VirHarmonic社から『Bohemian Violin』という高次元の表現力を持つバイオリン音源がリリースされました。ソロヴァイオリン音源は色々と出ていますが、リアルに表現しようものならどれも編集が大変なものばかり。
「Bohemian Violin」は弾くだけでフレーズに合わせて自動で変化していくので、編集が苦手な方へオススメしたいです。(2015年12月24日 発売)
目次
VirHarmonicとは?
プラハフィルハーモニー合唱団のクワイア音源を提供している会社で、クラシック音楽をバックグラウンドに持つ、Ondrej Pochyly 氏がヘッドデベロッパーのようです。彼は作曲家、指揮者、そしてバイオリニストの顔を持つ VirHarmonic の創設者でもあります。
これは凄い音源が出てきました。まずは音を聴いて頂きたいので、早速公式のデモ動画を見ていきましょう!
動画① オーバービュー 日本語解説付き
鍵盤を弾くだけで素早くイメージした演奏表現が出来るので、ヴァイオリンの打ち込みが苦手な人にとっては非常にありがたい音源ですね。
動画② 打ち込みデモ
こちらはスコアでベタ打ちした動画のようですが、それでもこの表現力。スコアでのクレッシェンド表現などはまだ不自然ですね。このあたりは自分でオートメーションを書いた方が良さそうです。
Bohemian Violinの特徴
スピカート、レガート、ボウイングといった MIDI CC を使用しなくても、鍵盤を弾くだけでヴァイオリンらしさを表現してくれる"アーティキュレーション処理能力"が素晴らしいですね。
通常の設定画面では「レガートインターバル値」「リバーブ値」「ボリューム値」だけをとりあえず調整すればOK。もちろん録音後に、自分で細かく設定を調整することも可能なようです。
ですがこの製品の売りとしては、そこまで手を加えなくても普通に弾くだけでヴァイオリンらしい表現力を得る事が出来る ことだと思います。
例えば、一つのフレーズが有るとして、その始まりから終わりまでの間に"早いパッセージ"と"ゆっくりなロングトーン"の両方が混在していたら、通常の音源であれば早いパッセージの部分だけ音源の「奏法」を切り替える必要が出てきます。早いフレーズには早い発音が求められる為です。
それがこの Bohemian Violin であれば、各パッセージごとにマッチした奏法に自発的に変化していくので、いちいちヴァイオリンの奏法を気にしなくてもフレージングや演奏そのものに集中できるのが素晴らしいです。
通常、よりヴァイオリンらしくしたいのであれば、最初からフレージングを計算して割り当てる音色や MIDI CC などを個別で設定する必要があり、録音までに準備が必要だったりします。
それが Bohemian Violin ならまずは普通にそのまま弾いて録音してみて、そこから初めて修正する必要があるのかを判断すれば良さそうです。
https://fomis.jp/SoundwaresLAB/bohemian-violin.html
フレーズを弾くと、左上の画像が現在のアーティキュレーション、音の強さなどが表示されます。演奏している間には、弾くフレージングに合わせて適正な奏法に一瞬で処理されていく、ということですね。
感想
手で弾くと言うコンセプト的には Roland社 の「JUPITER-80」「INTEGRA-7」などに採用された"スーパーナチュラル音源の発展系"のようなイメージなので、細かく打ち込まれた既発のヴァイオリン音源の方がまだ上手なイメージはあります。
ですがそれは"あくまで細かく打ち込んだもの"と比べての話。やはり、"普通に鍵盤でそのまま弾いただけでここまでのレベル"と言うのがこの音源の強みであると思います。さらに細かく調整すればもっとヴァイオリンらしさを表現出来ると思います。
今後のアップデート予定
- より多くのアーティキュレーション
- ボウスタイル
- ボウタイプ
- ダイナミックポジション
- ポルタメント
- スラー
- ボウレガート
- グリッサンド など
https://fomis.jp/SoundwaresLAB/bohemian-violin.html
ボウスタイルやボウタイプだけでもかなりの幅が広がりそうです。すでにこれらの採用が決定されており、必要な素材は用意されていてあとはプログラミグだけのようです。したがって、今後間違いなくトップクラスのヴァイオリン音源へと変貌すると思います。今から買えばアップデートは無償で行えるとのことですので、早めの購入をオススメします。
私も買いましたのでもう少し雰囲気を知りたい方は、こちらも聴いてみてください。
まとめ
Bohemian Violin の特徴は、ヴァイオリンの奏法を気にしなくても鍵盤を弾くだけで自動で処理してくれる点です。今後のアップデートにも期待が持てますし、設定に時間をとられずに、作曲自体に集中したい方にオススメだと思います。