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一人で孤独に作曲をしていると、一曲にかける時間が気になると思います。
また、作曲に興味がある人の中には「一曲の完成にどれだけ時間がかかっているのか」が気になる人もいるかもしれません。
私は多くのクリエイターの方に曲を使ってもらいたくて、ゲーム音楽をイメージした「BGM素材」を作っています。
この記事では、自分の体験から歌ものではなく「BGMの作曲にかける時間」について考えてみたいと思います。
なお今回は、自分以外の人の意見、要望による曲の修正時間については触れません。
それから、当記事では「作曲と編曲はセット」で考えるものとします。
つまり作曲+編曲=作曲
目次
- はじめに
- 曲を仕上げる早さ
- クオリティ
- 短い時間で出来た曲でも、良い曲は良い曲
- 一曲に対しての「時間を費やす部分」について
- 時間を決める
- 修正時間も考慮
- 曲の「違和感」を無くす
- 編曲用のテンプレートを増やす
- 最後に
はじめに
「一曲にかける時間が気になる」ということは、
「曲のクオリティ、完成度はかけた時間に比例するのか?」
という事に疑問が湧くのかもしれませんね。これはよくわかりますし、私も人の曲を聴いてると、どれくらいの時間で作られているのか気になることがよくあります。
結論から言うと、私の体感ではかけた時間 (仕上げるスピード) に対するクオリティは「作曲者の経験で決まる」と思います。
曲を仕上げる早さ
作曲レベル50の人は1時間で80%くらいのものを生み出すとしたら、初心者は同じ時間をかけても1%しか表現できないかもしれません。それくらい極論だと思います。
それほど「経験」というのは制作スピードに影響を与えるのだと思います。
経験=制作スピードが早い (作ったことがあるから完成がイメージ出来る)
完成がイメージ出来ているなら、あとはひたすらただの「作業」になります。
(作業と言ってももちろんクリエイティブな作業ですが・・・)
完成がイメージ出来ていないなら、そのパターンでいけるのか、ひたすら一定まで「実験と検証」です。
作っているのか、実験しているのかでは全くスピードが違うと思います。
簡単な話、「こういう表現をしたい」と思っていて、それを試行錯誤している時間が長いと時間がかかります。ですが、経験によってその表現方法を知っていたらその作業は一瞬で終わります。
こういったものの積み重ねによって、時間短縮はすさまじいものとなります。恐らく、納期に追われているプロは尋常では無いような早さで曲を生み出していると思われます。
クオリティ
次に質、完成度ですが、これも当然「経験」がものを言うと思いますが、もう少し付け加えると「編集技術」が影響してくると思います。
先程も触れましたが、表現するための技法、編集能力、編曲知識が現時点で無ければ、まずどれだけ時間があってもそれらを持っている人と同じクオリティにはなりません。
知らないこと、出来ないことはどれだけ時間があっても「今は」出来ません。
経験が浅いうちは、こういった作業を取得する為に時間をかけますので、最終的に質が経験者と同等のものに近づけたとしても、そのかけた時間に対してのコスパが経験者に比べると悪くなります。
しかし、これは誰もが通る道なので仕方がない、と言えます。
短い時間で出来た曲でも、良い曲は良い曲
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「良い曲」だと誰が決めるのでしょうか?
あなたでしょうか、聴く人でしょうか、答えは人それぞれです。
つまり、「曲のクオリティ」と「曲が良いかどうか」は必ずしもイコールでは無いことを念頭に置いたほうが良いです。
「どれだけ時間ををかけたのかは、他人にとっては全く関係ありません」
例えば、「一時間でこれ作ったのすごい!」とか「1ヶ月もかかったの!? だろうなぁ、クオリティ高いもんなぁ」
こういった「短時間で作った成果物を評価すること」や「なんだか時間をかけたすごいもの」などという声は、他の分野にでも共通として存在する言葉ですが、「良い曲かどうかには関係ない」と言って良いです。
ダメなのはいくら時間をかけてもダメです。
大事なことは、曲のクオリティの水準を出来る限り上げることによって「良い曲」と思ってもらえる「確率を上げる」ということではないでしょうか?
自分の子供が自分の為に作った曲が「良い曲」と思うのは当然ですが、他人にとっては何もエピソードが無いので、聴いても同じ感想にならないかもしれません。
ですが、クオリティが高くなればなるほど、良い曲と思うかは別としても、クオリティが低い曲よりかは必ず「良い」と思ってもらえる確率は上がるとは思います。
ただ何を持って「曲が良い」「クオリティが高い」と定義するかは人それぞれなので、ここが音楽問わず、芸術の分野では難しい部分だとは思います。
一曲に対しての「時間を費やす部分」について
作曲には完成まである程度の流れ、段階が存在します。
時間に影響を与える要素は大きく3つあると思います。
- 曲の用途 (2と3の時間の使い方を決定する要素)
- 自分の能力とスケジュール (実力と納期)
- 作曲の「どの部分を」自分は時間をかけるべきか? (優先順位の判断)
① 曲の作り方は人それぞれなので一概には言えませんが、ひとまずはどんな曲なのか、長さ、ループするのか、どんな場面で使うのか、など曲の用途で曲の作り方が変わると思います。これがまずひとつ。
② それに加えて、作曲者の経験や能力、スケジュールによって注ぎ込める時間が違うと思います。これが二つ目。
③ 作曲者によっては、曲の仕上げに時間を費やしたい部分が違うと思います。3つ目。
トラック数が多い曲は「ミックスに時間をかけたい人」もいると思いますし、音色選択、音作りなんかよりも、「編曲自体に時間をかけたい人」もいると思います。
流れとしては、1、2、3は全て連動していると思います。
曲の用途によって、編集の時間をかけるべき部分を適正に決める必要があるとも言えますし、スケジュールに余裕があればもっと時間をかけれます。
ですが、曲の用途によってはいくら時間があるにしても時間をかけるべきなのか、それはただの自己満足なのか、など報酬の金額や、どんな作品に使われるのかなど、作曲者にとって重要になってくる部分は違いますので優先順位は変わると思います。
報酬が少なくても自分の好きなジャンルだから拘りたい、と思うかもしれませんし、時給に換算したらこの程度が妥当かな、など考えるかもしれません。
時間を決める
大事なことは、「自分で時間を決めること」これに尽きると思います。
私は素材BGMに関して、1分程度のループはまずは大体「3時間くらい」と決めていますが、作曲を始めた頃はキリが無いくらい一曲に対して修正ばかりしていました。その為、次の曲へ全然進みません。
今思えば、その一曲だけで自分の出来る全てを表現しようとしていたのが原因です。
そういった勝負曲も必要ですし、一曲のクオリティを上げたいのか、多く曲を書きたいのかでも違うので、自分の目標を決めて時間の使い方を決めれば良いと思います。
自分の体感だと、時間を決めることで割り切れるので作曲のスピードの向上に繋がっています。スピードが上がって来ると、多くの曲が書けます。たくさん曲を書くと作曲にも慣れてきますし、一曲毎に小さな新しい発見があります。
ただやはり急ぎ足で曲を作ると、当然ですが修正したくなりますので、その時間も予め加味しておきます。
修正時間も考慮
私は自分で自由に曲を作っているにもかかわらず、その日に仕上げることはほぼ不可能に近いと分かっています。
一曲を作っているうちに、同じフレーズを何度も聴いていると必ず耳がバカになります。もう普通ではありません。
フレーズも完全に覚えて聴き慣れてしまうのでその時は違和感が無いのです。
しかし次の日に聴くと、ここだけかなり違和感があるなぁ、など何でそのフレーズにしたのか自分を疑うことも多々あります。
作っている時はその時のミックスで耳が慣れてしまい、翌日聴くと「やけにハイハットがうるさいな、何でこんなバランスにしたんだ自分は」など・・・
私にはそういった「修正時間」も必要なので、それも考慮してある程度で一旦ケリを付けます。
【3時間くらいで一先ず完成→寝かす、聴く→修正1時間】
最近ではだいぶ慣れてきて修正箇所も少なくなりましたが、まだまだ曲による、としか言えません。なので、その日に納得いくようなレベルで完成させることは未だ経験上、ほぼ不可能だと思っています。たまに上手くいく曲もありますが・・・。
慣れないうちは、一日は寝かせることは想定した方が良いと思います。
一日に短い曲を数曲作って、それを一先ず書き出し、車の中や、ケータイのスピーカー、イヤフォンなどで時間を置いて聴いてみる。
このように、ドライブ中、外に出た時など「作曲時とは別の環境で聴く」ことにより、色々と新しい発見や気付きがあり効率が良いと思います。
私はその時に思ったことをメモして、修正作業に入ります。
曲の「違和感」を無くす
曲を聴いていて「違和感を無くすこと」は非常に難しい作業です。
初めのうちは編曲、フレーズの修正などが殆どでしたが、最近では「ミックス作業」に時間がかかるようになってきました。
PCでは良くてもスマホなどの他のデバイスで聴いたりすると曲が割れていたり、ある音だけが耳障りに聴こえてきたりします。
なるべく「自分の作業している時の音量に基準を持つ」ことが、曲のバウンス後のイメージを持てるようになり、慣れに繋がると思います。
私の音楽素材サイトを作ってくれている友人がいまして、いつも私の曲を試聴した時にもらうアドバイスの中で特に自分でも重要だと思っていることがあります。
それが上記したとにかく「違和感を無くす」という部分です。
この曲に違和感を無くすことはなかなか難しいとは思いますが、音のバランスも含めておおまかに「プロっぽいかどうか」ということだと思います。
これが上記で説明した、違和感を無くすというのは、良い曲かどうかはさておき、クオリティが高い、ということに繋がる要素だと思います。
編曲用のテンプレートを増やす
一度でも作ったことがあるジャンル、またはそれに近い曲は仕上げが早いと思います。
それは「音色のテンプレートがあること」がキモになってきます。
リズムや使う音色は、ある程度テンプレートがある状態でスタートすると半分はもう出来ているようなものです。あとはメロディやフレーズが違うだけなので、モチーフだけ決めれば一曲としてまとめやすいと思います。
普段作らない曲調、ジャンルであれば、音色選択、ミックスなども慣れていないと思いますし、全く作ったことがなければまずは研究、解析から始めなければなりません。
また、毎回一から組み立てていたらそれだけで可能性は無限になってしまうので、音色を選んでいるうちに時間が過ぎていきます。
というわけで、制作スピードを上げたいなら「自分用のテンプレートを用意」しましょう。テンプレートをどれだけ用意出来るかで、あらゆる曲調に対応しやすくなるのは間違いありません。
さらには仕上げのイメージがしやすくなるので、曲をラフな形にするまでのスピードも上がると思います。
色々な曲を作っていれば、その編集データがどんどんテンプレートになっていきますので、「あの時作った曲に近い感じのを作りたいな」という時に、その編集データを読み込んで一から作れば良いと思います。
最後に
長くなってしまいましたが、一曲にかける時間というのは作曲者の経験と曲、スケジュールによって「人それぞれ」といったところでしょうか。
それと合わせて、タイトルの「作曲時間はクオリティの影響するのか」という部分は、作曲者の経験と状況、判断に依存する、で答えは出ていると思います。
これはどの分野にでも言えることですが、基本的にその道のプロというのは恐らく「少ない労力で最大のパフォーマンスをする」というのを目指しています。
無駄を一切そぎ落としていく、ということです。
お金で解決できるようなことももちろんありますが、ショートカットやテンプレート、自分のスタイルの確立、そして曲作りの経験、知識は自分が努力次第でレベルアップ出来ると思います。
はい、なのでこの記事も無駄を削ぎ落とせず色々と書いてしまいましたが・・・。
毎日1時間でも作曲して経験を積み、作曲しない日はテンプレートの整理や、音色選定など自分の使う道具の把握、準備をすることが大切だと思います。
あとは「100%を目指さないこと」が重要です。
常に70%の力で作り続けることが出来れば、その70%はいつの間にか当時の100%に該当するレベルになっている、と思います。
やはり常に進化しながら、作り続けることが重要であると思います。