ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【Q&A】ご質問頂きました「作曲の悩み/相談」について回答させていただきます

「黒板の前で自己紹介をする新任教師」[モデル:大川竜弥]

こんにちは ANDY です。

 

ありがたいことにブログの記事やTwitterのDMから「作曲の相談、悩み」について問い合わせが増えてきました。 

今までコメントで回答してたんですが、スペースの都合で一方的なアドバイスになりがちだったのです。

今回はきちんと記事にして僕なりの経験も踏まえて回答していこうと思います。 

 

まず、お寄せいただいた相談内容について引用させて頂きます。

ブログの記事を読ませていただきました。

作曲の初心者として相談させて頂きたいのですが、

自分もこの前の曲よりも質を上げようと、新しいテクニックを取り入れてみようと考えるのですが、作りたい曲の 雰囲気に合わず、妥協していつもの音使いで完成させることがあります。

しかし一度、完成してしまうとなんとなく様になってるしいいかなと手直しする気も無くしてしまいます。

考えすぎてしまうと思っているのですが、どうしても成長 しようと思い続けて、疲れて動画を見てしまったり等、 時間を無駄にしてしまうことに悩んでいます。 

 

ご相談ありがとうございます。

さっそくですが、内容について回答していきます。

目次 

新しいことを取り入れたいけど、いつも妥協してしまう

>自分もこの前の曲よりも質を上げようと、新しいテクニックを取り入れてみようと考えるのですが、作りたい曲の 雰囲気に合わず、妥協していつもの音使いで完成させることがあります。

 

この気持ちとても分かります。

僕自身もそうでしたから。

 

いつもの音使いで完成させることは妥協ではなく「作曲を安定させる」テクニックですので、きちんと意味はあると思います。

 

まず前提として

たとえ自分の理想と差があっても、完成させてる以上は素晴らしい行動力です。

 

作曲を始めたばかりの時、

誰もが新しいテクニック、エッセンスを取り入れたくて作曲本、理論書などに書いてあることを取り入れようとします。

そんな「自分がもっと成長したい!」と思う気持ちに対して、うまく行かないことは本当によくありますよね。

 

特に

「作りたい曲の雰囲気に合わず」

ここが論点になりますよね。

 

自分なりに完成させれない段階を乗り越えて、ようやく曲を通して完成させれるようになってきてから、もっとクオリティを上げたいと意識が芽生えます。

 

そこで作りたい曲の雰囲気に、

「自分が用いたいテクニックや音楽理論が、使えない、合わない、いまいち効果が無いように思える」

これは本当によくあります。

 

対処法としては

「無理にテクニックを入れようとしないこと」です。

 

「アドバイス対象 (その人) と同じ曲を作りたいわけでは無いので、自分が作りたい曲の雰囲気に合わない」

 

はい、至極その通りであります。

ぶっちゃけなんら間違ってません、正論です。

 

僕も何曲か作っているうちにようやく気が付いたことですが、初期段階で他人のノウハウを (似てしまう、という点を除いて) うまく自分の曲に応用させれたことは殆ど無いです。

  

なので作曲本とかを読んでもやる気が起きないことも多かったですね。

いまだに殆どの本が山積みされてます。

 

とくに、自分が作ってるような曲と全然違う雰囲気の譜例でテクニックが紹介されてたりすると、見る気すら起きません。

 

例えば、ゲーム音楽を作りたいのに、一般的な作曲の本に書いてある理論を自分の作りたい曲に反映させるにはかなり無理があります。

 

僕自身も、たまに書籍を読んだりしますが、作れることが当たり前になってきて、さらに自分の作曲スタイルが確立できてきて、ようやく何か1つでも使えそうなテクニックがあるかな、くらいの気持ちで読んでます。

 

それでも、結局は自分のいつものスタイルで作ってます。

 

ただ作ってきて1つ言えるのは、

自分ではいつもと同じように作ってあまり変化が無いように思えても、一曲作るたびに必ず縦か横に1ミリでも成長しているはずです。

生み出す以上は、見えないレベルで成長してます。

 

例えば、最初は曲が完成させれなかったと思いますが、続けたら曲は完成させれるようになったと思うんです。

そして今は質を上げるために新しいテクニックを。。。と言うステップですね。

 

自然な流れで気づきにくいですが、自分なりに完成させる、と言うテクニックを達成しています。

続けたから、だと思います。

 

そこで大事になって来ることが、

「成長の実感を得れる瞬間が来るまで、作曲を続けれるかどうかが1つの壁」

 

一曲毎に目に見えるレベルの成長を期待せずに、どんどん曲を完成させることが一番大事だと思っています。

なので、とにかく作曲を続けて欲しいと思います。

 

僕も何度か自分で作曲が上達したな、という実感を得れた瞬間がありました。

ただ、作るたびに毎回、という感じではなく、一定の曲数をこなした時、ふとした時に感じます。

楽に作れるようになってる、どんな風に音を重ねたらいいかの判断が前よりも早くなってるな、とか、そういう上達感です。

一度完成させると様になり「これでいいかな」と修正する気が無くなる

>しかし一度、完成してしまうとなんとなく様になってるしいいかなと手直しする気も無くしてしまいます。

 

こちらもすごく分かります。 

例えば、自分が成長してから過去の曲を聴くと

 

「あ〜このドラム、パターンもフィルも毎回コピペだわ。。。手抜きだったなぁ〜」

「メンドくさくて細かくオートメーション書かなかったなぁ」

「EQ調整不足で、この音がキンキンうるさい・・・」

「リバーブかけすぎ・・・なんでこんなかけたや昔の俺・・・」

 

とっても直したい部分もあります。

 

でも、確かに「作った段階で自覚していた部分もある」んですね。

 

だけど「なぜ、自分はその時に直せなかったのか?」そう思います。ここなんですよね。

 

手抜き、めどくさがりや・・・言い訳は色々ありますが、

「完成してしまうとなんとなく様になってるしいいかな」

 

これ、あるあるで、作曲続けていくうちに、この気持ち、頻繁に起こります。

 

僕は今でこそ思うんですが

「結局は、それも含めて今の自分の実力」となります。

 

「めんどくさい事をどれだけやるか」

そこが本当に「大きな差」になってきます。

 

でも僕自身も最初らへんは出来ませんでした。

おっしゃられる通り

「一応様になってるように聴こえるし、直さなくてもまぁ一応聴けるかな」

こう思っちゃうんですよね。

 

しかし、今思えば

「あ〜自分、あの時はそこまで手を入れる余裕結局なかったなきっと」

 

ついでに最後の相談にも繋がる内容なのでどんどんいきます。

思うように作業を進められない葛藤

>考えすぎてしまうと思っているのですが、どうしても成長 しようと思い続けて、疲れて動画を見てしまったり等、 時間を無駄にしてしまうことに悩んでいます。 

 

大丈夫です、大抵そうなりますw

まず前提として、作曲はすごく体力が必要です。

そして目と耳を使い、頭も使い、集中力も必要なので精神もかなり消費します。

椅子にずっと座ってるので、なかなかメリハリをつけることも難しいです。

作曲は何かを聴きながら作業出来ないので、好きな音楽聴きながら絵を描いたりプログラミングしたり、ブログを書いたりするのとは違うんですね。

ずっと考えながら作業する行為です。大変です。

 

なので、気分展開で動画を見てしまったりするのは当然ですね。

僕も作業しながらTwitterやブログとか見ちゃいます。

 

もし、それがいやであれば

「あらかじめ、作曲する時間を決めておく」

そして、作曲の内容がどれだけ中途半端でも、時間が経ったら自分が好きな事をやるとかでいいと思います。

 

「時間の無駄」という感覚は、「罪悪感の一種」ですね。

あくまで「自分が設定した目標に対しての乖離」になります。

 

2時間作曲をやると決めて、30分で動画を見てしまう、というのは自分への甘えだと思いますが、30分だけやる、と決めてやればOKなわけですね。

 

僕は作曲を続けてきてからこそ、今ではある程度スピードが上がりました。

始めたばかりの頃、苦労して時間がかかってた工程に、今では時間をかける必要がなくなりました。

その工程は、今の僕から見れば無駄な内容だったり、大して意味のない作業なこともありますが、当時は試行錯誤で必死。

だから絶対笑えないんですよね、自分も無駄を経験してきたので。

 

今はスキルアップして、最初から必要な作業のみに手をつけていくことができるようになりました。

 

自分が時間をかけていた部分をショートカットできることで、体力も精神も残された状態で次の作業に時間を費やせます。

これは続ければ誰もが得れる事です。

 

ただ、それが出来ない頃というのは、他の工程でもかなり神経や労力を使っているので、疲れてしまうのは当然だと思います。

日によっても、作曲が上手くいってるかどうかでも、集中力に影響を受けます。

 

今僕は、昔悩んで解決した部分については、出来て当たり前でスタートしてます。

なので、曲を書き出した後でもう一度客観的に聴いて細かい部分を修正したり、手を入れるわけですが・・・昔は疲れて出来ませんでした。

 

それこそ

「まぁ一応聴けるし、本当はここも調整したかったけどまぁこれでいいかな」

ってなってましたね。

 

これは本当に没頭するか、かなり作曲に真剣にならないと出来ない詰め作業です。

実は、作曲は詰め作業、ブラッシュアップが1番時間がかかるんですよね。

僕はある程度本気でやってましたが、それでも最初は難しかったですね。

以上を含めてシンプルな回答

今の自分の持ってるテクニックでいいので、たくさん曲を書き続けてください。

最初は詰めれなくてもいいので、70%くらいで継続を優先してみる。

続けていると、慣れてきて、引き出しがちょっと増えて最低限の工程が楽にできるようになります。

 

すると、昔もう少し手を入れようにも、めんどくさくていいかな、って思っていた部分にも少しずつ手を入れていけるようになっていきます。

基本作業が楽になるので、余裕が出てくるからです。

 

僕も失敗経験があって、

最初らへんの10曲〜20曲で、劇的な成長、目に見える成長を曲に反映させたい、って無理してました。

結局は、自分の持ってるもの、自分が聴いてきたもの、しか出てきません。

無理にテクニックを入れようとすると、やっぱり合わなかったり、曲自体が崩壊する可能性すら出て来ます。最悪、似過ぎてしまうなど。

「これ、自分の作りたい感じじゃない」

「あ〜いらんことしたらわけ分からなくなった・・・」

そうなるとモチベーションが下がって完成させれなくなりますので、悪循環。

 

今の自分の力でいいので、とにかく無理なく続けることが大事です。

まとめ

>自分もこの前の曲よりも質を上げようと、新しいテクニックを取り入れてみようと考えるのですが、作りたい曲の 雰囲気に合わず、妥協していつもの音使いで完成させることがあります。

A.妥協してもそのまま曲を作り完成させ続けることを優先してください。

曲数をこなせばテクニックは自然と身についていきます。そのあとに意識して少しずつ他人のノウハウを自分の曲に入れれるようになります。

 

>しかし一度、完成してしまうとなんとなく様になってるしいいかなと手直しする気も無くしてしまいます。

A.最初はそうなります。完成したものを聴き続けるうちに、そのバージョンに耳がなれてしまうためです。

よほど、曲が聴いてられないレベル出なければ問題ありません。

作業工程に自分が慣れていくと、細かい部分を詰める余裕が生まれます。そこまで作曲を続けれるように、あまり深刻に悩まない方がいいです。

 

>考えすぎてしまうと思っているのですが、どうしても成長 しようと思い続けて、疲れて動画を見てしまったり等、 時間を無駄にしてしまうことに悩んでいます。 

A.作曲する時間を短めに設定してから、決めた時間だけ集中して作曲してみてください。

自分がどれくらいの時間、作曲を続ければ疲れてしまうかを確認しましょう。

それに無理にあがなうと、体を壊します。

時間の無駄、と感じる罪悪感から、まずは自分を解放してあげましょう。

終わりに

精神論的な回答になってしまいましたが、正直すごく共感してます。

ほとんど僕が昔悩んでた内容だったからですね。

なので、みんな今回のことについて悩んでると思うんです。

 

僕から言えることは

  • 作曲を続けること
  • 自分が好きな曲をたくさん聴くこと
  • 1ミリでもいいから、毎回「自分の実験、アイデア」を最低1つは入れること

ご相談いただきありがとうございました。

上から目線な部分もあったかも知れませんが、すみません。

作曲は、楽しく続けることが大事。

僕も精進したいと思いますので、一緒に頑張っていきましょう