DAW武者修行二日目。
武者修行とは名ばかりで、持ってる音源の感想をひたすら書いていきます。
自分が何を考えてどう使っているのかを知るためです。
うおおおおーーーー!!
Logic Proに付属しているEXS24はLogicを買った人が最初にまず使ってみるサンプラー音源だと思います。
私も買った当初はクロノトリガーのコピーをしていて、その時にこの音源をまず使って見たのを今でも覚えています。
その時の印象として、
音色を選んで使うことしか分からなかった自分としては、ずっとハードシンセの完成された音色を弾いてきた感覚とはかなり違ったのです。
一言で言えば「物足りなくてチープな印象」これがぬぐえませんでした。
まあぶっちゃけFXで十分に化けるんですが…
EXS24を紹介する前に、この音源を最初に使った時のエピソードを書いて見ます。
なぜなら、この音源が私のDAWのスタートになったきっかけで、色々なことに気付かされたのです。
せっかくなので、作曲を始めた時のことを・・・
(興味ない人は飛ばし推奨)
目次
ハード音源とソフト音源
ハードシンセはソフトシンセとは違った説得力のある音の太さみたいなものがありますが、そもそも「レイヤーされて作られている音」という概念をきちんと理解してなかったため、EXS24の素っ裸の音と完成されたプリセットであるハードシンセの音の違いを理解していなかったのです。
今ではソフト音源と言えば、むしろ「すごい音」というイメージがあります。
Omnisphereなどに代表されるシンセ音源は、最初からDAWを超えて使われてもいいんじゃないか、ってくらいの作られ方です。
DAWの音源は最初からエフェクト込みで仕上げられているものもあれば、素材扱いのような感じで入ってるものもあります。
どちらが使いやすいかは人それぞれだし、作り始めのきっかけ次第です。
私は完成されたハード音源に慣れていたので、音を出した瞬間やる気を削がれたのを覚えています。なんじゃこのピアノの音は。って。
ストリングスなんておもちゃか、って。
楽曲というものはいかに様々なフレーズが絶妙に組み合わさって構成されてます。
それを理解していなかったので、1つ1つの存在がさらに小さく見えました。
逆にハードは音が太いので、音を重ねなくても曲がそれなりに形になりやすい、というのはあると思います。
迫力でごり押ししてるとも言えるかもしれません。
浅倉大介さんも言ってましたが、ハード音源は完成系の音のイメージで打ち込めるのが利点だと思います。
何重もレイヤーするか、説得のある音でどん!とシンプルに作るか。
一から曲を作るということ
最初からリバーブのかかったハード音源のストリングスはまさにゴージャスで、一音色でコードを弾くだけでもそれなりの雰囲気を出せてしまいます。
それもそのはず、バンドで弾いても成り立つような音圧に仕上げられているからです。
一方でLogicのEXS24は選んだ瞬間は、まだ音が仕上がっていない状態の音。
つまり、ここからエフェクトなどを足していくとどんな感じになるんだろう、っていうのを知る必要があります。
それには当然ですが、何か曲を作る必要がありました。
クロノトリガーのカエルのテーマのコピーを作って見た時、私はまさに
「これがDTMの音だ!ゲーム音楽っぽい!」
ただ選んで音符だけ打ち込んで、足したのは多分リバーブくらいかな?
それで作ったゴージャスではない音でしたが、
「曲の良さは音源がチープでも関係ない」
メロディや編曲そのものがまず重要であると思い知らされたのです。
コピーする前、当然試しに自分でコードを弾いてメロディを打ち込んでみます。
ウキウキですよ、買ったばっかりのDAWでさぁ曲作るぞ!って
しかし言うまでもなく
「めちゃくちゃクソみたいな曲」
になってしまい、さらに音源もチープなままだから余計ハードシンセと全然違う!って責任転嫁
自分が未熟なのか、音源が悪いのか・・・前者ですね
曲を一から作るということ、それは数多の音、フレーズで構成することです。
そう、つまり弾いて音楽を作っていくバンド演奏と、全部一から曲を構成する作曲とでは、根本的に曲を作るときのイメージが違うのです。
自分がバンドの曲を作っているのか、サウンドトラックを作りたいのか、試しに適当に何かを弾いているのか
それさえも分かっていませんでしたので、それでは作れるはずもありません。
「自分は何を作ろうとしているのか?」
これって当たり前のようで、実は難しかったりします。
狙って最初から思い通りの曲を作るなど、できるはずもないのです。
作曲が怖くなった
コピーをいくつかして、初めて既存曲のすごさを思い知ったのです。
「本当にこの曲は考えられ抜いて作られているんだ・・・」
今までバンドで弾いてきたような感覚で作曲しようとしてた自分としては、何を弾いても打ち込んでもうまくいきませんでした。
その時気づきました。
「多分、根本的に曲の作り方が間違っている・・・・」
どういった成功体験を積むか。
それが自分の作り方の土台や自信になるから。
しばらくは、作曲というものが敷居の高いものに感じられ、孤高の存在となります。
自分のできる範囲で作ればいい。
自己満足でもいいじゃないか。
それができなかった。
バンドでやってきたプレイヤー目線の現場での音圧感、キーボートパートを弾いて、他のパートもそれぞれの専門パートがいる状態で作られた曲。
この全部を自分の知識だけで打ち込んで再現するなど・・・
ドラムってどうやって打ち込むんだっけ。
8ビートはわかるけど・・・なんか違う、しょぼい、迫力ない、そもそもどんな迫力を出したいのかも分からない
「俺は何を表現したくて、何を作ろうとしてるのか!」
いかに、適当にコードを弾いたりして何か曲が作れるんじゃないか
そんな感覚で作っていて全く成功しなかった日々。
もちろん、自分が納得していないだけで、ダサいけどなんか一応曲らしきものにはなろうとしてる。
だけど聞いて一発でダメだ、人に聞かせられない
そう思ってました。
作曲ってまともな曲を作ろうとしたら、こんなに難しいのか・・・
自分なりの作曲の成功体験
他にも何か音源はないかなーと、色々Logicの音を探したり。
「ハァ〜なんか買って損したかも・・・別のDAWの方がいいのかなー」
こういう状態になるとやばいのは目に見えてます。
ですがここで踏みとどまりました。
この体験を得て、ソフト音源はしょボイ!
という「大いなる勘違い」をしますが、これがいい意味で作曲や機材を工夫をするきっかけになるのです。
この辺のことはこちらの記事で書いてますが・・・
ここから先はハード音源である、RD-700NXを使って、MIDI無しで手弾きのオーディオ録音のみでサウンドトラックを作り成功体験を得ます。
Logicは完全にシーケンサーとミキサー、という扱いw
間違えたら取り直し、後から変えたくてもMIDIじゃないから変更は不可能。
そんな縛りプレイで作曲をこなしますが、音源自体は最初から「仕上がりのイメージで作曲できた」というのが非常に大きかったのです。
先程書いた、浅倉大介先生の話です。
RD-700NXで最初からリバーブもかけて打ち込んでいきました。
オートメーションも後から使っていくうちに覚えて書きましたが、どんどん色々機能が分かってきました。
成長の感覚
途中で遊びでEXS24のオーケストラ音源にリバーブを足して作ってみる。
「あれ? まぁまぁ良くないかこの曲・・・なんか作れるようになってる・・!?」
散々頭をひねって良い音、っていうのだけを頼りの作曲していましたが、いつの間にか感覚として「作曲の仕方」を覚えていました。
それをハード音源から、ソフト音源でやっただけなのです。
確かに音はまだいじれてなかったのでショボかったですが、良い感じの雰囲気にはなってました。
「今なら何か作れる気がする」
「ハード音源で一通りアルバム作ったら次はMIDIで作ろう」
「MIDIならもっと楽だし、練習しなくてもいいし、あり得ない演奏も打ち込めそう」
後から変更できるMIDIがどれほど素晴らしいかを知った時でした。
まぁ別にもっとやらないかんこと増えるので楽でもなんでもないんですが・・・
ずっとハードシンセで生演奏を録音して作曲してきたのは、本当にきつかったですが、この経験が私の作曲成功体験。
これを得てから触るEXS24は全く違った音源に見えました。
「こういうことだったのか、なるほど」
とても嬉しい瞬間だったのを覚えています、そしてこれが「何か一歩前進した感覚」と言う実感。
自分が変われば周りも変わって見える。
これは音楽に限らず良くあることだと思いますが、私自身もまさにこの状態。
「機材や道具は、自分次第で潜在能力が上下する」
この体験を得て、何か欲しいと思ったらもう少し今持っているものでなんとか出来ないか、そう考えるようになりました。
お金を払うと言うのは、あっさり解決できることも多いのですが、それをまず考えもなしに実行してしまう、と言う浅はかさがあったのです。
今でも油断するとなる!
それでは、全ての道具を自分なりに使いこなさないまま、永遠とちょっと使ってまた新しいのを買う、と言う流れです。
使いこなした先にその行動があれば、新しいものを手に入れてもしっかりと自分の道具として機能すると思います。
ですが、そうでない場合いたずらに自分の周りにガラクタが散乱することに。
そして毎年のブラックフライデーセールです。
DTMerを混乱させてしまうメダパニセールと言うわけですよ。
己を見失わない人は効率よく手に入れるいいチャンスですが、衝動が勝ると一気にセールの盛り上がりに自分を持ってかれます。
まぁ使うならいいんですけど・・・結構持ってかれますよ。
そろそろ夕方か〜ここらで宿を探すか!
DAW武者修行は続きます。
EXS24を使う前に考えること
ふぅ〜いい湯だった、さて飯でも食いながらEXS24をもっと考えてみるか。
EXS24はどれも音色としては無難で良い感じなのですが、シンセ系やFX系なんかは優秀なものが潜んでいます。使い方次第なのもありますが・・・
例えばこんな曲も作れちゃいます。
このBGMはLogicの付属音源、EXS24だけで作られていますが、シンセサイザーもいい仕事してますし、ピアノもリバーブとディレイをかけています。
そこで、まずEXS24をオススメする前に考えたいことが
「音源自体ではない」のです。
音源から勧める、と言うのが実は少し微妙な話で、まず音源で考えたいことは、いわば「自分がイメージしている雰囲気のレベルを備えているかどうか」です。
私がなぜ最初にしょぼいと思ったのか。
これを分析してみると、まず単純に作れないから音源の見方や感じ方が最低ランクであったことは1つ。
もう1つは「何をどんなレベルで、どんなイメージで求めているか」
これが自分でわかっていないと、作る前から道具の選定を間違えている、といった具合です。
もちろん、一通りの音源は揃っているので別に作れるのです。
ただ、それで音がイマイチとかいう話が出てくる理由は「作りたいイメージの曲が違う」それはすなわち「この音源で作れる曲」というものを知る必要があります。
それは自分次第なので、とにかく触るしかありません。
EXS24で物足りない音色
オーケストラとエレキギターの音色です。
この意味は「生らしい」という意味でです。
サンプラー音源というのは、昔から得意なものと不得意なものがあります。
それは生楽器の生らしい奏法です。
スーファミの音源を聞くと良くわかりますが、
基本的には、楽器の本来の演奏方法をイメージして打ち込めば、PCM音源は90年代のものでも人に最低限の情報を伝える力を持っています。
ファミコン音源でさえメロディやハーモニー、リズムを伝えれます。
スーファミ音源なんて、ぶっちゃけ十分音楽的なわけです。
ですが、映画音楽のような特殊な奏法はかなり無理、という話になります。
Kurzweilとかならいけるかもですが…
スーファミのようなマルチ音源から、現在のDAWと生楽器の境界となっている部分
すなわち「明らかな打ち込みか、生なのか」このクオリティを自分がどう表現したいか、これを考える必要があります。
これが決まってないと、どこまで自分は音源に求めるのか、
そして、自分が曲を作っていく上で、そして表現をしていく上で「曲のどこがいいのか、悪いのか」が決まりません。
シタール、っていう音が聴いてわかるレベルなら、あとはそれがどれだけリアルとかいう話よりも、曲自体が使いたい作品に合うかどうか、そういうことを考えることが重要で、買うかどうかはその後の話です。
ですが、それを買うなら他の音源もそれに合わせないといけないので連鎖しますし、工夫でその境界を埋めるなどが必要です。
それを踏まえると、LogicのEXS24は一通りのクオリティを備えており、なおかつ音源全体が非常に「プレーンの状態」であると思っています。
つまり、まずEXS24を軸によりリアルか、どう個性的なのか、を考えるという価値観です。
それは私がLogicをベースに作曲しているのからで、そのほうが自分が欲しいリアルさや質感をイメージしやすいのです。
おそらく、新しい音源を買うときに、その音源のプロモーションを見ると思いますが、その前に自分が普段使っているレベルの質感を無意識に確認するはずです。
それはサードパーティの音源でもいいのですが、私の場合はEXS24です。
なぜなら普段から使ってるからです。
ですが、オーケストラ音源、エレキギター音源は違います。
それらを新しく新調するなら、あるいは違うニュアンスが欲しいなら、V-METALやQLSO、Orchaestra Essentialをベースに考えます。
終わりに
今日も色々と考えて疲れたな〜。
改めて、EXS24について自分は色々と考えているのだと分かった。
DAWのアレンジメントのウィンドウと連携しているので、音色選びがしやすいのもいいなーって思ってます。
改めて思うけど、音源はそれ自体がどうとかではなくて、自分がまず何を求めているのか、という自己分析が大事で、それあって音源にどこまで求めるか、だと思います。
基本バグ以外、音源に罪はないのだと思ってます。
バグの方が腹立ちます。