シンセサイザーの鍵盤のタッチは非常に奥深いですよね。
弾く人によって様々に表情を変えていく様は、まるで弾き手が試されているかのように思えます。
今日は、そんなシンセのタッチでも「61key、76key」などのライトタッチ鍵盤の奥深さについて書きたいと思います。
目次
88keyを弾いている人
ピアノから鍵盤楽器を始めた人は自宅での練習はもちろん、ライブでも可搬性が許す限りピアノタッチ、または88keyで弾きたいですよね。
弾く曲の内容にもよりますけど、基本的にピアノをメインに弾く人はピアノタッチの重さ、跳ね返り、音域、そういった感覚が当たり前だったりします。
そんなピアノマンがいざ61keyを弾こうとすると・・・まず最初に指が転がります。
そう、軽すぎるんですね。
キーボードのライトタッチに対応出来てないんです。
私も当時そうでしたが、タッチが明らかに違うにも関わらず、カシオのキーボードやシンセサイザーを目の前にしても、ピアノタッチを弾くような意識で弾いてしまうんです。
結果、滑る、転がる、ミスタッチ連発、しまいにはおきまりのセリフ
「軽すぎてめっちゃ弾きにくいわ」
バカヤロウ!! そんなんお前が下手なだけだ!!
ってなるんですね。サーセン。
まぁその時は当然分かっていないので仕方ないのですが・・・。
61keyから学ぶべきこと
別に学ぶとか知らんですが、私が勝手に考えていることですがw
ある時、61keyの鍵盤の見方が変わった時がありました。
それは普段ピアノタッチでバリバリ弾いている人が61keyを弾く姿を見た時。
クソ上手い
なんだ、なんだあのタッチセンスは・・・
まさに鍵盤のタッチの違いを完全に弾き分けている状態。
最初に感動したのは、高校生の時、クリスチャンだった友人に連れられて教会へ行った時、賛美歌の演奏を生で見た時でした。
キーボーディストが歌いながら76keyのキーボード (KORG Trinity) を弾いていたのです。
で、その演奏自体も相当上手いのですが、そのあとグランドピアノに移ってもすごい演奏です。その時はただただ感動でしたが、改めて月日が経って思い返し始めた時、何が違うんだろうって。
それは「タッチの強弱 (ベロシティ) のコントロール」でした。
強弱の付け方がものすごく上手いんですね、緩急の付け方、スピード感です。
タッチのこと
鍵盤のタッチと言うのは、強いか、弱いか。
鍵盤のタッチセンサーは、その強弱を何で測定しているかと言うと「打鍵までのスピード」なんですね。
それが早いほどベロシティが高く、遅いとベロシティが低い。
MIDI で言うなら、ベロシティ、0〜127の世界です。
大きな音を出したければ、打鍵を早くする、小さな音ならそっと弾く。
オルガンやロックピアノなどタッチセンスをオフにしている音色もありますが、それが弾き手の思うような強弱で反映されるかは音色、機種のタッチセンサーのレベルにもよります。
クラシックピアノでスタッカート、レガートなど、そう言ったものの奏法や意味自体は分かっていましたが、ライトウェイトでそう言うタッチを意識出来るかが、キーボーディストとしてのセンスの分かれ目だと感じた時でした。
どちらかと言うと、ライトタッチだと最初からそういうのを諦める傾向があったのです。
いやいや諦めるな。
私が好きなキーボーディスト
ERSKINE HAWKINS と言うキーボーディスト。
笑顔が素敵です。
指先まで集中して弾いてるのがすごく分かるのですが、一音一音の音に対する意識というか繊細さがものすごく伝わってきます。
こういう奏者になりたいなぁって思うんですね。
スタッカートの強弱もそうですが、薬指の使い方が上手いので即興演奏といえど、ハーモニーを意識しているのが良くわかります。
こういう弾き方、意識が出来ると音数が少なかったり単音だけでもすごく説得力のある演奏になるんですよね。
こちらは KRONOS LS 、ライトウェイトの88keyですが、抜群のセンスです。
特に中盤のエレピとピアノ。
リズム、指先で弾いてる感じ、手が大きいのもあるけど・・・あと音域に対するレンジも広い、特に左手。
やっぱり左手が動く奏者は上手いし出てくる音が全く違う。
と思ったのでした。
最後に
ライトタッチばかりで弾いていると、重たい88keyタッチに戻った時にも影響があるので練習バランスなど難しい部分もあります。
ですが、必ず61keyが弾けるようになると、88keyに戻った時も意識が少し変わると思うんですね。
色々なタッチが弾ける人はそれだけ対応力があり、深みのある演奏に繋がるのだと思います。
ライトタッチのキーボードは一台所有して、限られた音域、タッチで表現する癖をつけてみるのもいいですね。