「あんたね、なーんにも考えずにただコピーすれば良いってもんじゃないでしょ!」
オリジナル曲を作る上で、既存曲を耳コピーすることは避けて通れない儀式の1つです。
今日は耳コピーする上で重要だと思うことを書いていきます。
目次
ただコピーするだけは勿体無い
言われたことをただやるだけでは意味がないように、何でも自分で一歩先を考えてみることが大事です。
耳コピーは文字通り、「音を採る作業」です。
何回も音源を聴いてコードやメロディの経過音、音色がどうなっているかを知ることが出来ます。
そして「こうやって音が重なってたんだ、、すげー」ってなります。
耳コピーの目的
例えば、「採譜する、譜面を作る」という目的であれば正確なコードとメロディを採譜する必要があります。その時、メロディの経過音や一瞬だけテンションノートが混じっていたりすると「これ、D9.13とかになるんかな」みたいなことが起きます。
これは楽譜を作ることが目的だからです。
逆に、「どんな音色が奥では鳴っているんだろう?」みたいなことが知りたい場合、コードがどうとかあまり重要ではありません。
それよりも「そう言った特徴のある音が聞こえるかどうかくらい奥で鳴っていることで、楽曲がどう聴こえるように鳴っているのか」ということを考えることが大事だと思います。
つまり、採譜しているのか、解析しているのか、ただDTMで同じように再現したい、近づけたいだけなのか、そのように「目的を定める」ことが重要です。
作曲の「引き出しを広げる」耳コピー
私が良くやっているのが「作りたいと思っている曲の音源構成を知る」という聴き方です。
色々なジャンル、シーンのBGMを作る場合、定番とも言える音色の組み合わせが存在します。これは個人的な規模のものから、定番のものまで広く「テンプレート」と呼ばれています。
DTMのプロジェクトを開くときに、オーケストラ、バンド、電子音楽など、そのようなジャンルに合わせて、デフォルトのドラムがエレドラ、パーカッション、またはアコースティックだったり。
BGMの引き出しを増やしたい場合、手っ取り早いのはこのように「音源構成を確認すること」です。
メロディや実際のコードがどうなっているかはまた別の話ですが、
「この音色とこの音色がこんな感じで、こんなテンポで組み合わされば、だいたいこのような雰囲気を作ることができる」
こう言うことをなんとなく知っておくことで、参考にしたい曲を聞き直す時、素早くチェックしたい情報を絞り込むことが出来ます。
さらに深掘りしたい音色のニュアンス
「これ見てみ、なんか違わない?」「まじっすか」
よくBGMを当てたいシーンの画像をPCモニターに表示させて作曲するのですが、その時に当然ですがフレーズやメロディはもちろん重要になってきます。
ですが、それは「曲そのもののジャンルやムードがマッチしているか」と言う確認であり、その先に存在している「各音色自体の雰囲気」というものがあります。
極端に言うと、ピアノ音色1つにしても明らかにシーンの雰囲気に合うものとそうでないものがあります。
それはリバーブの加減なのか、サンプルそのものか、EQなのか、など。シーンの絵がどんなスタイル、タッチなのかにもよります。
それをまず先に見つけないと、あるいは音創りをしないとどれだけフレーズが良くても雰囲気を出せない場合があります。
いわゆる「曲だけ聴くと問題ないんだけど、使われる画面に合わせると音圧や奥行きみたいなのがイマイチ合ってない」と言う。
これ、合っていると本当に合っていると感じますが、自分が色々と他の作品を見てきて、合っているものと合っていないものを常にチェックすることでなんとなく分かってくることなのかな、と思っています。
それは、BGM、ボイス、SE、環境音などのバランスも含めて考えてみる必要がありそうです。
これら耳コピーとは関係ないように思えますが、実は大事なことなのかなって。
コピーとは、ただ曲の音を採る事ではなく、その他様々な音楽要素を感じ取ることだと思っています。
終わりに
耳コピーは、自分がバンドや独奏で演奏したくて主要楽器、メロディ、コードを採譜する場合と、全てのパートを再現したくてDTMの打ち込みでやる場合があります。
いずれも自分の耳で音を採り、演奏で既存曲を再現、DTMで表現したいことが目的ですが、オリジナルの作曲に応用していくことを目的にする場合、また違う聴き方があると思います。
それは参考にする、と言うだけでコピーとは言えないかもしれません。
しかし、程度は違えど曲創りに必要な様々なニュアンスを模写するわけなので、コピーに近い感覚であると思います。
表面的な耳コピーがメロディ、ハーモニー、リズムの音楽の三大要素なら、音の大きさや高さ、音色、ニュアンスなどの音の三大要素は裏方的な役割と言えます。
どちらが疎かになってもダメなのですね。