディは重要です。

ドラムとベースはもちろん、メロディのリズムとドラムも負けずと重要な関係ですが、とにかく自分でも「このダブルスのリズムが合ってないとハマらない」ってことが多いんです (個人的観測)

メロディがダサくなる理由って、そこでリズムが部分的に崩壊していることが多い。

この曲のメロディはオルガンを使ってますが、やっぱりロックオルガンっぽいイメージなんですよ (こういうコロコロした音好き)

ライブで弾くとしてもこういう弾き方する、というイメージですね。

フレーズ的なこだわりとしては、ンタンタンタ、って裏に入れてくこと、食うこと(シンコペーション)、でリズムを出していきます。

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グリスもくどくない程度に入れていきます。

メロディの組み立て型としては、先にドラムの基本ビートを作って、次にベースラインを考えるとメロディが自然なものになることが多いです。

メロディレスでも聴いていられるようなループをまず作って、それに使うスケールを決めてフレーズを弾くのがオススメ。

鍵盤弾けると楽なので、苦手な人はピアノの練習を右手だけでいいのでしましょう!

 

ロックオルガンはスターオーシャンやテイルズの桜庭統さんに影響受けてます。

桜庭さんもキーボーディストなので、やっぱりミニモーグとかハモンドにしても、グリスやポルタメントはゲーム音楽であろうが入れてるんですよね。

(何度ライブDVD見たか・・・かっこいい!)

そこの打ち込み方が他の人と明らかに違うんですよ。

テイルズ、スタオーとか、ビヨンドザビヨンドとかは特に好きなんですが、オルガンの使い方がかっこいいので参考になります。 

帯域を埋める

先日の記事でも少し触れたんですが、空いている帯域に音を入れていくというのは非常に重要で、それが決まるとパァーーーっと印象が変わるんです。

この曲だと、Aメロのストリングスが入ってくる瞬間の広がりですね。

高音域はピチカート、その下でマリンバ、ストリングス、オルガン、スネア、トランペット、ベース、キック

というように、上から下へバランスよく帯域が埋まるようにフレーズを配置しています。

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イントロの全体図ですが、うまく全体に行き渡ってます。ドラムは音符の場所と帯域関係ないから音聴いてください汗 

最低限のフレーズや構成ができると、「うーん、あとどこに音入れれるかなー」って悩みますが、むやみに入れると「展開しているように聞こえない」ってなるんです。

入れて抜いて入れて抜いて〜!!!!を繰り返して「あ、ここ抜いたら変化出るわ」みたいな体感と直感を頼りにパズルのように入れ替えします。

こんな感じで、中盤からどっか音入れれんかなーって考えることで、足らない帯域をどういう音やフレーズを入れたら補えるか、を分析します。

それはアレンジする時に消去法として役に立つんですよね。

 

足らない帯域さえ分かれば、まず入れるべき音域が限定されて、次に音色の音域次第では自然とフレージングがある程度決まってきます。

これは私の作り方なので他にも色々面白い方法があると思います。 

あと、やはり帯域が足りてなくても要らん音を無理に入れても意味がないのでそこは要注意です。

Aメロ前のサウンド

Aメロに入る前にブーメラン投げたみたいな面白い音を入れてるんですが、ある音色で特殊な打ち込み方をするとこういうサウンドになるんです (ヒントはストリングス1)

色々試してみると効果音も作れちゃいそうです。

エフェクトは無し

今回はリバーブとか何も使ってないんですが、最初から程よく残響があるのでこのままでも良い感じです。

エコーパラメータを動かすと、ショートディレイっぽい効果が出てそれがなかなかドライなんだけど空間出てるなーって。

ただ音色によって効果が高いものとそうでないものがあります。

またこの音源のパラメータ上だと、かかるものとかからないものがあるので、自分でチェックしながらプラグイン挿しても個性出るんじゃないかなー。

この曲では「シンセ1のリードサウンド」で空間を出してますが、ベロシティの強さ加減とか音を短くすることで、そういう効果を出してます。

このへんはファミコン音源の応用かな。

この音源で作るとなかなか色々な発見があって勉強になります。 修行あるのみ!

終わりに 

この曲で意識したことはこのくらいなんですよね。

無理に書けばまだまだありますが「どういうバトルを演出したいか」が一番大事。

それによってフレーズや曲調も変わるんです。

基本的にはザコ戦は展開させるより、何回ループしても違和感ないようにするのが大事ですね。毎回私はそこ優先してます。

もちろん、ゲームによっては一回の戦闘時間は異なるのでゲーム次第な部分もありますが・・・

また作ったら書きます。

オリジナルゲーム用にスーファミ音源で作曲してますので、雰囲気を確認したい方はこちらのプレイリストもご視聴くださいませ。