「あの〜ぼくのタッチじゃ音が小っちゃいんだけど・・・」
MIDIという概念の世界において、各楽器のベロシティは1-127と決まってます。
強く弾くにしたがって127に向かいベロシティは上がっていきますが、単に音量が上がるだけでなく、その楽器を強く弾いた時のニュアンスが鳴る様になってるんですね。
しかし、その強く弾いたニュアンスが欲しい代わりにそのまま何も音量設定しなければ、ただやかましいだけです。
そこでオートメーションを書いたり、ミックスなりで各トラックのボリュームをコントロールしていくんですね。
これは当たり前のようで、よく考えると不思議な作業です。
音楽はどれだけ音色やフレーズが良くても、音量が適正でないだけで全てが台無し、という面白な存在。
目次
ベロシティという概念を知らなかった時
バンドを始めた時やシンセサイザーを買った時に「タッチ」という概念をあまり意識してなかった様に思えます。
強く弱く。
クラシックピアノをやっていたので、なんというか・・・そういう「ここは弱く弾く、強く弾く」みたいな覚え方、教えられ方の様なイメージだったんですよ。
それがある日、どうにもキーボードを無意識に弾いていると、弱く弾いた時と強く弾いた時とで鳴っている音がなんか違うって気づいたんですね。
ただ単に、音量が小さい大きい、ってだけでなく「ニュアンス自体が違う」って。
そこから色々と本を読んだりしていくうちに、ベロシティってMIDIの概念があって、その数値で各音色の鳴り方が決定していると。
うまくサウンドデザインされてる音色は、プレイヤーにとって弾いてて気持ち良く、自然なフィーリングになるように調整されています。
試奏の仕方が変わった
ベロシティやタッチのことが分かってからは、楽器屋で試奏する際に、なるべくダイナミクスを感じ取れるように大きい音量で鳴らすようになりました。
小さい音、大きい音をきちんと聴く意識をもつ。
バンドをやり始めた頃とか、キーボードのことをよく分かっていない時は楽器屋で試奏する時にあまりボリュームを上げたくなかったんですね。
まぁ単純に恥ずかしかったり、あるいは迷惑かなーとか勝手に思ったりして。少なからず大きい音で弾けば周りは見てきますから。
でも大きい音で音色を聴かないと全然印象が違うキーボードやシンセ、ピアノはたくさんあります。
小さな音では本当の良さが分かりませんので、そういった意味でも楽器屋もシンセの試奏コーナーには環境に力を入れて欲しいなって思います。
小さな音の世界
ベロシティ1-64オーバーくらいの世界。
ダイナミクスはその曲のピークによって変化するので、ひたすら静かな曲においては64くらいのベロシティでも強い、という扱いになるんですね。
でも、決して100越えの強さでもないのでなんだか心地いいわけです。
KOMPLETE KONTROL S88 mk2 を見ていたら、この動画をたまたま発見しました。
あえて、そんな世界観の曲を作ってみるのも味だなぁと。
自分が作る曲って、聴く人にとっては実際にはどんな世界観なんだろうってたまに思いませんか?
自分のイメージときっと違う可能性は大いにある。
それは、聴く人にとって音の大きさや強さ、それらの感じ方が違うからなんだなぁと。
すごく当たり前な話なんですけどね。
いや、実は結構深い話だと思ってるんです。