DAWちゃん武者修行12日目
「っチ、お前ホントにセンスねーな〜。何度言ったらわかる!!」
「す、すみません・・・」
「俺が言った通りにやれっつってんだろ」
「は、はい」
「人のレシピ使っときながら、勝手に自分流にするから失敗すんだぞ」
「くそ〜」
今日のテーマは「失敗する作曲法」という訳で、その名の通り、自分の経験から失敗するパターンについて書いてみる。
これだけ作曲に失敗してきたんだ、失敗するノウハウなら任せろ!!
いうまでも無く、失敗するノウハウとは、あべこべに言うなれば、「失敗しないようにする」とも言えるのである。
失敗を防止するにはあらゆる手段を考えなければならない!
それには何度も書くが、「自分を知る」ことだ。
そして同時に「参考にする曲を知る」と。
「失敗した時に、すぐさまなぜ失敗したかを書き残せ!」
2度と同じやり方をして失敗してはいけない。
目次
パクってしまうパターン
失敗は人それぞれあるだろうから原因は多い。
その中でも今日書きたいのは、もっとも多いであろう「パクリっぽくなってしまった」って思った時だ。
そう、周知の通り
「何かの曲を参考にして作ろうとした時」
基本的には自分で作っていても、影響を受けた曲に似てしまう場合が多い。
それは仕方ないし、曲を作る前にある程度イメージして取り組むので、形にしやすい要素はだいたい決まってくるんだ。
それが「似てしまいやすい要素」のこと。
だから音源を参考にしようものなら、注意しないとさらに似てしまう。
似るのは仕方がないので、それ自体は気にしなくても良い。
問題は「ある一定のラインを越えると、自分でも許容できないレベルになる」ということで、それがいわゆる「パクリっぽくなってしまった」というパターンだ。
自分で失敗のジャッジを下す瞬間。またか!
今でもこのパターンで作曲すると思うように構成できなくなることがある。
そんなんしょっちゅうだ。
自分のレベルをもう一段階引き上げたい時なんかは、だいたい参考にすることが多い。
だからこそ、肝に面じたい。
ひとまず、「参考にする」のはなんの間違ってることでは無い。
むしろ参考にしないと、自分の引き出しはずっと広がっていかないんだ。
今まで作ったことないような曲を作る場合、コード進行もそうだけど、既存曲を参考にせざるを得ない。
だからこそ、参考ポイントの理解と、情報がアクセスしやすい要素を把握しておく必要がある。
それは逆にいえば「似過ぎてしまうのを回避する時」にも役立つからだ。
自分なりに曲を把握する
曲のもつ良さや魅力、クオリティは、
一概にイコールや比例関係になっているとは限らない。
何度も書いたように「評価ポイントが違うため」である。
聴いただけで対象の曲をある程度理解できると言うことは、すなわち自分の曲レベルもある程度把握できている、と言うことだ。
音楽に優劣をつけたくない気持ちは当然ある。
作り込み問わず、メロディや音色の選択次第でも良い曲と思わせれることは可能だから。
しかし、自分のオリジナル曲の追求、曲のクオリティをあげるということは、 人の曲を聴いて自分との「差」を直視することである。
すなわち、似てしまう部分を自分で特定すること、もこれに当てはまる。
比較する目的は、基本的にはポジティブなことだと思っていて、それは良いことも悪いことも、受け入れることだと思ってる。
自分にしか出せない良さも当然あるからだ。
曲を確認する方法
まず曲というのを解体していく。
すると核となる部分、装飾など色々なものが組み合わさって構成されていることに気がつく。すなわち「構成比」が存在する。
かんたんには、曲を聴いていて分かりやすい部分、分かりにくい部分のこと。
それが、曲を聴いて自分が真似できそうな範囲とその順番だ。
曲はまず「メロディ」だ。
次に、「ベース」
メロディとベースがわかれば、すなわち次は「だいたいのコード」を特定することができる。
次はハーモニー、内声。これでコードをだいたい具体化できる。
そこにコード進行があり、それに対しメロディがどれだけ適正か、というアプローチとこだわりがある。
次は、「鳴っている音」だ。
作り込みのすごい曲は、SEや装飾音がふんだんに使われている。
例えば、
サンレコによれば進撃の巨人の紅蓮の弓矢などは400〜500トラック使っているらしい。
もはや、作った本人と、ミックスした人しかそんな音は聞き分けられないし、聞こえないだろう。
つまり、我々がコピーや研究する際、聞こえる音に限界がある。
リスニング環境はもちろん、あくまでそのミックス仕上がりで聞こえる範囲でしかわからないからだ。
しかし、実際にはそのメインで聴こえるものを、より浮きだたせるために、耳では聴き取れないレベルの音が入っている、と。
それはすなわち、
自分が曲を作る上でも、聴き込まないと分からない音をどれだけ入れれるか、ということであり、それには、そういった音をどれだけ小さく下げれるか、ということにも繋がる。
それはすなわち、技術だと思う (あくまでそういう音圧の曲での話)
もしかしたら、自分が聞こえてないだけで、聴覚で捉えられない部分で音が入ってるのかもしれない。
またそういうこだわりで音像が作られているのかもしれない。
奥行感、質感、ミックス、この辺が一番難しいと思う。
どんなプラグイン使ってどう処理しているかとか。
と、話を一旦戻して、
要は後半に書いた音響ウンチクは、言ってしまえばまず曲の基礎があって、それをさらに一歩上へ引き上げるテクニックだと思う。
しかし、言いたいのはその逆で前半の部分。
つまり多くは、「前半に書いたことが曲の核を決める要素」だと思っている。
それはすなわち
「耳コピーで再現しやすい情報」だから。
だから良い曲は「誰がコピーしても、誰が歌っても良い曲」となる。
すなわち、曲自体の核となる部分の評価だ。
つまり、
「前半を真似してしまうと似やすい」ということである。
そう、パクってしまう、という。
参考にする場所を変えろ
早い話、
相手の能力を吸収する場合、こちらのレベルが低ければ失敗してしまう。
自分の曲に人が作った要素を組み込んで構成しようとしているわけだ。
うまくやらんと、ほぼ失敗(パクリ)する。
なお、いうまでもなく一番怖いのは「パクってる自覚なしで成功したと思っているパターン」の時。
私が作曲を始めた頃、そこを指摘されたらひたすら言い訳してた(自戒)
まぁ何作るかは人の自由だし、評価するのはあくまでリスナーである。
でもある程度曲を作っていると、作っていてパクリっぽくなってることは自分で気づくんだ。
そこで作ってる途中で「だめだ」ってなる。
自分で分かるよね。
そこでハッと気づく。
「やっぱ俺はこの人じゃない。この作り方じゃ作れない」
そう!
結局は「自分の作り方で作るしかない」と気づく。
誰だってやっぱり自分の曲が作りたいんだ。
俺はその人じゃないんだから、と。
参考にすると似すぎる部分を特定する
言うまでもなくここが一番難しい。
メロディは論外だが、編曲とかコードとかって参考にすると一気に似てしまうんだ。
曲の耳コピー自体が簡単なのはそこ。
フレーズが取れれば、曲というものはまず雰囲気を出せるでしょ?
つまり、オリジナリティを気にする場合、この後半に書いた難しい音響処理に関しては逆にあまり関係ない。
逆に言いたいのは、
前半でいうメロディやコード、アンサンブルを模倣してしまうことの方が、曲が似てしまいやすい、ということだ。
言ってしまえば、そこはすぐアイデアが反映させれる反面、リスクが大きいとも言える。
絶対似るから。
作曲家の個性は1番危険
あとは分かりやすい部分、そして曲や作曲家の個性が出ている部分だ。
言うまでもなく、ここも非常に危ない。
ドラクエのすぎやま先生の技法、フレーズ、パターン
コード進行と言うだけでなく、音の重ね方、使い所の展開など。
ドラクエは音色よりかは、もう音の重ね方や使い方が確立されているので、マツケンさんの解析を見ると改めてそのまま参考にしたら似てしまうなーって感じます。
テイルズの桜庭さんのよく使う音色とメロディとコードワーク
これはソロアルバムのキラーチューンである「The way」、1:28からのオンコードはバトル曲の間奏などでもよく出てくる。ソロでもこの展開と曲調を自然に組み込んでると言うことで、完全に節。
ジョンノヴェロやビリーシーンのナイアシンでもこのようなコードワークはよく使われる。
サガのイトケンさんのメロディ、キメ、使う音色、オブリ
このリードサウンドは特徴、メロディの盛り上げ方、Aメロのドラムのパターンやフィルもおなじみ。
新作ではロマサガを残しつつも、新しいフレーズをどこで入れてくか、聴いてみると結構ハッキリ感じられる。やはり節はサガ2や初代聖剣伝説から変わってない。
これらは特徴がありすぎて、模倣すると簡単に真似出来てしまう部分。
コード進行はもとより、スケールも真似したら似てしまうと言うレベルで使ったら即バレする。(オマージュとかでなら良いのかもしれないが)
そこが個性だから。
〜っぽく、と言う風に作るなら、ここを押さえて作らないと「こいつは分かってない」 と言われてしまうかもしれない。
こちらの記事にも関連するが、〜っぽく作りました、と公開するしないでリスナーの評価は変わると思う。
やはり書いてあって似ていると安心して聴くことができるし、違いを楽しめる。
自分が参考にする上で、このようなアクセスしやすい情報と言うものがある。
そこは一番真似しやすいところだが、が逆にいえば、一番パクリっぽく繋がる情報とも言える。
真似するときはいいが、したくないときは一番気にしなければならない部分だと言える。
似ていて失敗するのは、参考箇所が多い
極めて曲つくりで失敗すると言うのは、自分の曲への捉え方、考え方に問題があることが多い。
コードも音色も似てたらそりゃ似ちゃうよ。って。
極論だが、
例えば音色を参考にするなら、他は全部自分で考えて作る。
このように参考にする箇所を1つに絞る、というくらいにして、あとは自分のアイデアを絞り出すと、パクリによる失敗が減る。
似過ぎてしまった場合、それは参考にした情報がそれほど多かったということだ。
今の自分でやれる範囲でのアイデアが求められる。
終わりに
作曲を始めた頃というのはどうしてもアイデアが不足する、引き出しがないからだ。
そこで既存曲に頼ってしまう。
最初はそこからでいいので、徐々に参考にする情報を絞っていき、自分のアイデアの比率を上げていこう。
すなわち自分を知る、自分のできることを知りつつ、 自分のできる範囲でやる
それを積み重ねるしかない。
これらを全て参考にしない場合はオリジナリティは出せるが、どうしてもアイデアを盛り込めないため、クオリティが落ちてしまうことが多い。
繰り返し、曲を参考、またはコピーするときに、誰が聴いてもわかりやすい部分が、情報のアクセスが容易な部分だ。
迷ったときは、そこを気にしてみるといいと思う。
その第一としてメロディが上げられる。
習作や趣味ならいいが、同じ土俵で戦う場合メロディは絶対真似したらアウトだ。
訓練すれば、どうやれば迫力を出せるか、音が充実するのか、そう言う部分は必ず近道がある。それはメロディとは別のテクニックだと思う。
しかし曲自体の基本はやはりメロディだから、そこ無くして他の技は使えない。
まず自分のメロディを作ることがスタートだ。
「似ないようにオリジナルを作るのは大変だなぁ・・・」