ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【作曲】耳コピーの注意点と落とし穴『他人の曲を参考にする』上で理解しておきたいこと

「ヘルメットを被りニュースを伝える女性アナウンサー」[モデル:茜さや]

「お願い、同じ過ちを2度と繰り返さないで!」

皆さんは「既存曲を参考する時に、注意していること」ってありますか?

  

私も何百曲と作曲してきましたが、既存曲を参考にするとき (耳コピーも含む)「これはクオリティ下げてでも回避しなアカンな」てな時があります。

でなければパクリ扱いされるからです。

 

本人の思考整理および、超くどい内容なので

一緒にコピーや参考曲の注意点について考えてみたい、敏感で悩んでる人だけ推奨

(主にゲーム音楽、インストの話になります)

目次

よくある作曲する時の流れ 

「女性社員に見つめられながらお茶をすするビジネスマン」[モデル:大川竜弥 Lala]

「センパイ、どうやるか教えてください、全くわかんないです」

「自分で考えなさい、もしくは何か参考にしなさい」

「ケチ」

 

誰でも最初は何もわからないわけですね。

 

自分もそうだったんですが、

「まずは何か音を選んで少し適当にトラックを重ねてみる」

 

ある程度そういうのを数曲やった後にようやく

「よし、ちょっとこの曲を耳コピーして再現してみよう」

 

ある程度耳コピーを繰り返すと、DAWの使い方はもちろん、コードとかリズムとか色々なことが分かってきます。

 

「よし、次はガチで完成させるために作る!」

 

すると、、、何かに似ている。

「あ。。耳コピーしたやつに似てるかも・・・」

 

これ結構多いんです。

 

で、こんなのは自分だけが感じるのはまだ全然良くて、一番やばいのが人に聴かせて

友達「あれ? これあの曲のパク・・・あの曲にちょっと似てない?(気を遣って)」

他人「これあの曲のパクリじゃんw(直球)」

 

今日はこれらを深掘りしつつ、回避していきたいと思います。

 

メロディとかコード進行が、なんとなく似ている、と言う話だけでなく

リフやリズムパターン、アクセント、音色なども実は注意すべき (気にかける優先度はメロディやコード進行に比べて低いです)

 

なぜなら、

そういった細かい部分でもリスナーと言うのは、無意識に自分が過去に聴いてきた曲の記憶と結びつける傾向にあります。

耳コピーの意味を深く考える

「1ミリのズレも許さないやたらと細かいコピー職人」[モデル:大川竜弥 Lala]

「あのね、そのまま写すはカンタンだけど、それじゃパクリだからね」

「わ、分かってますよそれくらい」

「ほんと〜?」

 

耳コピーは大事というか必須。

0から作るよりも簡単だし、何より作ったことない曲や聴いたことがないジャンルの曲を作る時、参考にしないと作れません。

 

人の曲をコピーしないと

「自分のオリジナル曲を作るためのノウハウが得られない」

 

つまり、

「耳コピー(参考にすることも同じ)には、それだけの力がある」

 

もっというと

「それだけ強力なので、うまくコントールしなきゃいけない」

 

はっきりいうと

「最初は、参考曲聴いて、自分に必要なパーツだけ参考にするのは難しい」

 

目的は

「パクらずに、雰囲気とクオリティ面だけコピーしたい」

 

そんな上手いことができればいいのですが、最初はこれが難しい。

 

コピーをする目的ですが、

「この曲を自分で再現してみたい」

最初はこれは多いんです。

好きな絵を描くのと同じです。

好きなアーティストの曲を演奏するのと同じ。 

 

オリジナル曲を作る時は

「自分もこんな曲作って見たいな」

そう、憧れですね。

だから何曲か耳コピーしてきました。

 

はい、だから似てしまいます。

なぜなら

「コピーしたものが、自分の引き出しになるから」

 

だから、自分が好きなものは自分の曲に出やすい。

 

それでいいならこの話はもう終わりなんですが、、、

「作った曲が〜に似てる」

とか言われると、やっぱり自分のオリジナリティを出したいな、ってなります。

コピーとオリジナルの関係を、もう一度よく理解する

「「センパイ、コピーできました!」とウインクをする抜け目のない女性社員」[モデル:大川竜弥 Lala]

「センパイ、おっしゃってた意味、やっと分かりました」

「だろ〜? あとで焼肉な」

「イヤです」 

 

コピーとオリジナルの関係を整理、理解することが大事です。

なんとなく、ではなく「キチンと理解する」ですね。

 

この2つをわかりやすく言い換えると

  • オリジナルは「自分の引き出し(コピーで得た技術)+自分のアイデア(オリジナル)」
  • コピーは「他人のアイデア、てかぶっちゃけプロのアイデア」

 

まずきちんと理解しておきたいことは

「コピーは、他人のアイデアを盗む、と同じこと」

 

それはどの作曲家もやってきていることですが、そのままコピーすることは盗作になるので、自分のアイデアを入れることで「影響を受けている」という段階まで認識レベルを下げます。

 

では、オリジナルの2点をさらに深掘りします。

 

自分の引き出しは「自分がしてきた曲のコピーや参考部分、作曲経験値そのもの」

自分のアイデアを混ぜて作ってきた経験もここに蓄積されます

なので、自分の引き出しというのは「自分の作曲アーミーツール」です。

経験値によって使えるものの幅が増えます。

 

自分のアイデアは「作曲経験で得た引き出しを元に考える、新たなアイデア」

一曲一曲、新しい曲を作るたびに考える「新しいアイデアのこと」です。

これが「完全な自分のオリジナリティ部分」です。

 

私は作曲する時に、この2つを意識しています。

どれが自分の引き出しで、どこが自分だからこそ作り出せたアイデアか。

 

そして、自分の引き出しにも無い足らない部分が必要な時、参考曲を用意します。

そこから「なるほど、こうするから、こういう雰囲気になるんだな」

これが「他人のアイデア」です。

 

以下、わかりやすく「3色」で分けます。

 

自分の引き出し

自分のアイデア

他人のアイデア

 

重要なのは、

一曲の中での「この3点の割合」を意識することです。

 

 

作曲スタート時は、引き出しもアイデアもありません。

引き出しがないと、アイデアがまず思い浮かびません。

 

いや、思い浮かぶんですが、たぶんしょぼかったりします。

だから感の良い人はまず耳コピーに走ります。参考にするんですね。

 

耳コピー、あるいは人の曲を聴くと、すぐ他人のアイデアを得れます。

ここまでは「絵をを写す」と同じです。

写すだけでは勉強にならないので、なぜそうなっているか、を自分なりに追求します。

それが「自分の引き出し」になります。

 

しかしそれでも、

自分の引き出しは、元々他人のアイデアです。

 

そこでオリジナリティを出す為、自分の新しいアイデア、が今度は必要になります。

ここは一番大事で、自分で頑張って考えなければならない部分です。

それを、自分が得てきた引き出しを頼りに、生み出す、ってのが大事です。

 

それがオリジナリティになります。

 

コピーしたアイデアをそのまま使うとパクリになります。

なんども書いてるとおり、全部他人のアイデアだからです。

その代わり簡単で作るまでは早いです。

写してるだけなので。

 

なので、

一曲で5つ他人のアイデアが入ってたら

2つにして3つは分かってても捨てて下さい。

そして、

2つは自分の引き出し、1つはアイデアを組み込んでください。

 

この意識が大切です。

割り振る割合は、その時の自分の課題で決めれば良いと思います。

 

最初は

他人アイデア5

 

次は

他人アイデア4自分の引き出し1

 

慣れてくると

他人アイデア3自分引き出し1自分アイデア1

 

経験が高くなると他人の曲への依存が減り

他人アイデア1自分引き出し2自分アイデア2

 

このように意識していくことが大事です

少しまとめ

整理します。

なんども同じことを書いてますが、

ここの理解がパクリを意識的に回避する時に必須になります。

 

何も参考にせず、自分の聴いてきたイメージだけで作るマイファーストソング

聴かせられないクオリティだけど個性はあるかも

 

他人のアイデア5+引き出し0から生まれた自分のアイデア

クオリティはあるが、写して参考にしたのでパクリっぽい

 

他人のアイデア2+自分の引き出し2+自分のアイデア1

クオリティは多少下がるが、ところどころ自分のアイデアも入ってるので、パクリっぽさは少し消えた(似ている部分もあるが致命的ではない)

 

他人のアイデア1+自分の引き出し2+自分のアイデア2

雰囲気は何かの曲っぽいけど識別不可、よってオリジナルと認識される

 

自分の引き出し2.5+自分のアイデア2.5

完全にオリジナルと認識される

 

リスナーの経験値(曲に対する鋭さ)にもよります。

その曲に詳しいマニアだったら、アイデア1でも組み込めばバレます。

それがリスナーの割合で違うだけです。

つまり大勢から意識されている、メジャーな曲ほどリスクあり、です。

 

しかし、

評価されてるので、良い曲をを生み出す上で参考になる部分がたくさんあるので、参考、コピーするする価値はあるんです。

 

これを踏まえた上で作曲や耳コピーに望むと、だいぶ考え方が変わると思います。

分かってても削ぎ落とすのが大事

「誰にも見せたくなかった履歴書を奪われる中途採用者」[モデル:大川竜弥 Lala]

「え? いいじゃんそのアイデア」

「ダメです〜 まだまだこのままじゃ誰かさんの真似したって言われますから」

「そ、そうか・・・」

 

自分が好きな曲、大抵は世の中で評価されている曲だと思うんです。

自分が好きになったんだから、当然ですよね。

 

だからその辺のメジャーなゲームとかのサントラ、歌物、ボーカルなら歌い方やニュアンスもそう、これらをそのままコピーしようものなら、その曲を知っている人もどえらい人数いてまうので、似てるの作るとあっさり見破られます。

 

じゃあ最初から全部自分のオリジナルで作ればいいやん!って。

「無理・・・てかできるけど、めっちゃしょぼくなる・・・」

 

そうなんです。ここなんですよ。

「全部自分のアイデアで作曲すると、最初はクオリティが激下げする」

 

言ってしまえば、それが自分の実力なんですね。泣きたくなるぞ。

 

経験を増やして引き出しを増やし自分のアイデアのトリガーになるきっかけを生み出すことが大事です。

それには、たくさん引き出しを持つ必要があり、それには勉強が必要です。

もちろん、自分の新しいアイデアと引き出しを混ぜた経験も自分の引き出しに蓄積されるので、引き出し自体が自分のオリジナリティも混ざっていきます。

ここが大事なポイント。

 

オリジナルにするには、絶対に自分のアイデアが必要です。

でも、それは

「他人から吸収した能力を、さらに改造することで得られるもの」

みんな企業は製品作るときにそれやってるんですよね。

 

自分が最初から持ってるアイデア、発想や手法は、大抵クオリティ低いです。

普遍的な題材であればまだしも、作曲は音楽と言うカテゴリに属するものの、やはり閉鎖された特殊なもの、経験値がほとんどないと思うんです。

 

どれだけピアノが上手くたって、作曲は別物(ピアノ曲ならできるかもですが)

 

だからオリジナル曲はクオリティが下がって当然。

経験値がない全部自分のアイデアだから。

  

パクらないようにする

パクってないように聴かせたい

 

これが目標であるなら、

「参考にした箇所を、分かってても削ぎ落とすしかない」

それを削ぎ落とせば、当然クオリティは下がります。

でも、それを繰り返せば、自分の引き出しやアイデア自体がレベルアップするので、そう簡単にはクオリティが下がりません。

ちょっとだけ参考にするだけでも、クオリティを維持できます。

 

テンポを変える

無理です、疾走感出したいのでこれ以上は下げれません

 

ならキーを変えろ、参考曲のキーから遠ざけろ

あ、少し雰囲気変わりました。

 

メロディとバッキングの音色変えろ、あの曲とまんまだぞ

分かりました。。。じゃあピアノはエレピで、メロディはヴァイオリンからフルートに変えます・・・でもメロディ崩壊します・・・

 

ならあとリズムだ、ドラムの音色変えろ、あとそれじゃまんまだからキックとか抜くか、ベースのアクセントで代用しろ

あ、はい・・・

 

コード進行それまんまだな、オンコードにでもしてみたらどうだ

あ、だいぶ変わりましたね、曲もなんとか崩壊してないです

 

似ている、と言われるくらいなら、削ぎ落とせ!と言うことですね。

絵で例えてみる

「口紅でホワイトボードにメッセージを書く女性社員」[モデル:大川竜弥 Lala]

「よし、描いてみろ」

「え〜楽勝〜ですよ」

「言ったなこいつ」

 

話を変えて、作曲を絵で例えましょう。

くどいですが、完全に理解するためにお付き合いください。

 

例えば

「スポーツカーを書いてください。ランボルギーニ書いて下さい」

って言われたら書けるでしょうか。。。。

 

無理、書けない。

「ランボルギーニ・アヴェンタドール・シザースドア」

「じゃあ、この写真見ていいので描いてください」

 「あ、見ていいなら簡単ですよ、、、はい」

 

そうなんです、上手い下手さておき、見れば簡単なんです。

恐ろしいくらい、あっさり解決。

 でも、見なかったら分からないんですよね。

 

背景とか建物とか、見たことがあっても、いざ書く時、想像で書けませんよね。

そんな普段から必要もないのに、細かい部分、角度、から観察してないからです。

写真を参考に絶対にトレースして、必要であればそこからデフォルメします。

 

「一度でも描いたことのないものは描けない」

「一度でも作ったことがないジャンルは作れない」(作れても質が低い)

 

車って、何も見ずに描いたら大人でも子供の落書きみたいな絵になってしまうんです。

 

 

つまり

「見ていいかどうか」はかなりデカイんですよね。

 

そうです、言いたいのは

「聴いたら、見たらめちゃ簡単に似せれる・・・」

だからこそ、注意しなければならない、んですね。

参考にすべき部分を考える

「ノー残業デーに残業をする企業戦士」[モデル:大川竜弥 Lala]

「いいか、全部パクるなよ」

「分かってますよ〜」

「ならいいが」

 

子供向けのレーシング漫画を書こうとしてて、既存のスポーツカーをそのまま使っちゃいけない。

オリジナルのスポーツカーを作り出す。変形デザインとか。

既存のスポーツカーから軸のデザインだけは拝借して、細かい部分を削ぎ落としてオリジナルのアイデアに変えていく。

 

作曲も、参考曲を用意する場合、こういう作業や考え方が重要になります。

 

 

作ったことがないジャンルなどは、参考にしなければ大抵は作れません。

私も初めて作るジャンルの曲や、そういったシーンの雰囲気の曲を作るとき、今でもかならず既存曲を参考にします。

 

でも、すごく注意を払って参考にします。

下手したら、聴いたらまずいから、思い出そうとします。

あえて聴かず、思い出し参考、です。

 

そのためには普段から作曲してない時に聴いてないといけませんから、車でランダムにサントラを流しっぱなしにします。

それを思い出して、どうしても無理な部分だけ聴いて参考にします。

 

全く作ったことがないジャンルなら聴くしかありません。

参考にした箇所以上に、自分のアイデア、引き出しを組み込みます。

ボサノバ作れと言われたところで、

「あれ、ピアノのバッキングは分かるけどドラムってどうなってるんだ?」

経験がなければドラムパターンさえ分かりません。

終わりに

そんな感じで、

どこを削ぎ落としても曲が崩壊しない程度に、パクリを回避しつつ、オリジナリティも感じさせれるか?

 

ここが勝負だと思います。

私は、なんとなく曲を参考にしたりコピーした上で自分の曲を作っていた時

「なんで似た雰囲気になってしまうんだろう?」

それを何度もも考えました。

 

最初に出た答えが

「メロディやコードや音色が似ているんだ」

 

でも、それらを分解してみると根底には「作り手の意識の問題」があることに気づきました。 

それが今回書いた3つのことです。

 

いうまでもなく、参考箇所はメロディが一番バレる部分です。

コード進行や、キメ、リフなども危険です。

ドラムパターンは普遍的なもの、基本大丈夫です。

音色は同じ組み合わせにすると、リスナーがなんとなく気づき始める部分です。

そうやって分析してみると回避できるようになると思います。 

andy-hiroyuki.hatenablog.com

 

「分かってても、削ぎ落として他のアイデアを入れる」

「知ってても、出来てもあえてやらない」

 

 

それでも似ちゃうときもある? そらしゃーない!

できる限りのことしても似ちゃうならそらしゃーない!