DVDとBlue-ray にて発売されたドラクエ5のオーケストラコンサート映像のレビューをしたいと思います。めちゃくちゃ最高の映像作品なので本当に多くのドラクエファンに見て欲しいです!!
(ゲーム内容にも少し触れていますので注意)
ドラクエ史上初の音楽映像作品
大迫力のトレーラー映像をご覧下さい!!
ゲーム音楽のコンサートはFFなどを中心に映像化されていますが、ドラクエはなぜか今まで一度も無かったのです。コンサート歴は1番長いのになぜ? という声も多いとは思いますが、ドラクエは「コンサートで生で見る」しか音楽に触れる機会がありませんでした。
それが今回、待望の映像化が実現しました。
それも高音質、高画質でドラクエ好きは満足すること間違いないでしょう。
ロンドン・フィルハーモニー
実は1991年に発売されたビデオ、ロンドンフィルのドラクエ4のビデオ映像が昔あったのですが、今となっては知る人ぞしか知らない映像となっています。これはまぁノーカウントということで。
1991年版のビデオ映像はこちら
すぎやま先生めっちゃ若い!!
DVD版とBlue-ray版の違い
パッケージ、音質画質は除いて、今回Blue-ray版には特典映像がついてます。
札幌コンサートホールKitara大ホールで収録したドラクエⅩの2曲です。
- 序曲Ⅹ
- 刃の旋律~渾身の力を込めて
どちらも非常に聞き応えがあり、是非ともBlue-ray版をオススメします。
感想
すぎやま先生が自ら指揮を振る姿を見れるのが一番嬉しいと思います。MCではドラクエ5のゲーム内容が中心で、ご自身のプレイに絡めたトークが聞けるなどファンにとってはたまらない内容となっています。カメラワークについては固定で撮影されていますので、アーティストバンドのDVDのような激しい動きはないです。映しどころとしては主に主旋律を担当する楽器、全体像がメインです。すぎやま先生もたくさん映るのでゆったり見たい方にオススメですよ。とにかく臨場感はハンパないです!!
楽器奏者向けの感想としては、ドラクエ5の音楽で活躍する楽器、全体的に管楽器やフルートが多いですが、そういったソロ向けの映像が多いです。フルートの奏者の方は激ウマでキャラも濃いので必見です。また、コンサートマスターの矢部達哉さんによる、「愛の旋律」の美しいソロヴァイオリンもバッチリ映ってますのでオススメ。ティンパニやホルンなど必要に応じて活躍する奏者のカメラワークに切り替わります。
打楽器など、ダイナミクスレンジが強いので良いスピーカーを用意しないと潰れた感じに聴こえてしまいます。演奏内容に申し分は無く、専属の楽団なだけあって息もピッタリ。すぎやま先生も楽しく指揮を振られています♪
目次
- ドラクエ史上初の音楽映像作品
- DVD版とBlue-ray版の違い
- 感想
- 1.序曲のマーチ
- 2.王宮のトランペット
- 3.街角のメロディ~地平の彼方へ~カジノ都市~街は生きている~街角のメロディ
- 4.淋しい村~はめつの予感~さびれた村
- 5.愛の旋律
- 6.空飛ぶ絨毯~大海原へ
- 7.洞窟に魔物の影が~死の塔~暗黒の世界~洞窟に魔物の影が
- 8.哀愁物語
- 9.戦火を交えて~不死身の敵に挑む
- 10.高貴なるレクイエム~聖(ひじり)
- 11.大魔王
- 12.天空城
- 13.結婚ワルツ
- 14.天の祈り(Ⅸ)
- 15.この道わが旅(Ⅱ)
- 16.そして伝説へ(Ⅲ)
- コンサートの見所
- 最後に
1.序曲のマーチ
言わずもがなドラクエのオープニングテーマ曲ですね ♪
主人公の産声とともにファンファーレに移り変わる流れは、まさにオープニングに相応しい演出だと思います。序曲のマーチはドラクエ4から現在のアレンジの定番になりました。トランペットの「ぱー、ぱぱぱぱーぱーぱー」っていうイントロはGファンファーレとも呼ばれたりします。G=ソの音
2.王宮のトランペット
ドラクエ5に出てくるお城で流れる曲です。オープニングのグランバニアが1番最初に流れるお城の曲ですね。映像で見た時は涙が流れました。それほどに良い曲です。ドラクエ5のお城は様々な記憶を思い出させてくれる役割があります。主人公の誕生、子供達の誕生、愛する妻の失踪、異変、裏切り、試練、お城のテーマとして共通に流れる曲ではありますが、ドラクエ5で起こりうる全てのドラマを担っている曲とも言えます。それ故に映像での感動は計り知れません。
3.街角のメロディ~地平の彼方へ~カジノ都市~街は生きている~街角のメロディ
街角のメロディ
可愛い三拍子の曲です。妖精の村で流れるのが1番イメージが強いと思います。なぜ、印象に残っているのでしょう。やはり、主人公の「幼年期」での体験がプレイヤーの心に残るのではないでしょうか? ゲームの中では子供の頃のイベントでありますが、青年期、子供達と旅をする終編においても妖精の村へ訪れる機会がありますが、やはりそこでも思い出すのは幼年期で旅をしたあの記憶。一つのゲームで年齢相違の時代を過ごすゲームは当時ありませんでした。主人公の息子、娘たちの行動をあの時の自分に置き換え感慨深くなってしまうプレイヤーは、私だけではないと思います。
地平の彼方へ
ドラクエ5のもう一つのメインテーマ、フィールドで流れる曲です。主人公の父親パパスに連れられて、ビスタ港から故郷サンタローズへ向かう時が最初に流れる場面です。印象的なオーボエのメロディと共に、大きな流れになり壮大に展開していきます。
カジノ都市
カジノがある街といえばそう、オラクルベリーです。カジノはドラクエ4から本格的に登場しましたが、スロット、ポーカー、モンスターバトルに加えて今回より「スライムレース」が登場しました。戦闘音楽のテンポを遅くし、チューニングを少し狂わせたようなヘッポコな音楽と共にスライム達がレースします。かわいいスライム達のレースを眺めているだけでも癒されてしまいます♪
また、オラクルベリーは馬車や地図を手に入れたり、モンスターじいさんとの初対面、占いババ、預り屋など、ドラクエ5に登場するコンテンツの集合地であるとも言えます。他の場所でも共通のサービスは登場しますが、最初に出会うのはこのオラクルベリーです。ゲーム上のマップにおいてはあまり感じられませんが、実際にこの街をアニメ化したりしたら、アベル伝説に登場するドランの都のような雰囲気になるのではないでしょうか? 街の構造もかなり複雑ですしね。昼と夜で違う姿を見せてくれる街です。
街は生きている
ドラクエ5の街のテーマです。やはり1番最初に聴くサンタローズの村の印象が強いのではないでしょうか? 様々なドラマを持つドラクエ5ですが、花嫁を選ぶにしても、お化け退治から帰った時も、何が起こってもこの曲が流れると、「朝が来た」と思わせてれます。本当に良いメロディとはこういうメロディだなぁ、と思わせてくれる曲で私も大好きな曲です。すぎやま先生の感性が存分に発揮されている曲だと思います。
4.淋しい村~はめつの予感~さびれた村
淋しい村
田舎の村などで流れる曲ですが、実は「街角のメロディ」のアレンジになります。やはり印象深いのはビアンカとの出会い時でしょうか。私は勝手にこの曲がビアンカのテーマ曲、のような気もしてます。大人になったビアンカの落ち着きや成長、変わらない優しさも全てこの曲に入ってるような感じがします。主人公との再会時に流れる曲としてはピッタリな雰囲気ではないでしょうか?
はめつの予感
グランバニアにて王位についた主人公。その夜の宴の最中、ある人物の裏切りにより主人公の妻がさらわれてしまいます。その時にこの曲が流れますが、曲と画面だけで「何かがおかしい」と伝えるには十分でした。子供の頃にプレイした時もよくわからないけど「怖い」という感覚は今でも覚えています。ドラクエシリーズを通しても、この曲に関しては異色の雰囲気を放っていると思います。
さびれた村
やはりサンタローズ崩壊後のイメージが強いですね。先代ラインハット国王の差し金にて滅ぼされた主人公のもう一つの故郷。この村に住む老人は、ドラクエ5に登場する幼年期、青年期-前半、青年期-後半の3つの時代を演出するセリフを吐くのも特徴。色々な表情を魅せてくれる街や村ですが、これだけ多くのテーマを持つのもドラクエ5のドラマ性あっての事だと思います。
5.愛の旋律
ビアンカとフローラ、どちらを花嫁に選ぶか大変悩んだと思います。すぎやま先生は、セーブして両方選んだとMCでも話していますが、みなさん爆笑です(笑) 「いやみんな笑ってるけど、この中にもやった人いるでしょ!?」ってさらに爆笑の渦へ。ちなみに私はイオナズン捨ててもビアンカ派です(^ー^)
6.空飛ぶ絨毯~大海原へ
空飛ぶ絨毯
空飛ぶアイテムの登場は3のラーミアでも衝撃的でしたが、魔法の絨毯っていうのはドラクエがやってくれましたね。6で空飛ぶベッドがありましたが、あれも凄かったです...。マスタードラゴンで移動するときにも流れる曲で、スピード感のある気分爽快な曲です。生演奏では非常にリズムがシビアな曲ですが、見所はフルートの活躍です。
大海原へ
船で移動する時に流れる曲です。でもやっぱり印象に残ってるのはオープニングではないでしょうか? 初めてプレイヤーが主人公を動かせる状態になるのが船の上ですからね。この時はまだ身分を隠しての旅でした。ドラクエらしさが出ている曲だと思います。船のテーマの中でもシリーズ中、一番壮大で名曲だと思います。
7.洞窟に魔物の影が~死の塔~暗黒の世界~洞窟に魔物の影が
洞窟に魔物の影が
イントロからして洞窟臭が漂ってきてます。サンタローズの北の洞窟にて初めて聴く事になるので、ダンジョンのイメージが強いのですが、やはり奴隷として働かされている時のイメージが印象に残っています。あとはキラーパンサーのプックルを仲間にする時の洞窟かなぁ?え、名前ゲレゲレにしたんですか?
死の塔
ドラクエ5の塔の音楽は他のシリーズと少し違い異色の雰囲気を持っています。ハッキリ言ってゲーム中では嫌な場面でしか流れません(笑) 曲名通り、死に相応しいほど不気味な旋律ですが、同時に神々しさも随所にちらつかせます。特にゲーム音源よりもオーケストラ版の方がそれらを感じれます。
暗黒の世界
魔界へ到達した時に流れる曲。出だしは不気味なのですが、神秘的な雰囲気も合わせ持つ曲ですね。ドラクエシリーズにおいては3のアレフガルドもそうですが、裏の世界、闇の世界といったもう一つの世界が良く出てきます。プレイヤーに最終場面に到達した達成感を与える演出ですが、これは私も非常に好き系な演出の一つ。当時、まだドラクエ5をやり始めたばかりの友達に、ルーラでジャハンナへ行き「え、何ここ音楽違う」と驚かせていました♪
8.哀愁物語
ドラクエ5のドラマチックな演出をする上でこの曲が無ければ何も始まりません。それほど重要な役割を担う曲です。父パパスの遺言である手紙を読んだ時、母マーサの魔界へ来てはならぬと言う気遣い、今を生きるもの達へ死に向かうものが残すメッセージと共に、とにかく究極的な演出時にこの曲が流れます。コンサートでも涙無しでこの曲を直視出来ません。
9.戦火を交えて~不死身の敵に挑む
戦火を交えて
ヴァイオリンの旋律が舞うバトルテーマ曲。リリカルでスピード感の溢れるメロディとリズムに、私たちプレイヤーの右手左手の親指もピッピと踊りました。冒頭から凄まじいキャッチーなメロディでプレイヤーの心を鷲掴みにしたのは間違い有りません。さらに後半で展開し、ピンチな雰囲気も演出しています。ドラクエの戦闘音楽の中でも3に次いで名曲中の名曲であると思います。
不死身の敵に挑む
ボス戦で流れる曲ですね。弱いのであまり想像したくありませんが、やはり1番最初に戦う親分ゴーストの印象が強いです。ドラクエ5のボスは攻撃が当たると「ピシィー」って言う演出がありました。(ドラクエ4だとデスピサロ戦) あれがボスと戦っている感が出ていて工夫されてるなぁ、と思いました。中々ああいう演出無いですからね。この曲の聴き所はたくさんありますが、やはり変拍子のリズムとイントロのティンパニがオススメ。
10.高貴なるレクイエム~聖(ひじり)
高貴なるレクイエム
パーティが全滅した時に流れる曲です。マップ上やイベントにおいては全滅、または死を演出する時などでも流れます。1番印象深いのはパパスが主人公をかばい業火に焼かれていく場面。私たちプレイヤーも何も出来ず黙ってその光景を見守るしか無く、子供の頃にプレイした私は衝撃的でした。ドラクエ5とは、人生そのものをプレイヤーに疑似体験させてくれた作品だと思います。
聖(ひじり)
聖なる場所において流れる曲。ゲーム上でなら修道院や、教会施設、ほこらなど。プレイヤーの心に残っているのは、主人公が大人になり修道院から旅立つ時だと思います。
11.大魔王
ラスボスで流れる曲ですね。イントロのティンパニがめちゃくちゃカッコいいので、コンサート映像でも注目です。この曲は無調音楽と言ってメロディやフレーズはありますが、決まった和音構成(コード感)が無く、完全に「決められた音」を弾かないと成り立たない音楽です。少し和風な雰囲気も漂わせている曲でかなり実験的な音楽だと思います。
12.天空城
マスタードラゴンの姿を封じたプサンと共に、海に沈んだ天空城へ足を踏み入れた時にこの曲は流れます。ドラクエ4の謎の城 (天空城) をアレンジし、少しメロディを曖昧にした感じです。ドラクエ4ではソロヴァイオリンが活躍する輪郭のあるアレンジでしたが、今回は全体的にふわふわした壮大なアレンジなっています。このように、シリーズにわたって共通で登場する場所を、同曲でアレンジして演出することが可能なゲームも数が限られてきます。そう、まさにドラクエのようなビッグタイトルならではの演出だと思います。
13.結婚ワルツ
ドラクエ5のエンディング曲は結婚ワルツなんですね。主人公達の結婚式でも当然流れる曲なので、エンディングよりも先に聴く事になります。結婚ワルツはコンサートに来場されたお客さんの結婚記念日などにも送られたりして非常に好評です。ドラクエが好きな夫婦が結婚式で流す事も非常に多いとか。というわけで、映像でも必見、感動間違い無し。
14.天の祈り(Ⅸ)
ドラクエ9からの曲です。ここからはアンコールになりますが、こうして聴くとドラクエ7から音楽のエッセンスが少し変わったと思います。しかしそれが新しいドラクエらしさを生み出していると思います。映像で見るとやはりゲームと印象が全然違うので是非見てください。
15.この道わが旅(Ⅱ)
ドラクエ2のエンディング曲より。当時ダイの大冒険 (少年ジャンプ発のドラクエ漫画) がアニメで放送されていた時の印象がとても強いです。コンサートでも良くアンコールラストで流れるのですが、すぎやま先生は自分の人生をこの曲で例えたりしています。ご高齢で自ら作曲した曲を指揮振るその姿を生で見たとき、感動で涙が止まりませんでした。この時代に生まれて良かったと思います。
16.そして伝説へ(Ⅲ)
ドラクエ3のエンディングテーマです。フィナーレに相応しい曲で、アンコールでも最高の盛り上がりを魅せてくれます。この曲を聴いて涙を拭いて笑顔で幕を閉じましょう♪
コンサートの見所
まず何と言っても映像作品としては冒頭で紹介したビデオを除いては初の映像化になります。それからもう一つは、「すぎやま先生が自ら指揮を振っていること」感動の根底はこれに尽きると思います。
私は他の指揮者の方が振るドラクエのコンサートも見に行ったことがありますが、やっぱり全然感動が違うんです。演奏自体とは別の感動、価値が必ず存在していて、それは作曲者自身が指揮を振ること。
そして、その"作曲者自身が指揮を振ることが叶う作品は、ドラクエを始めとしてごくわずか"だと思います。
ドラクエ5が大好きな方はもちろん、オーケストラが好きな方にも是非見て欲しいです。ゲームで体験した感動の嵐が次々と襲いかかってきますので、全て全力で受け止めましょう!
最後に
ドラクエのコンサートの映像化の続編を待望する声が多いですが私もその一人。ぜひとも全シリーズのコンサートを映像化して欲しいです。それだけ私を含めてドラクエ無しでは人生を語れないファンがたくさんいます。
今年は30周年記念と言う事で、もう一本、映像化して欲しいですね。
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