KRONOS は KORG のワークステーションシンセの最上位機種。
初代、X、そしてNew KRONOS (KRONOS 2) と登場しましたが、最近限定カラーモデルが次々と出てたんですね。
プラチナとゴールド。
カラーバリエーションを出すとだいたい次機種の為に在庫処分かとか騒がれるのですが、昨年末に ブロンズカラーの KRONOS が登場しました。
しかも『LS』というバージョンで、88Keyです。
注目されていたのが、LS鍵盤という独自のライトウェイト鍵盤を作ったということでした。
KRONOS の音源や機能自体は変わりませんので、その辺のことは動画なりを見た方が早いでしょう。
私はやはり今回 LS を選択しようと思っている全ての人が気になるタッチを中心にレビューしていきたいと思います。
目次
鍵盤とタッチの感想
「61key などのライトタッチと、88Key のピアノタッチの間」
まさに表現としてはこの一言に尽きます、良く出来てますね。
一見 CASIO や Alesis の88Key、KURZWEIL の76Key系の箱型鍵盤と似ているのですが、質感は上質なので私のように迷っている人はGOですね。
また、実際弾いて音を出すとやはり音源が良いので全然感覚として違います。
(もちろんウォーターフォールとも全然違います)
上記に挙げた箱型のライトタッチはバネって感じで、どうしてもピアノ系を弾く時にどこか浮いているような感じなんですよね。
(特に打鍵戻りがそう感じてしまう)
それが今回の LS 鍵盤だと、あぁここまでいってくれるかぁ、っていう「下まで押した感」があるんですね。
店頭に置いてある場所が無いのでタッチの試奏が出来ずでしたが、一か八か買って良かったです。
一発目に弾いた印象としては「軽すぎたかな」でしたが、段々慣れてきましたね。
慣れたら楽しくなってきます。
特にスプリットが楽しく、エレピとベースなんかは弾いていて本当に気持ちいいです。
ピアノは調整が必要
エレピやローズ系などはこのタッチでも気持ちいいです。
ですが、やはりピアノ音源は別。
ベロシティはもちろん、どのくらいの強さでどのくらいの音が鳴るか、そのイメージがピアノタッチと少し違い、また音色ごとにも違います。
全音域フラットなキャラクターのピアノ音色もありますが、EQ などで違うものもありますので、LS 鍵盤のタッチで弾くことを想定して音色を選ぶと良いですね。
EQはすぐいじれるので好みに合わせて行けばよし、です。
2時間くらい弾いてから普通のピアノタッチに戻ると、やはり重く感じますね。
確かに軽いのは楽しいのですが、タッチコントールの重要性について改めて考えさせられます。
あくまで、軸は重めのピアノタッチを基準にしておき、ライトなLS鍵盤で楽しむ、というのが良いと思います。
LSを基準にしてしまうと、ピアノタッチに戻った時にさすがにきついので…。
どこで脱力すべきかが分かるかも?
LS で弾いてからピアノ鍵盤を弾くと、重さが違うのは当然なのですが、それよりも「ベロシティの感覚」が一番影響を受けます。
逆も然りで、普段ピアノタッチで弾いていてライトタッチのピアノを弾くと、結構強めで弾いてしまうんですよね。
当然タッチが軽いので、シンセ鍵盤は音がとにかく強く鳴るんですね。だからタッチが弱い人は弾きやすいという人もいるのですが・・・。
LS は88Key ですが、ピアノらしく弾こうにもやはり相当軽いです。
ペダルを使うなら尚更ですが、軽いが故に粒立ちを意識して弾かないと強音であっという間に音は濁りますね。
特にリバーブやリリースが効いた音色などは余計に・・・。
軽いので早弾きがしやすいのですが、早いパッセージは必然的にタッチが強め、音数多めになるのでいかに脱力で平均的に早く弾けるかが問題です。
ダンパーペダルの踏み替えタイミングは、61Key 同様にシビアに、またピアノタッチ以上に強弱の差を意識して弾けるとベストですかね。
色々な音色を弾くのが相当楽しい
その為にわざわざ LS 鍵盤を選んだので、そうであってもらわなくては困りますw
というわけで、それくらい各音源とタッチの相性は抜群で、メーカーもそこを推してますからここは間違いありません。
黒鍵も白鍵も人差し指一本でグリッサンドが可能、さらに指も痛く無い、ベロシティも軽いのですごく綺麗なグリス。まるでハープのようです。
オルガンはグリスはもちろん、ゴースト、連打の反応も良いですね〜最高です。
これは61Keyともまた違う、別次元の感覚。
ただアフタータッチが非搭載なので、リード系の音色など、アフタータッチを駆使した演奏表現をしたい人は、その辺が満足できないかもしれないです。
(推測ですが、あえてアフタータッチを外して KRONOS 2-88 の価値を損なわないようにしたのかな)
ボディが意外にも高級っぽかった
まぁ高級は言い過ぎかもしれませんが、ブロンズの部分に関してはかなり良い線いってると思います。黒よりも艶がありますし、光具合でギラリとしています。
プラスチックの部分はまぁ共通なので。。。
ダイヤルもそうだけど、この部分なんとかならんかったかな〜
ベクタースティックも軽くて良いし、ダイヤルはガチャガチャしてた方がカーソル合わせている感はある。
このへんの材質は Roland や YAMAHA に軍パイがあると思います。
KRONOS 2 からサイドにウッドパネルを採用していますが、あえて X を好む人も多いみたいですね。
私は X は見た目の統一感はあるものの、サイドの材質が傷つきやすいのが気になりました。もしライブをやる人は立てかける場合に傷つくなぁって。
サンバーストだとどうなんだろう、って思ってましたが、いざ届いて開封するとブロンズのボディとかなりマッチしています。
Photo by KORG
木の仕上げ、フィニッシュ? が良いので手触りがとても良いです。すべすべしてるのに、木の深みが感じられる手触りです。
ここは通常の KRONOS のカラーより好みだったりします。
Photo by KORG
全体的に見ると、ディティールが素晴らしい。ブロンズとサンバーストがマッチしてるのが良くわかります。とても個性的です。
アーティストのインプレッションは?
ちょうど数日前から KORG の公式チャンネルより、キーボーディストによる LS の感想を収録した動画が上がってますが、やはりキーボーディストの感想は興味深いです。
オルガンが弾きやすいののはもちろん、「弾いていて楽しい」「演奏が楽、疲労感を軽減できる」という感想が出てます。
弾きにくいとかそういうことではなく、演奏が楽、この感想って私も良くわかる気がしました。
なんか気軽に弾けるんですよ。
タッチが軽いというだけで、精神的にもなぜか楽に弾けます。
ピアノタッチと集中するべき部分が少し違うのですが、そこも含めて楽しめています。
きちんとピアノタッチと弾き分けることができれば、相当楽しく演奏できるのでは無いでしょうかね?
ただピアノタッチに戻った時は重いですよw
LS にするメリット
軽い箱型鍵盤は色々ありますが、それらと比べても今までに無いような新しいフィーリングが得られると思います。
そこが現存するシンセタッチとの違いですね。意識すればしっかり弱く弾けます。
音源も良いので余計感覚としては贅沢な感じです。
ジョン・ショーンが動画内で「新しいアクションだ」と言っていますが、まさにそんな感想が適切ですね。
88Key をこのタッチで弾けることは、キーボーディストの価値観を少し広げてくれると思っています。
まとめ
自分が買ったものなので褒めたいのは当然ですが、やはりLS鍵盤といえど万能では無いと思っています。
ピアノタッチのRD-700NX に戻れば、ああ、やっぱりピアノはこの重さが落ち着く、良い、そう思ったりもするんです、都合良いですよね?
何だろう、この感覚は。
色々考えたのですが、音色だけではなく、どういったフレージング、演奏をするのか、によっても弾きやすい、弾きにくい場面もあると思うんですね。
でもそれは、どのキーボードのタッチ、音域の鍵盤を選択しても同じことです。
私が達した結論は、結局のところ、そのキーボードの「どこを楽しむかが重要」ではないかなと。
うまく弾くことも大事ですが、その機種でしか出来ないことを楽しむことを忘れてはならないなぁと、久々にハードシンセを買って思いました。
一つ言えるのは、KRONOS 2-88 と迷っているのであれば、運搬性も兼ねて割り切った使い方をしたい人は LS でも良いと思います。
本体は軽いしオルガンはすごく良いので、ピアノタッチを少し犠牲にする価値は十分にありますね。
最後に
軽くて弾きやすいLS鍵盤は、遊び心のある軽快なタッチですね。
新しい鍵盤アクションで9つの音源を鳴らせる、また KRONOS ならではの能力でレイヤー、スプリットはもちろん、音色の作り込みも可能です。
私個人の感想としては、このタッチで弾けるようになるように意識すること自体が、ピアノタッチに戻った時にも何かしらのタッチセンスの意識を変えることになるような影響力がある気がします。
それはキーボードを弾くことの楽しみを増加させるものだと思っていて、新しい価値観を提供してくれたなぁと感じています。
長く使えるように色々と弄っていこうと思います。