はい、タイトルから「何言ってんだコイツは、妥協したらアカンやろ」と思われたかもしれません。
もちろん、できる限り妥協はすべきでは無いと思います。
しかし、作曲の初期段階の壁の一つに「完成させれない」という問題があります。
今日は、完成しない曲は、完成している消化不良な曲よりも劣る、というお話です。
私自身、曲作りを初めてそんなに経ってませんが、初期の頃は色々と葛藤があり、それでなかなか曲を完成させるまでに至りませんでした。
本記事では「なぜ完成させるために妥協が必要なのか」という点と、それによるメリットを書いてみます。
それから、曲作りの基本的な流れと「曲のクオリティをどのように上げていくべきか」についても少し触れてみます。
曲が完成させれないなぁ、という方は少しお付き合いいだければと思います。
(本記事は、曲が作れない、いつまでも最初の一曲、次の二曲目が完成しない!という段階の人に向けた作曲入門記事です。すでに出来ている人やベテラン様は全く読む価値はありませんので、ご了承願います)
本記事での作曲は BGM としてますが、考え方としては歌ものも同じです。
目次
- はじめに
- 妥協なんて誰だってしたくない
- 人は成長する
- 完成したものは強い
- 作曲の流れを理解する
- 時間を決める重要性
- 作りきって結果を残す
- あとは羞恥心を捨てる覚悟だけ
- 成長は自分次第
- とにかく続けるしかない
- 最後に
はじめに
脱・作曲初心者を目指す上でとにかく優先させたいことは「完成させる癖を身につける」ということです。
完成させることを優先する、ということは言い換えれば「自分の中での終わり、区切りをつける」ということです。
その上で色々と犠牲になるものは当然ありますが、大抵は「曲のクオリティ」であったりします。まだ色々手を加えたいけど、時間を決めたらとりあえずやめて次へいく。
実は、長い目で見て作品の質を上げて行くためには「妥協すること」が効率よくレベルアップしていけると私は自分の経験から考えています。
それは「とにかく完成させて前へ進む」ことがいかに重要だからです。
妥協なんて誰だってしたくない
冒頭からいきなりですが
「作品を作る上で妥協なんて誰だってしたくない」
こんなことはぶっちゃけ言わなくても当たり前のことですよね。
人に妥協したものを聴かせる、もし思うような反応を得られなかった場合、妥協したことを言い訳にしてしまうかもしれません。
なので、本来であればやはり誰でも妥協などしたくありません。
しかし、人は成長する生き物で、作っていると直したい部分や改善したい場所がいくつも出てきます。
特に作曲を始めた頃というのはそれの繰り返しで、日をまたいで時間をかければかけるほどどんどん収集がつかなくなります。
なら最初から妥協しなければいいじゃん!って思いますよね?
しかし「これが初期の作曲の罠」であり、ある程度で妥協して次に進まないといつまでも完成しないのです。
人は成長する
人はもの作り、創作をしていくと必ず成長します。
実はここが落とし穴。
曲作りやゲーム制作でも何でもそうですが、完成させるまでに非常に長い期間を要するプロジェクトほど、この「成長する」という概念が完成を遠ざけます。
それは
「もっと良くしたい」「ここダメだな」「あ〜ここやっぱ変えたほうがいいな」
このようにキリがないのです。
作品を作っていると、成長するので作品をどんどん良くしたいと欲が出てきます。
すると、最初に想定していたクオリティに収まらず、変な方向へ進んでしまう場合があります (もちろん、最終的にやりきればそれは良い結果になる場合が多いです)
大抵、その先に待っているものは
「収集がつかなくなる」「いつまでもまとまらない」「良いかダメか不安」
すると、最終的に完成させる意欲、集中力が失われてしまい、いつまで経っても、完成しない言い訳だけが残ります。
完成したものは強い
大切なことが一つだけあります。
それは「完成していないものは、完成してるものより劣る」ことです。
「木を見て森を見ぬ」という言葉がありますが、作曲を始めた人が陥りやすい大きい罠の一つとして「最初から一つのセクションに手を入れ過ぎる」というのがあります。
イントロだけトラックをガバガバ重ねて、フレーズも凝り、豪勢に聴こえるという。
その先に待っているものは
「Aメロがいつまでも完成しない」
「イントロとこれから作るAメロの質に差がありすぎてやる気を無くす」
「これをあとBメロ、サビ、ソロも作らなければならないのか・・・」
「すごい時間かかる・・・また今回も完成しない」
このパターン。
これが「木を見て森を見ぬ」です。
慣れてくるとどんなパターンでも、その人なりのプロセスや経験によって問題なく完成させれるようになるとは思いますが、もし完成させれないなぁと悩んでいたら、ぜひ「まずは大枠、全体から作る」ことをオススメします。
作曲の流れを理解する
人間の集中力というのは実はたかが知れています。
経験と状況次第でそれらは変化しますが、好きに作っている場合は基本的に時間が無限であるため、いつまでも終わりません。
文字通り、時間を湯水のごとく使ってしまうのです。
作曲を完成させるためのフローの一つとしては、
全体、大枠を作る
↓
細かい部分のクオリティを上げていく
↓
見切りをつけて完成にする
↓
今回の反省点を次に活かす
この順番が最初はオススメです。
実は「時間を決める」というのがこの流れを一番効率的に考えられる方法です。
細かいことを言えば「計画を立てる」ことですが、計画など立てたところでその通りになかなか進まないものです (自分の作曲パターンが身につけば話は別ですが)
というのも、作曲というのは最初のきっかけが人によって違います。
音色、フレーズ、イメージ、インスピレーションが違うので、決まった作り方が存在しません。まして作る曲のジャンルにも左右されます。
なので、そういったこととは別に、上記のようなどんな物事でも共通している「まずは全体、大枠を作る」という部分からスタートします。
それさえ決めてしまえば、あとは余った時間で手を入れていくだけです。
時間を決める重要性
時間を決める理由は以下の通り。
「完成させるため」「終わらせるため」「次に行くため」
このためだけに存在する決め事です。
試験やテスト、授業、一日は24時間、きちんと終わりがありますよね?
それによって私たちは日々にメリハリをつけて、明日という次のステップへ進みます。
これが無限にあったらどうでしょう?
永遠と一日をループすることになります。それでは混乱しますし、次第にわけがわからなくなるでしょう。それは作曲でも同じです。
もちろん、一日二日曲を寝かせた方が一旦冷静になり、自分の耳をリセット出来るのでオススメですが、それにしてもやはり「まずは大枠を作ってから」の方が良いと思います。
一回の授業で完璧にマスター出来れば言うことなしですが、数回に分けて物事に取り組むのは「人が成長する」という要素をうまく活かすためです。
まずは一週間でも良いので、「ダメでも一週間で必ず完成にする」と決めます。
これでとりあえず、絶対に一週間で一曲が完成します。
作りきって結果を残す
失敗を繰り返し、反省を活かす、それで人は成長していきます。
結果を残す、本記事でいうところの「ひとまず完成にする」ということですね。
もしかしたら、あなたは作曲を始めたばかりで「完成させれず、曲になりきれなかった残骸」をいくつも残したかもしれません。それも一つの結果だと思います。
しかし、その次のステップへ行くというのが本記事で伝えたいテーマ
「ダメでも完成とする」
そこで、先ほどお話しした「大枠、全体から作る」が生きてきます。
途中まで作って、曲が繋がらなかったり展開できず、一部分に手を入れ過ぎ他のパートと差がありすぎて、全体がまとまらずに断念したことってありませんか?
私はしょっちゅうで、とにかく最後まで作る、ということが出来ませんでした。
理由は色々ありますが、最後まで作る前に飽きてしまい、次の曲を作ったり、また最初だけ作って。。。を繰り返してしまいます。
それも最初の最初は必要、というか恐らく誰でもそうなります。
豪勢にして途中までしかない曲より、ピアノだけ、1音色だけで最後まで全体が作ってある方が最後まで聴ける分、やはり曲と言えます。
話を戻して、
つまり、曲としての最低限の大枠を作れば、曲らしくなります。
例え、質を上げきれなかった場合も、それは一つの結果です。その結果を次の曲で活かしましょう。
その場合、一つだけ今までと違うことは
「とにかく完成はさせれるようになった」
つまり、「見切りをつけて完成とすることが出来るようになった」ということ。
イントロだけ、Aメロだけすごいのを作っていた、しかし完成はしなかった。
音作りやフレーズばかり凝っていた、しかし完成はしない。
「完成していないものは、完成してるものより劣る」
何かを作りきるのは大変なことです。
人に聴かせるためにクオリティを気にするのは当然です。
しかし、結局それで曲がいつまでも完成せず、結果的にいつまでも聴かせられない状態ではいずれ曲作りを辞めてしまう可能性を高めてしまうでしょう。
もちろん、人によって曲作りに取り組む理由や楽しさ、価値観は違いますので、本記事のように色々と定義づけることは広い目で見ると間違ってるかもしれません。
でも、もし完成させたいと思っていたら、参考にしていただけると幸いです。
あとは羞恥心を捨てる覚悟だけ
作れることと、クオリティの判断が出来ることは全く異なる能力です。
私たちは、ゲームや音楽、商業同人問わずリリースされているものを体験していますので、言ってしまえばプロレベルのものを常に体験しています。
なので、いざ自分がものを作るときに、全くそのクオリティにほど遠いものしか作れず、その難しさを知って打ちひしがれるでしょう。
私も、そこで初めてプロって本当に凄いな、って心の底から思いました。
しかし、自分が苦労して作ったものを人に聴かせても、残酷ですがその相手も曲を作れなくても「聴く耳」は持っています。
その道を知らずとも、良いか悪いか、質が高いか低いかの判断はある程度できます。
人は、1回目の完成は感動してどこか根拠のない自信がありますが、それは自分で作りきった感動があるからかもしれません。
しかし、聴かせても思うような反応が得られず、自分も冷静になり「やっぱこれ、イマイチかなぁ」と聴かせるのが恥ずかしくなります。
すると、2回目以降は聴かせることが苦痛になってきてしまい、今度はやたら質を気にしてそこに注力してしまいます。
するといつまでも完成しない、という流れです。
なので、羞恥心をある程度捨てる覚悟は必要だと思います。
(でも、聴いてる人はそこらへんって、本人が思っているより気にして無いことが多いような気がしますね)
質を気にすることは良いこと
質を気にし出すとなかなか完成しませんが、良いか悪いか、イマイチかどうか、まだ成長させれる要素はあるかどうか、は分かる能力があるという訳です。
それは長い目で見れば武器です。
しかし、それも分かった上であえて妥協して完成とし、次へどんどん進みます。
そこで色々と何を言われても耐えてください。
「ウンウン、分かってるよそんなこと」ってw
そこで言い訳してしまうと台無しです。本当にただの言い訳ですし、なら最初から何言われても良いくらい納得いくまで作りきれ、となってしまいます。
でもそれは、完成させる癖を身につけて、曲作りは当たり前にできるようになってからで良いと思います。
今話しているのは、まず完成させること、です。
何か言われても言い訳しないで、黙って次の曲で生かして行きましょう。
成長は自分次第
もし、あなたが褒められて伸びるタイプと自覚があれば、褒めてくれそうな人に聴かせ続けることをおすすめします。
結果的に完成し、聴かせ続けられるので、一定まで成長します。
ダメでもイマイチでも褒めてくれる、というのは実は本当に嬉しいことだと思います。
また、聴いてくれる人が、あなたの今後の成長や可能性を考慮しての言葉選びであるかもしれません。そこまで考えてくれたら本当に嬉しいものですが・・・。
言ってしまえば、何がダメとかそんなものは不明確なものです。聴き手によって、作り手によって表現したいことは違いますので・・・。
でも、良いね!って言ってくれる人の存在、言葉というのは本当に自信に繋がりますし、時間を割いて曲を聴いてくれる訳ですから、ありがたいことです。
しかしながら、逆にイマイチな反応を示してくれた方が、あなたを大きな成長へ導く存在になる可能性も秘めています。
その条件として、あなたが精神的にタフであることが求められます。
作ったものを聴かせてどぎついことを言われて普通は凹みますよね・・・。
まぁ私も凹んだ凹んだw
私も曲作りを始めたばかりの時は、色々言われました。
「あの曲に似ている」「あの作品っぽい」「あの曲のパクリやん」
全くのオリジナリティは出せません。必ず自分が聴いてきた先な作品の何かに似てしまうでしょう。
それでも悔しくて作り続けた先に、ようやく
「まだテイストは感じるけど、似てるとかは感じなくなった」
褒めて伸ばしてくれる人、厳しく言ってくれる人、その両方の人に聴かせて成長していけるのがベストだと思います。
何を言われても、それに左右されなくなってきたら、次のステップです。
ちなみに、音に対する人の好みは様々ですので、どれだけ成長しても何かは言われると思います。
それも踏まえて、素直に意見を参考にしていけると良いですね。
とにかく続けるしかない
近道はない、ということです。
効率の良さ、あるタイミングで得れる技術や表現が一気に広がるなど、そう言った近道は人それぞれにあると思います。
しかし、最初はとにかく数をこなすこと、これが大事です。
「作りきる、という経験を繰り返す」
作りきらないといつまでも作りません。作りきる癖がつかないためです。
そのためには、時間を決めて妥協し、羞恥心を捨て、聴いてもらい、作り続けること。
その姿勢は成長へと向かっています。
一定までそれを続けたら、ようやく質、クオリティ、の話です。
繰り返し
「完成していないものは、完成してるものより劣る」
私は常にこれを意識してきましたが、これで言い訳をすることが少なくなりました。
(ちょっとしちゃう時もあるけどw)
そして、いかに完成させている人がすごいか、というのを知って、それに向き合わなければと意識を変えました。
細部に手を加えて質を上げることも凄い能力ですが、全体、大枠を作れるというのも「まとめる力」だと思いますので、一つの能力だと思います。
最後に
妥協を繰り返し、完成を繰り返すことで、成長します。
それが70%の力でも、いつのまにか当時の100%に該当するレベルになっています。
それは、自分が成長しているからです。
その頃には、どうすればもっと質をあげれるか、ということを考えながらも曲を完成させれる軌道に乗れているでしょう。
なので、本記事で伝えたいことは
「妥協をあえてプロセスに取り込み、完成を優先させ、前へ進み、最終的に長い目でレベルアップを狙う」
もし、一曲もまだ完成させれてない人や、一曲目の評価を気にして二曲目に時間をかけすぎ収集がつかなくなっていたら、妥協して次へ進む方が変な呪縛から解放されるかもしれません。
もちろん、必ず完成させる自信があれば、言うまでもなく時間をかけて音作りや細部にこだわるべきですが、そうでない人は何かヒントになれば幸いです。
偉そうなこと書いてしまいましたが、私もまだまだ修行中の身なのでもっと成長していけるよう精進したいと思います。