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ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。3月はRPG/オーケストラ系の素材曲を作っています。

【作曲】環境音楽の作り方【アンビエント音楽】の作曲方法とは?

Bohemian Violin 作曲テクニック集 アンビエント・環境音楽 アレンジテクニック集 作曲/編曲

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Photo by Michael Caraway

最近アンビエント系の曲を作りました。アンビエントはサウンドスケープと並ぶ「環境音楽」の一種ですが、聴いているとリラックスしたり、作業の邪魔にならないので、私の好きな音楽ジャンルの一つです。

今日はそんな"アンビエントミュージックの作り方"について書いてみようと思います。

目次

アンビエントとは?

音楽ってロックとかポップス、ジャズとか色々なジャンルがあると思うんですけど、その中でもメロディが無い環境音みたいな音楽ジャンルがあるんです。それが"アンビエント"と呼ばれたりしています。

 

アンビエントはイメージ的には、こちらの動画のような音楽になります。

こちらは少し暗めの"ダークアンビエント"と呼ばれる方向性の音楽ですが、映画やドラマ、アニメなどのオープニング、または緊張感溢れるワンシーンなどで耳を澄ますと、こういう音楽が映像を盛り上げてくれています。

4分33秒 -ジョン・ケージ-

こちらは説明するより見て頂いた方が早いと思います。

この4分33秒の映像を見て、音や音楽についてどう思いましたか? このように環境音に耳を傾ける事で、音楽が"曲として鳴っていなくても成立する"ことを証明しています。 

4分33秒 - Wikipedia

アンビエントの定義

始めに断っておくと"アンビエントの作り方"と題するこの記事は、アンビエント音楽を作る上での"一つの方法に過ぎない"という事を理解していただいて、気楽に読んでいただきたいです。その方がアンビエント音楽を幅広く楽しめると思います。

アンビエントの定義については現在では作曲者によっても様々な解釈があり、一概に"これがアンビエント"と決めるのものでは無いと思っています。ですがイメージとしては先ほど紹介した音楽がまずは近いと思います。

基本的に聴く人にどんな印象を与えたいか、またはどんな気分にさせたいか、によって曲のテンポや明暗を調整します。

どの音楽ジャンルもそれぞれルーツがあり、様々な評価を得ながら発展してきました。なのでアンビエントも別に定義付けするものではないと思っています。これから紹介する作り方や方法は、あくまで私が最近作った、"私が思うアンビエント音楽"の作り方にすぎません。

読み物として読み進めて見いただくのも良いですし、参考になる箇所がもしあれば応用のキッカケになれば嬉しいです。

Last Month

こちらは最近作った9つのトラックから構成されているアルバムで、"各曲1分54秒と定めて即興で音を重ねて作った音楽"です。

メロディがあったり無かったり、ピアノが鳴っていたりと様々です。狙いとしては"垂れ流して聴いてもらう"目的で作りました。「何か音が聴こえてきたな...」くらいで聴くのが丁度良いかもしれません。

もし今、音を鳴らせる環境で読んでいるならば、まさに今、下の音楽を流しながら読み進めていただけると意図が伝わりやすいかと思います。

エジプトを舞台にした一ヶ月間のミステリートラベル

アンビエント音楽の役割

さて、どんな曲にも役割、存在意義みたいなものが少なからずあると思います。例えば「直接楽しい気分にさせてくれる」だったり「映像を盛り上げる役割」など色々あります。

ここで一つ考えてみたいのは、アンビエントに限らず音楽の役割は大きく2種類に分かれることです。

  1. 直接聴いてその音楽自体から何かを得たり感じたりするパターン
  2. 音楽を映像やコンテンツなどを通して相乗で感じるパターン

アンビエントは環境音楽なので、そのまま聴いてももちろん楽しめますが、映像に溶け込ませると「雰囲気」を作り出す事が出来るのです。映画なら、そのシーンで俳優がセリフを吐いたり、無言で視線だけを動かしたりしても環境音楽は主張せず裏側からプッシュして引き立ててくれます。 

アンビエント音楽を作曲する時に意識すること

実はこれは特に決まっていません。映像に音をつけたいのか、絵を描いたりする人の為に作業の邪魔にならないような音楽を作りたいのか、あるいは美術館のような静かな場所で自然な感じで流れているような曲を作りたいのか、色々作り方も変わります。

その中でも様々なタイプのアンビエントで共通している点は「主張しないメロディ」であることだと思います。もし何も作った事が無ければ、とりあえず固定観念にとらわれずに、まずはこれだけを意識してみると良いと思います。

主張しないメロディとは?

極端に言ってしまえば"覚えられないような曖昧なメロディ"です。つまりルールなど決まってませんので聴く人に対して聴覚上、精神上に問題なければデタラメなメロディでも良いのです。注意しておきたいのが決して"音をはずす"とか"不協和音"でも良いと言う意味ではありません

こちらが最近作ったアンビエント音楽です。まずはヴァイオリンのような音のメロディに注目してみてください。

このように「音階の羅列」や「リズムに沿ること」を無視することで「ランダム性」が生まれます。なるべくメトロノームを使わずに自分のフィーリング、テンポで「」を意識して録音してみてください。

この曲で使用しているヴァイオリンは「Bohemian Violin」という先進的な音源で、現在私も最高に気に入っているヴァイオリン音源です。

興味がありましたら是非こちらの記事も参照してください。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

環境音とは?

アンビエントのメロディの考え方について説明しました。次に必要なのは"環境音"です。環境音とは"自然界で鳴っているような生活音"です。先ほど聴いて頂いた曲のバックで"風のような音"がうっすら鳴っていました。こういう音があるとさらにランダム感が生まれます。是非こういう音色を使って「リズムの不規則性」を狙ってみてください。

必ず必要というわけではありませんので、無くても他の楽器の音だけで近い表現が出来れば問題ありません。

少しまとめ

主張しないメロディを作り出すには「リズムを不規則にする」「間を作る」「覚えられないようなメロディにする」これだけ意識すれば良いと思います。

もう一度おさえておきたいことは、この方法はあくまで私が作った Last Month のような雰囲気の音楽を作りたい場合に限ります。

次に「音の強弱」について考えてみたいと思います。

音の強弱とオートメーション

音の強弱、楽器の音色のタッチを意識する

アンビエント音楽で重要なことはとにかく「雰囲気を作ること」です。例えば、ピアノを強く弾いたり弱く弾いたりすることでも、簡単に雰囲気を作る事ができるのです。

この曲は、ピアノと環境音の2トラックしか使っていません。最初は環境音しか聴こえないですが、途中からピアノの音がポツポツと入ってきます。なるべく自然な強弱を意識して弾いています。

コツは「単音で中域〜高音を弾くと雰囲気が作り易いので試してみてください。ここで意識することは、弱く弾いたり、強く弾いたりしてそれが"どういう雰囲気を作り出しているのか"を自分で感じとる事です。 

 

次に「時間軸による音量変化」について考えてみたいと思います。

オートメーション、時間軸による音量変化

オートメーションとは、"音が時間の経過と共にどう変化していくのかを書く"作業です。ここでの変化の意味は「音量」とします。

下の図は、環境音の音色のオートメーションになります。黄色い線をジグザグに書いてるのが分かるかと思いますが、下に行くほど音が聴こえなくなり、上に行くほど音が大きくなります。

これがまっすぐであれば外的な音量変化はありません (各音色自体のタッチ、ベロシティによる強弱での音量変化はあります)

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こうやって音量に変化をつけるとリズムの不規則性がさらに増します。そのトラックだけが、聴こえたり聴こえなくなったり、を繰り返す事で全体を通してメリハリができ、結果的に"ランダム性"が生まれます。

特にこのカテゴリーの音色は、一度弾いたら音が鳴りっぱなしになりそれが不快な雰囲気を生み出してしまう可能性があります。そうでない音色の場合はオートメーションを書く必要が無いかもしれません。音色に合わせて手段を選びましょう。

このように、"音の強弱、時間軸の音量を意識すること"が"ランダム性を生み出す"キッカケの一つになります。

環境音は「良い音源を見つけること」ができればほぼ8割占めたものです。まずは音色を探しましょう。そして音量オートメーションを書いてみましょう。

DAWの音色カテゴリー

メロディを担当する音色についてはピアノやギター、ヴァイオリンなど何でも好きなもので良いと思います。

環境音の方ですが「Textures」とか「Soundscape」 などと言ったカテゴリーを選択すると環境音っぽい音色が見つかると思います。

Logic Pro -EXS24-

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こちらは Logic Pro の EXS24 の「Textures」という音色カテゴリー。映画音楽でも使えそうな環境音が揃っています。そのまま適当に弾くだけでも良い雰囲気なのでオススメです。

Native Instruments  -EVOLVE-

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こちらは Native Instruments のプラグイン KONTAKT で動作する「EVOLVE」 という音色。基本パラメーターもシンプルで使い易いのでオススメです。

 

私はDAWは Apple Logic Pro を使用していますが、上記のLogic付属音源の EXS24 や NI の Kontakt 5 で動作する EVOLVE などは即戦力になる音色が入ってますので、参考にしてみてください。

コントロールすべき項目

ここまでザックリですがアンビエント音楽について書きました。もう一度意識したい項目を再度まとめてみます。

メロディを主張しない:意識すること

  1. リズムの不規則性 (メトロノームを使用しない)
  2. ランダム感のあるメロディ (1+タッチの強弱や音域など)
  3. メロディが鳴っていない「間」も作ること

環境音を入れる:意識すること

  1. 使える環境音の音色を探すこと
  2. 楽器の特性、音域、強弱、弾き方を工夫すれば環境音っぽくなる
  3. 音量オートメーションを書くこと (環境音は鳴りっぱなしになる事が多い為)

実際に作曲する際にどうやって音を置いていくかは、巷のアンビエント音楽を参考にしてみるとイメージは掴めると思います。

エフェクターについて -リバーブ-

最後にアンビエント音楽に重要な「リバーブ」について考えてみたいと思います。

リバーブとは?

リバーブとは本来は reverberation で「残響」と言う意味を持ちます。

残響 - Wikipedia

残響は程度が違うだけで常にどこにいても鳴っているのですが、普通に部屋の中にいるだけではそこまで響いてないので残響感を感じれないと思います。

だいたいは広い空間、洞窟、体育館などで音を鳴らすことでようやく残響感を感じれるのでそこで初めて意識したりします。部屋の広さや形、空間によって音がどのように反響していくかで残響感が変化します。

音楽を作る上で人工的に残響を生み出す為に、「リバーブ」というエフェクターを使うのですが、DAWに付属しているものでも十分に対応できますので、アンビエント以外のジャンルでも積極的に使用したいものです。

こちらは Logic Pro に付属している PlatinumVerb というリバーブです。

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使用するリバーブの種類によって弄れるパラメータが変化しますが、基本的に主要パラメータは大体決まってます。このリバーブだと「Dry/ Wet」「Reverb Time」「Room Size」などが効果 (変化) が分かりやすいので色々弄ってみてください。

それから「比較」というボタンを押せばエフェクターを立ち上げた時の元の状態と比べる事が出来ますので、元に戻せます。また、エフェクターを完全に OFF にした状態で比べたい時は「バイパス」というボタンを押せばOKです。

 

ザックリとリバーブについて説明しましたが、では実際にリバーブが音楽や楽曲に対して、どのような影響を与えるかについて考えてみたいと思います。

リバーブの重要性

リバーブはどんな音楽ジャンルにでも必要な要素ですが、アンビエントにおいては「遠近感や距離感」を演出する重要な要素です。また、リバーブを使うと音に艶が生まれるので、とても聴きやすくなるためリラックス効果も期待出来ます。

しかし音が分からなくなるほど強めにかけたり、使い方を誤ると逆効果になります。例えば、全部の音に同じ強さでかけるとメリハリが無くなり音像がぼやけてしまいます。

楽器や音色の特性を少しずつ理解しながら、トラック毎の音色ごとに距離感や遠近感を意識して設定することが、心地よいアンビエント音楽を作り出せる近道になります。

リバーブで意識すること

  1. 聴いていて心地良いかどうか
  2. 楽器の音像がぼやけていないか
  3. 遠近感、距離感を意識してみる (メリハリを失っていないか)
  4. どんな場所で音が鳴っているのかもある程度イメージする

基本的にリバーブの設定値は"自分の直感を信じて自由にやれば良い"と思います。こうしなきゃいけないというルールは何もありません。

人がどう感じるかは人それぞれに委ねるしかありませんが、自分が狙ったとおりに近づけることは大事だと思いますので、「こういう感じにしたかったから、こうした」と設定する数値に対して自分の考えを主張出来ると良いと思います。

アンビエントをもう一度考えてみる

今回は Last Month のようなパターン、雰囲気の作り方を書いてみました。もしあなたがアンビエント音楽にとても精通していて、ルーツを知っていたり思想を持って作っているとすれば、"これがアンビエントだと!? ふざけるな"と思うかもしれません。

アンビエントに限らず、音楽は難しく考えたり見方を厳しくしてしまうと、本当につまらないものになってしまう可能性があります。音楽理論を理解した上で、デタラメ感を出すのと、本当にデタラメにやるのでは意味も狙いも確かに変わってきます。

ですが、何かを始めようとする場合、そういった理論などは"害"になる可能性が非常に高いです。デタラメで結構です、0から1にする勇気の方がよほど大事です。

今回、メロディを曖昧にする、メトロノームを使わない、など色々書きましたが、メロディをきちんと定めて、リズムもしっかり作るようなアンビエントももちろんあります。これをキッカケに、一つのアンビエント音楽を作れるようになって、色んな環境音楽に触れていっていただけたら嬉しいです。

最後に

環境音楽は作曲を始めたばかりの人でも、上記した堅い考えを捨て去れば、実は一番"形にしやすいジャンル"だと思います。ジャンルの型が分かりやすいジャズやポップスなどにくらべても、かなりハードルは低いと思います。

アンビエントのよいところは楽器演奏が未経験でも、イメージさえ掴めればDAW上で音をポツポツ置くだけでも十分音楽的な曲を作る事が可能なジャンルだと思います。(中にはアンビエントはそんな単純じゃない、という方もいるかもしれませんが...)

ピアノやギター、またはシンセやパーカッション系などの即興演奏を応用すれば、このようなパターンの音楽をもう少し高度なものへと発展させれるかもしれません。大切なのは"自分で色々と実験してみること"だと思いますので、ここに書いたテクニック以外を見つけれると独自性が生まれると思います。

是非、色々な音を録音して"自分だけのアンビエント音楽"を作ってみてください。

また、私は環境音楽とイージーリスニングを追求しており「アンビエント・環境音楽」では、それらをテーマに作曲したものを公開しています。

本記事に興味がある方は、チェックしていただけると嬉しいです。

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andy-hiroyuki.hatenablog.com