88鍵盤でピアノタッチ。
永遠の課題ですね。
最近当ブログに「作曲、88鍵盤、必要か」などという検索ワードが登場しているのですが、確かにこれすごく悩むところなんですよね。
ピアノから音楽を始めた人はピアノタッチや88鍵盤が考えの軸になっていると思います。
なので、少なからず作曲に挑戦しようと思った時、鍵盤数やタッチで悩んだりするのはよくわかるんです。私もその一人ですから。
また、他の人はなんでその鍵盤数を選んだのか?
そういうのも気になりますよね。
先日書いたこの記事
この記事でもある程度、作曲志向の鍵盤に対する考えを書いたのですが、もう一発その辺を書いてみたいと思います。
(作曲入門者向けへなります)
目次
- 作曲に88鍵盤は必要か?
- ピアノ出身だからピアノタッチで作曲した方がいい?
- 作曲において、ピアノタッチのデメリット
- どんなジャンルを作曲する?
- 49鍵盤って足りるの?
- 25鍵盤って少なすぎない?
- 88鍵盤の必要性
- 最後に
作曲に88鍵盤は必要か?
必ずしも必要ではありません。
以下、その理由
トランスポーズ、またはオクターブシフトで解決 (音域を変える機能)
ステップ入力 (DAW上で直で音を打ち込む)
右手左手別々で録音
後からどれだけでも修正出来る
はい、つまりやろうと思えば工夫次第でどうにでもなる、ということですね。
その工夫が嫌だ、メンドイ、という人は買いましょう。
ピアノ出身だからピアノタッチで作曲した方がいい?
「機能」か「フィーリング」どちらを優先するか決めましょう。
以下、その理由
出来る人はどんなタッチでも作曲出来るから。
ピアノ畑出身、またはギタリスト、べーシストでも、88鍵盤のピアノタッチで作曲したいと思っている人は多いと思います。
その証拠に、別にピアノ弾きでなくても作曲時のマスターキーボードに88鍵盤を使っている人はたくさんいます。
どうせなら全ての音域 (88鍵盤) を可視化しておきたい。
またはピアノタッチじゃないとやる気が出ない。
ピアノはピアノタッチで弾きたいなど・・・
機能的なことをきちんと考えてる人、フィーリングを優先する人、特に何も考えずあったからそれをそのまま使ってるという人。
本当に人の数だけ様々な理由があります。
そう。
あなたにとっての「理由を決めること」が一番大事です。
例えば、ピアノがバリバリ弾ける人でもデスク周りが狭くなるのが嫌で25〜49鍵盤やミニ鍵盤などで作曲する人もいます。ピアノのフレーズ、録音も工夫したり右手だけでやっちゃいます。
つまり、演奏や練習と打ち込み、フレーズ録音時では使い分けて割り切っているのですね。
88鍵盤の最大のリスクは「でかい」「狭くなる」「他の機材が左右に置きにくい」ということなんです。
作曲において、ピアノタッチのデメリット
ピアノをずっと弾いてきて作曲に興味が湧いた、と仮定しましょう。
今まではピアノの音色ばかりをピアノを弾くフィーリングで弾いてきました。
ですが、作曲はあらゆる音色を使うことになります。
そこで、ピアノタッチでは弾きにくい音色が中には登場するということです。
それは「ドラム」だったり「オルガン」だったり「シンセ」だったり。
どういったフレーズを打ち込むのかにもよりますが、オルガンでゴーストノートやグリッサンドなどをやろうとすると間違いなく弾きにくいです。
シンセの音で早弾きフレーズを弾く場合、軽いシンセタッチの方が弾きやすいですね。
ドラムは別にピアノタッチでも打ち込めますが、シンセタッチの方が弾いていて鳴らしていて気持ちいいです。
それはベロシティ (鍵盤を叩く強さで音色が変化すること) がシンセタッチの方が楽に打てるからです。特に強く弾く場合。
ですが、ほとんどの場合、作曲は録音した後に修正することが前提となりますので、数値は後からでも変更できます。細かいことは後から直せるのです。
すると、タッチによる影響は「フィーリング」が中心となってきます。
出来るかどうか、といえば訓練すればシンセタッチでも出来ます。
ただ、弾いていて気持ちいいか、やる気が出るか、そして楽しいかは弾いている人にしか分からないことなんですね。
ぶっちゃけ、ここが一番重要なんです。
また、どんなジャンルの音楽を中心に作曲するのか、も非常に重要です。
どんなジャンルを作曲する?
もし作曲をしたいと思っている段階であれば、それはまだ具体的に定まってないかもしれませんね。
例えば、ピアノが活躍する、ピアノ中心のBGMを作りたい、と仮定しましょう。
作曲においてのピアノ曲は色々なピアノの表現があります。
それは色々な音色と組み合わせたり、パラメーターを変更できるからですね。
しかし、ピアニストが弾くような表現、演奏を録音したいのであれば、普通のピアノを弾く時と同じ環境に近いフィーリングで録音出来ることが望ましいと言えるでしょう。
つまり、文字通り88鍵のピアノタッチで録音する、ということ。
または、そういう曲を作る頻度が自分で多そうだな〜と今の段階で思っているのであれば、ピアノタッチを選択しても良いと思います。
いや、ピアノの音も弾くと思うけど、せっかく作曲するんだから色々な音を使ってみたいし、あまりピアノの音色ばかり弾くことを優先したくない。
それならば、鍵盤数の少ないシンセタッチでもいいと思います。
でも、ピアノやオルガンなどを弾く時もあるからその時は音域が足りるか心配、という不安があるなら「61鍵盤」あたりがオススメです。
49鍵盤って足りるの?
はい、普通に足ります。
工夫とイメージ、重要なのは「頭の中で、イメージできる能力が強いかどうか」です。
49鍵盤は4オクターブしかありません。
その鍵盤だけを見て、低音、高音が同時に鳴るイメージや、その仮説のチェックなどをPCの画面で素早く行えるのであれば、49鍵盤はただのコントローラーと化します。
ピアノの録音を、ピアニストが全ての鍵盤の音域を使って激しく演奏する、そのような曲"以外"は十分に対応出来ます。
また、鍵盤楽器も全く弾いたことがない場合で作曲を始める時も、だいたい49鍵盤は標準の鍵盤数となっています。
そして、鍵盤の他にも違う機材 (MIDIコントローラー) を組み合わせることも可能です。
すでにピアノ経験があるゆえの、88鍵盤ないと不安、ピアノはピアノタッチじゃないと弾けない、弾きにくそう、という姿勢、固定観念、が一番やっかいです。
それをクリアして割り切るのか。
または、あえてその感性やフィーリングを大事にして作曲に持ち込みたい、その価値観を自覚するなら、ピアノタッチの88鍵盤を作曲時のコントローラーに選択しましょう。
25鍵盤って少なすぎない?
さすがに25鍵盤は用途が限られますが、出来ないことはありません。
この動画を見てください。
9分という課題、制限の中で作曲していますが、使い倒してくると鍵盤もPCキーボードもただの入力装置と化する、というのが分かると思います。
動画の方はショートカット使いまくりで、もう自分のスタイルが出来上がってしまってます。 ピアノのみ、電子ピアノで録音していますが、こういったのを見ると考え方がかなり変わると思います。
というか、出来ないのが殆ど言い訳に聞こえてきます (おぉ、耳が痛い・・・)
また、作曲にも色々ジャンルがあり、何も多音域を扱うような、オーケストラやバンドサウンドだけではありません。
エレクトロニカなサウンドや、使う音域が狭くても多彩な音色の変化を中心に、リズムやビートを中心に繰り出すサウンドもあります。
ピアノが弾けなくても、人差し指一本でボタンを押す、のは誰でも出来ます。
そういう方法で作れるジャンルの音楽があり、そのプロフェッショナルもいます。
鍵盤は弾けないけど、サウンドメイキング、曲作りの才能がすごい人たちがたくさんいますので、鍵盤を弾くことだけが作曲ではないんですね。
鍵盤楽器に捉われない作曲方法は色々あるので、探して見てくださいね。
88鍵盤の必要性
正直言うと、88鍵盤の低音、高音の音域って作曲では殆ど使いません。
それは、ほとんどの生楽器がその音域は演奏音域ではないからです。しかし、スイッチ機能など、音色によって色々と機能が割り当てられていることもあります。
それでも、録音でその音域が一発録りで必要になるケースはガンガンと弾くピアノ演奏くらいです。
そのことを踏まえると、
作曲だけに使うのではなく、ピアノの練習も作曲用のキーボードで併用したい、と言う考え方もあります。
わざわざ作曲用と、ピアノ練習用の鍵盤を設置するくらいなら「一台で完結したい」と言う人もいます。
あとは、88鍵盤の方がイメージが視覚的なインスピレーションが湧いたり、全ての音域を見れることからも様々なメリットがあります。
ちなみに私はこの考え方だったりします。
他にも37鍵盤もあったり、タッチがミニ鍵盤、ポータブル鍵盤、88鍵盤でもセミウェイトタッチ (シンセタッチとピアノタッチの中間) だったりと色々な機種がありますが、基本的に考え方は同じだと思います。
最後に
鍵盤数は少なければ設置スペースがコンパクトになり、値段も抑えられます。
多ければ場所をとりますが、ピアノタッチのフィーリングを得られます。
タッチは軽くても重くても、音色によって長所短所が出てきます。
訓練と工夫によって乗り越えるか、使用頻度の高い音色の方に合わせていくのか自分でもう一度考えてみましょう。
機能的に考えるか、フィーリングを優先するかはあなた次第です。
そして私は、88鍵盤を使っています。
理由ですか?
かっこいいからです。