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ゲーム音楽、という切り口で作曲を開始した私ですが、現在では自分の好きな曲を作り需要があれば自由に使ってもらう、というスタイルで作曲活動を行っています。
フリー音楽素材、フリーBGM素材、という「音楽素材」として無料で曲を使ってもらうという活動スタイル。
今では無料で提供し知名度を上げていく、というのは多くの駆け出しの作曲家の最初の一歩になっているようです。
そして、そのような活動の場を提供するサービスも増え、素材を探す人たちにもそのようなサービスは認識され、クリエイターの活動を支援する整備が出来てきています。
目次
需要を見直す
素材サイトで公開しているものも含めて、インストゥルメンタル (器楽曲) の BGM を200曲近く作ってきましたが、どれも「ゲームに使ってもらいたい」という思いが先行していました。
全力で考えて必死に作った曲から、即興で作った曲、冷静に作った曲、需要がありそうと狙って作った曲、あまり作らないジャンルに手を出した曲、様々です。
最近では BGM の本来の需要、使われ方について今一度見つめ直しています。
どういう時に音楽聴いてる?
というのも、アメリカに住んでる友人に
私「てか最近音楽ってさぁ〜、どういう時に聴いてる? そっちってどんな感じなん」
友人「まぁ日本と一緒だろ別に。ただ基本的になかなか音楽を聴こう、として聴かんわな。例えばジムでトレーニングしてる時とか、職場へ移動している車の中、散歩、いわゆる「ながら音楽」って感じだな。
音楽を聴く、が目的になってない。こういう気分になりたいからこの音楽を聴くって感じだろ。例えばジムなら同じことの繰り返しで飽きるし辛い、だからテンション上げる為にノリの良い音楽を聴きたいって思う」
私「なるほど、確かに中学、高校といった時は時間もたくさんあったから、わざわざ自分の好きな音楽を聴く時間を作ってたし、聴く時間をわざわざ作ってる、という自覚もなく自然に聴いていたよな〜」
友人「昔はそうだったよな。オレも好きな曲ばっか聴いてたし。やっぱ社会人になると忙しいからな、よほど普段からバンドやったり音楽やったりしてないと音楽だけ聴く目的では聴かんかもなぁ、まぁオレはだけど」
私「確かに、自分も最近構成やら特徴やら研究したりする時しか聴いてない気がするな・・・買うCDのジャンルに関しても、目的が変わってきている」
友人「自分の好きな音楽があるのは前提として、どういう時に聴きたいか、ってのが重要だろ。お前の場合それ考えないと自分の好きな曲作っているだけになるからな、需要をしっかり調べて、なおかつお前が楽しく作れて、追求できるジャンル選ばんと」
私「じゃなきゃ作り続けていけんよな・・・」
ブランディングと方向性
このように無料で曲が使いたい放題、腐るほど存在してきている中で「あの人の曲が良い」と思ってもらえるようになるためには何が必要なのか。
恐らく「ブランディング」になるのですが、私にはこの要素が圧倒的に欠けていることに気が付きました。
色々作れる、作りたいけど、あえてこのジャンルだけのイメージを持ってもらえるように作り続ける、という分かりやすさが必要なんでしょう。
それはブログにも言えることです。
ただ何も考えずに活動していたわけでは無いのですが、やはり
「ゲーム音楽、その中でも RPG を中心として・・・」では浅い・・・。
まぁ色々あるんだろうな、という感じだとは思いますが
「幻想的な音楽ならまずあそこだ!」
というような個性はありません。一曲一曲全て聴いてもらわなければその理解はありませんし、極めてなければ信用されません。そこそこではダメ。
人はそんなに暇ではありません。
なので、色々作るのはどれだけ質が高くてもターゲットを分散させてしまうどころか、何が本当に得意なのかが分からない、となります。
ジャズとピアノとオーケストラ、EDM、ファンタジーが作れても
「ピアノ音楽はおまかせください」これだけ。
この方が説得力があります。そこまで行って初めて曲を試聴してもらえる感じでしょう。
これは私がまだ色々なジャンル、スタイルの曲を作りたい、もしくは作っている、作れるみたいな感じで認識して欲しかったのもあると思っています。
でも実際のところ、広く浅く作っていたので各ジャンルに対しての考察も甘く、中にはまぐれで作れたという要素もある曲もあります。
色々幅広く作れるのを提示するのは良いとは思います。ただそういった作曲家がいっせいに並んだ時、「これもできますあれもできます」では個性がありません。
すでに知名度があるなら話は別ですが、ないなら「これだけはまかせろ」ってのを提示して一貫性を持って作るのが重要になってくると思います。
で、おそらく実際は色々作れる、というのが結局必要なんだと思いますが。
自分の方向性を考える時期に入っています。
継続して追求していけるジャンル
11月に入ってアンビエント、環境音楽というテーマで日記のように作曲しているのですが、思いの外自分でも自然に即興で生み出せていることに驚いています。
今月に入って公開している曲の作曲時間は「約1時間弱」と決めてるのですが、短い時間でテーマを定めて作る習慣を持つことで色々なものが見えてきました。
それは主に「継続力」です。
一時間だけまずやろう、これが作曲への敷居を格段に下げてくれています。今作っている作風でなら、結果的にこのくらいの時間で出来るのが分かりました。
もう少し手を加えたいなら、もう一時間足せばこのくらいになるかな、という。
音楽素材サイトに公開している曲は、直近のものだと大体「約3時間+見直し、修正」の時間がかかっていますので、それに比べると精神的にも楽です。
好きに作っているので早く作ることに価値云々は関係ありませんが、やはり今まで画面に合わせて悩んで作っていたことに比べると圧倒的に早いのです。
重要なのは「集中力」と「鮮度」
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納期に追われている訳ではありませんので、一時間で形に出来るなら一日に5曲も作れるか、と言われると「?」となります。
少し考えてみたのですが、まずは二曲目も作ろうとするとその日の一曲目と明らかに出だしの私のモチベーションが違うのです。
言い訳かもしれませんが (というか言い訳)、一曲目ほど楽しんでいません、それが恐らく「集中力」の問題になってくるのだと思います。あと「鮮度」ですね。
誰でも一発目の集中力はかなり高いものと思われます。
もちろん本業をしながらスキマ時間を作って曲作りしていることもあり、仕事から帰って曲を作るのも相当なパワーを要します。布団に入ったら即アウトです。
なので習慣化、敷居をとにかく下げる、というのが重要になってきます。とにかく作曲をスタートしてしまうのが大事。
無理に負担をかけると身体を壊す要因にもなるので、それでは本末転倒です。
重要なのは「楽しんで作る」ということ。
当然楽しさばかりではないけど、焦りもあるけど楽しさもある。
根底はここと向き合いながら、徐々に質を高め、実験し、継続させる、というのが今の私に必要な要素だと思っています。
「一時間だけやろう」この意識が習慣化の手助けになってくれてます。
これは完全に主観なのですが、即興で楽しく自然に生み出せた曲の方が聴き返しても楽しいものとなっていることが多いのです。
音に余力、不完全さを残す、というのが「次はこうしよう」というモチベーションへ繋がる要素なのかもしれません。
また、少ない時間で生み出せたことが次の曲を作る時の敷居も下げてくれるので、結果的に継続しやすい習慣にもっていきやすいと思います。
環境音楽
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環境音楽に興味を持ったのは私自身、そのような曲が好きだから他なりませんが、最近色々と調べて、なぜ鳥のさえずりや、水の音、波の音、森のざわめき、鳴き声、このような要素が聴く人に癒やし、ヒーリング効果を与えるのか。
現在ではこの部分について研究しています。
私自身、自分の勝手なイメージで「ランダム要素だろう」と解釈していたのですが、それが半分くらい当たっていました。
「1/f ゆらぎ (エフぶんのいちゆらぎ)」 という自然現象が与える一定ではない不規則な音の周波数は、人に一定の心地よさを与えるのだそうです。
私はこれについて非常に興味をもっており、また自分で作っておきながらにして、そのように作った最近の曲は環境音を混ぜていることから「また聴きたいな」と思えます。
それは通常のフレーズ自体もリズム修正をかけず、あえて即興弾きを中心に一定のランダム要素を取り入れていますが、それに加えて環境音の「1/f」が入っている為かもしれません。
壮大なオーケストラや、バトルミュージックも大好きなのですが、やはりBGM として聴くとなるとゲームやその場面無くして何度も聴けるものではありません。
ゲームや画面などの媒体を通さずしても「何度も聴きたい」と思える曲に魅力を感じています。音楽を聴くこと自体の敷居を下げることも大事なのだと感じています。
手軽に聴けるような曲をこれからも一定の頻度で作りたいですね。
銭湯の癒やし話
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少し話がそれますが、ヒーリング効果に興味を持ったキッカケのこと。
スーパー銭湯などの屋外に出た時、外に設置してあるスピーカーから癒やし音楽がひっそりと流れているのをご存知でしょうか?
場所にもよりますが、寝っ転がりながら肌寒さも感じる中、温かい水がチビチビと身体の一部に当たるようになっており、それによって体温を一定に保ちつつリラックス出来るのは素晴らしいです。
癒やしの音楽はいわゆる特徴として見た時「静かな音楽」「オルゴール系」「シンプルな音楽展開」「スローテンポ」など、色々な要素があります。
それに加えて、銭湯の温かい水が流れ落ちる音、身体に当たる音、これが「環境音」としてダイレクトに聴覚ないし脳を刺激し、安らぎを与えます。
「あ〜気持いぃ〜、今だけは何も考えたくないぃ〜」
この人が求める「癒やし」「ヒーリング効果」という普遍的なテーマは、日常だけでなく医療現場にも採用されており、現在のストレスな社会において必ず一定の需要があるものだと感じています。
これがキッカケで、ヒーリング・ミュージックというジャンルに興味を持つようになりました。
最後に
この他にもケルティック音楽、民族音楽、和風的、日本的な音楽にも興味が湧いており、「綺麗な音楽」「聴いていて心地よいもの」「自然を表現するもの」という部分がテーマになってくる気がしています。
今までは音楽をただ理論的な視点でジャンルや構成、特徴を考察していましたが、もう少しその国々に根付いてきた文化や背景を研究しながら、音楽の普遍性を再考してみたいと思います。