Photo by いらすとや
バンドでキーボードを弾いているピアノ経験者のみなさん、リズムについて悩んでいませんか?
「あるある〜てかキーボード弾くことは全然オッケーなんだけど、一人でピアノ弾いてる時とバンドじゃ意識する事ってやっぱ違うんじゃない?」
そんな先回りした考えが出来るあなたはめっちゃ良いカンしてますよ!
今日はピアノ経験者がバンドを始める時にぶつかる問題の一つ「リズム」について、筆者の経験から少しお話したいと思います。
今、同じようにバンドに誘われたりしているあなた、まさにキーボーディスト真っ最中のあなた、バンドやる前にちょっと耳を貸してくださいネ☆
目次
- はじめに
- クラシックピアノ経験者への偏見
- ピアノ経験者が「リズム感が悪い」と言われる理由
- なかなか自覚出来ない理由
- なぜリズムが弱いのか?
- 1小節の中でリズムを意識する場所を増やす
- メトロノームを2拍、4拍でキープしてみる
- キーボーディストの抱えるリズムの悩み
- リズムを鍛えたいと「覚醒」する瞬間とは?
- 最後に
はじめに
あなたをバンドに誘う人達は、
「え、ピアノやってる (た) の? なら練習すればすぐ弾けそうだね」
もしかしたらこんな期待をしてるのかも?
ピアノをやってきた身としては確かに譜面さえもらえれば、大抵の曲は弾けるんですが・・・
「ちょっと待った!」
バンドに関してピアノを一人で弾く時と大きく違う点は、歌も含めて
「バンド全員の演奏で曲を表現することになる」ということなんですね。
実はずっと一人で一曲を表現してきたピアノ経験者は、自分の演奏に酔いしれてる可能性が非常に高いのです。
自分の完璧な演奏を目指そうと自分の音ばかり聴いていませんか?
あなたがバンドに参加した時に、もし「リズム」で悩んでいたら「バンドの音を人一倍よく聴く」という意識をすると良いかもしれません。
クラシックピアノ経験者への偏見
クラシックピアノを習ってきた人はよく指は動くが、譜面通りにしか弾けないからアレンジが出来ない上に、リズムが悪い、とか巷で言われることがあります。
両方とも事実ですが、譜面通りにしか弾けない、というのはちょっと偏見かも?
それはクラシック音楽の理論ではなく、バンド演奏をする上での音楽理論を学んでいないというだけの話で、コードから始めたギターなどの楽器と比べても仕方がありません。
楽器経験年数が長いとは言え、バンドを経験してなければなかなかコードに触れる機会もありません。それが、ピアノ歴は長くて指は動くのに譜面通りしか弾けない、と思われてしまう原因なんですね。
しかしあくまで「今は出来ない」というだけであり、別にきちんとコードも理論も勉強すれば、アレンジもアドリブも出来るようになりますので、ご安心を。
それはさておき、
もう一つは「リズム」に関してです。
多くのキーボーディストにありがちなのが、リズムへの意識が低くなりがち、という問題です。
特にことクラシック出身のキーボーディストに関しては、ピアノ経験があるがゆえに、すでに弾き方のスタイルが出来上がってしまっていることが多いのです。
しかも、キーボーディストはなかなか役割的にも、リズムを意識しづらい環境にいることも事実です。
「・・・はぁ?」
「なに言ってんだ、メトロノームで練習してきたしリズムのことなんて別に分かってるぞ〜」
「まぁ落ち着いて下さい、それよくわかりますから。」
ピアノ経験者が「リズム感が悪い」と言われる理由
まぁ私も散々言われてきた身でして、ホントに一番最初の頃はブ◯キレてましたよw
「なんだこれは、いったいどうなっとるんじゃ!!」(オロオロ)
確かにフレーズは弾けてるんですよ、ただバンドと合っていない。
リズムのことなんて分かっている (つもり) ので、頭の拍やら小節やらなんて理解しながら弾いてるのは確か。でも録音した演奏を聴くとズレている。
「体感と実際の演奏は、かなりのズレが生じていた」
見に覚えありませんか??
そしてこれは「誰かにボロカスに言われないとなかなか自覚出来ない」というのが一番厄介。
もしあなたが、自分が認めるバンド経験者に「お前リズムがずれてるぞ」と言われたら、少し茶でもススリながら「怒り」を抑えていただき
「そうですか・・・先輩、オレ・・具体的にどうすれば改善できるでしょうか?」
と前向きな姿勢で対応してほしいと思います。
「ぐ・・・ま、まぁそれは良いが、ホントにオレのリズムが原因なんだろうな〜 (汗)」
「はい、まずは何でも自分の技術を疑うところから始めるのが大事なのです。」
なかなか自覚出来ない理由
自覚出来ない、というのは「受け入れることが出来ない」に近いです。
腕に自信がある、弾けてる、譜面も読める、リズムのことも分かってる・・・だけど合わない・・・イライラ・・・
それが分からないうちは、ドラムやベースなど、他のパートのせいにしたりする可能性もあり、最悪良くても「何が原因か分からない」という状態に。
なまじ、ずっと音楽をやってきたピアノ経験者は、リズムや運指の技術、読譜力、演奏表現もずっと一人でこなしてきました。
演奏経験が長いため、少し演奏に関しては多少プライドを持っている人が多いように思えます。事実、私もそれが仇となりなかなか素直に周りの意見を聞き入れることが出来てませんでした。
ですが、ピアノ独奏に関しては何年もやってきたのでそれは認めたいところですが、ことバンドに関してはやはり誰もが経験ゼロからのスタートです。
あなたの腕自体、可能性は誰もが認めていますので、リズムだけ見直してみませんか?
「わぁったよ、オレの腕自体は認めてくれているんだろ? ならあとはリズムだけが問題って話だよな」
「ん〜リズムだけじゃないかもしれませんが、とりあえずリズムは99%問題アリだと思います。」
なぜリズムが弱いのか?
クラシックピアノを弾いていると、クレッシェンドやピアニシモ、フォルテなど、そのような「ダイナミクスに直結する表現」は良く教えられてきたと思います。
事実、強く弾く、弱く弾く、段々強く弾くというような表現は、一人で曲を表現する時にはかなり表面に現れやすいのです。
ですがその半面、リズムに意識があまりいかなくなるのも事実。
それは「自分のペースで弾いているから」なんですね。
一人で弾いていると、ズレてても、それが合っている、そういう表現なんだよ、という扱いになります。
それがクラシックピアノの演奏表現でいうところの「ルバート」です。
これはもちろん、独奏やデュオでやる時は必ず武器になります。
ただ、バンドでやる時はひとまず「自分だけで演奏しているわけではない」ので周りの音を良く聴きましょう。
「ん〜、周りの音フツーに聴いてるんだけどなぁ〜」
「なるほど、ではあとその10倍は聴いてみてください。」
1小節の中でリズムを意識する場所を増やす
私は最初の頃、小節の頭、1拍目を意識して演奏していました。
それはそれで毎回頭で合うので悪くないのですが、数小節通して聴くと「グルーヴが無い」んですね。
グルーヴとは、簡単に言ってしまうと「ノリ」のようなものですが、なかなか一曲全体を通して出すのはプロでも本当に難しいと言われています。
それは「ものすごい集中力が必要」になるからですね。
各プレイヤーによってリズムのイメージや、捉え方が違いますので、言葉で説明するのが難しいのですが、
簡単なアドバイスとしては、ドラムのスネア、を良く聴いてみてください。
2、4拍目を意識してプレイしてみて欲しいと思います。
「2拍、4拍を聴こう、意識しよう」
これだけでも、実はかなりリズムは改善されます。
メトロノームを2拍、4拍でキープしてみる
クラシックピアノを習っていると、メトロノームを使えと確かに言われますが、それはテンポをゆっくりスタートして徐々にスピードを上げていけ、と言うもの。
それはあくまで運指技術の向上を目的としたメカニカルな使い方です。
もし今まで私のように「1拍目」でリズムを合わせていたのなら、1に加え、2と4を意識することで、1小節で意識する場所、回数が増えますよね。
メトロノームの「ッピッピ」という部分を2拍、4拍目で捉えてから練習をスタートして見てください。どこまでキープ出来るかやってみましょう。
最初は斜め上を見ながら
「にーよん、にーよん、2、4、2、4、あぁ〜ずれたぁ〜 (泣)」
その2拍4拍がスネアが鳴っている位置なので、バンドでもスネアを意識して聴いてみてください。
スネアに合わせるのもバッキングやフレーズ次第ではアリですが、スネアを聴いた上でこちらも音を鳴らす、という余裕を持てるとグッドです。
長い音符のフレーズの場合や、シンコペーション時もメトロノームを2、4拍で鳴らしながら、演奏をキープしてみてください。
少し疲れると思いますが、このようにリズムをどこで捉えるかで自分の演奏のリズムも変わってきます。
さらに進んで拍の「裏」も意識出来るようになるともっと細かくリズムを取れるようになります。
リズムの世界は奥深いのでこの辺で・・・
というわけで、もちろんライブ本番でこのような意識はなかなか出来るものではありませんし、本番は他にも大事なことがあるので、ぶっちゃけやってられないでしょう。
だからこそ練習である程度2、4だけでも意識出来るようになっておくと、バンドで合わせる時に少し意識するだけでだいぶ楽に (素早く) リズムが掴めるようになります。
「・・・あっ!」
「ここか・・・分かったぞ!ここだな!?」
この「掴む」という表現が私は一番イメージしやすいと思っているのですが、ぜひリズムを掴んでほしいと思います。
キーボーディストの抱えるリズムの悩み
簡単に書きましたが、やはりなかなか実行しようと思いませんよね。
実際上に書いたようにメトロノームを使ってリズムの練習をするのは、ドラマーと違ってキーボーディストにとってはどえらい苦痛なことなんです。
コードの響きとか、ボイシングとか、音色も見つけないかんし、音色によって弾くフレーズやタッチも違うし、考える事いっぱいでもうリズムなんてかなり後回しだゴラぁ!ってなります。
「ぐ・・・よくわかってるじゃねぇか」
「まぁだよな、口で言うのは簡単だけど実際マジでしんどいぜ? 他にも音作ったり、鳴らす音色の順番プログラミングしたりやることいっぱいあるからな」
その通りです。
実はそれが原因でキーボーディストは他のパートに比べてリズムの甘さに目をつぶってもらえる傾向があります。
実際にリズムが良くはなくても、悪くさえなければそこまで言われないと思います。そう、悪くさえなければ言われないんです。ここ盲点。
「なら、あえてその上を行って驚かしません?」
リズム極めたら無敵のキーボーディストですよ実際。
「・・・なるほどな。」
「ッち、わぁったよ。やってやるよ。オレの伴奏でネコを鍵盤の上で踊らせてやるよ」
「いや、そこまでしなくても大丈夫です。」
筆者のリズム話
私は自分の感覚では、ある程度普通に弾けてたと思いこんでいましたが、ある時キーボードの師匠にリズムの悪さを指摘されてから演奏が一気につまらなくなってしまったことがありました。
それは悪いと言われているだけで、確かに良くはないと思うけど改悪ではないよな、どこが原因なのかとモヤモヤしていました。
(まぁ実際にはレコーディングを初めて経験した時が一番痛感したのですが...)
ある時、対バンしていた当時10〜15歳くらい年上のベテランバンドで、ファンクポップソウルのようなオリジナルバンドだったのですが、そこでキーボードを弾いていた人が、めっちゃくちゃリズムが良かったのです。
自分がキーボーディストでキーボードの音を良く聴いていたからそう思うだけかなと思っていたら、バンドメンバー全員が口を揃えて
ギター「おい、あのキーボードめっちゃリズム良くね? 」
ドラム「だよな、ブラスもエレピのバッキングもリズム良すぎてめっちゃかっこいいよな!」
ベース「うん、やばい (汗)」
そう感じたのはやはり自分だけでは無く、楽器メンバー全員が同じ耳を持ってました。
この出来事は今でもよく覚えており、それだけ自分にとって衝撃でした。
その演奏を見てからそのキーボーディストに話を聴いてみると、どうやら元々クラシックピアノから始めたとのこと。
まぁそのバンド自体もサポートで演奏していたという話だったのですが、色々やっていたプロの人だったのです。
その時に印象に残っている会話が、
「キーボーディストはリズムが悪くて当たり前、クラシック出身も多いしね。
だから少しでもリズムが良くなると、ドラムやベースがリズムが良くなるよりももっとリズムが良くなったように聴こえる。
リズムが良いキーボーディストはそういないから、リズム鍛えれば絶対に目立つよ。
それから視覚的な面からもリズムの良さを感じさせれるから、バンド全体のパフォーマンスも大事だよ。もちろんバンドの方向性やジャンルにもよるけどね。」
その時に、クラシックピアノからスタートしてもリズム感を鍛えれることと、簡単なフレーズでもリズムがガッチリ合うだけでバンド演奏はとてもカッコイイものになる、ということを知りました。
なので、キーボーディストは音色もプログラミングも考えることは山ほどありますが、このリズムを鍛えるというのを是非意識して欲しいと思います。
願わくば、私のような体験をするのが一番良いのですが、プロのライブに積極的に足を運んでいただくといつかそのような瞬間が訪れるかもしれません。
その時は大きいステージではなく、目の前で演奏者を見れる狭いライブハウスなどの方がよりそれらを感じれるかと思います。
参考までに・・・。
(もしあなたが演奏よりも、音色作りやその他の表現力に重きを置きたい、と考えているならそれはそれで全然OKだと思います。是非そちらを極めましょう!)
リズムを鍛えたいと「覚醒」する瞬間とは?
私の経験談からですが、人にリズムが悪いとかどうとか言われている段階では絶対にリズムを鍛えたいとかそんな気持ちにはなりませんでした。
たとえ練習しても一時的なもので終わってしまう可能性が高いです。
一番ベストなのは
「リズムが良いキーボーディストを見て衝撃を受ける事」
これが一番リズムを鍛えたいと自我が出る瞬間だと思います。
(あくまで筆者の経験です)
Myron McKinley というキーボーディストのソロです。KURZWEIL PC3x のエレピの音色もカッコいい!!
そう、悪いと言われて練習するのではなく、自分が本当にカッコいいと思ったものを見て「あんな風にカッコよく弾きたい、そうなりたい」と能動的になれるのがベスト。
心を動かされるとは、衝撃を受けること、です。
ナマのライブでも、DVDや動画でも良いと思います。(生ライブ推奨)
あの瞬間だけは、次のスタジオ練習で絶対にかっこよく弾きたい、と思いました。
異次元のカッコよさを目の当たりにしたことにより、キーボードの世界がさらに広がったという。
私は上記の体験が無ければ、本当の意味でリズムに向き合わなかったでしょう。
ぜひ、あなたにとっての「リズム抜群のキーボーディスト」を見つけて欲しいと思います。
「まかせろ、お前の言いたいことはよく分かったぜ!」
「おそれいります。」
最後に
キーボーディストはやることが多いのでリズムが後回しになる気持ちは痛いほど分かります。それゆえに、そうリズムが良い人はいません。そこがチャンス!!
ならば、是非リズムの良さで「差別化」をして下さい。どんなけ難しいフレーズを弾いていても、リズムがイマイチだとカッコ悪いのです。
もしバンドでピアノやオルガンなど、ずっと一つの音色だけで演奏するようなシンプルな曲があれば、やることも少なくリズムを意識しやすいと思います。
どのジャンルでもリズムは大事ですが、曲によってはキーボーディストには辛い場面もあると思いますので、出来る曲からでも初めてみるとよいかもしれません。
ぜひとも、バシっ! っとリズムを決めて欲しいと思います☆
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バンドで活躍したい!全てのキーボード初心者へ捧ぐ - キーボーディストの巣
(筆者は同じです)