ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【作曲】ホラーBGMの考え方『トガビトノセンリツ』に学ぶ『怖さの本質』とは?

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http://dengekionline.com/elem/000/000/686/686839/

ゲーム音楽のホラー曲というと、ミステリアスなサウンドノベルから人狼ゲームのようなデスゲームなど色々なジャンルがありますね。人狼ゲームをテーマにしたアドベンチャーはハラハラドキドキするので大好きです。

ところで最近、怖い音楽ってどうやったら作れるのかを試行錯誤しています。

ホラーサウンドは一見メロディよりも、アンビエントな調子や効果音などの方が怖い雰囲気を演出するに向いているように思えます。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

現実世界では通常 BGM は鳴っていませんよね。ですが、効果音などは大なり小なり鳴っていて、それらがゲームの中で鳴っていることが、よりリアリティを感じさせてくれるからでしょう。

そのため、ホラーゲームにおいての曲の役割というものは難しく、単に気持ち悪い、不快なダーク調にしておけばとりあえずOK、というものでもありません。最初はそんな安易な考えで作っていたのですが、やはり自分が狙いたいような怖さは出せません。

そのような雰囲気も確かに重要ですが、そのゲームなりのテーマも大事になってくるように思います。ホラー要素を含むゲームはストーリーも重要になっていることが多いですよね?

物語にリンクするような演出も施し、それにより初めて怖さにも「深み」が出てくると思いました。

今回は私が好きな人狼ゲーム「トガビトノセンリツ」の内容をイメージして作った BGM の紹介や、怖さの演出について思った事も書いてみようと思います。

トガビトを未体験の方は途中まで無料ですので、試しに是非プレイしてみるのをオススメします。 私は先が気になって徹夜でやってしまいました・・・。

(今回はゲーム画面を資料的に使って、怖さや作曲の表現について考案するだけです。ゲーム体験を妨げるような核心的なネタバレには触れませんが、幾つか序盤の画像を使っていますので閲覧にはご注意ください)

目次

「トガビトノセンリツ」とは?

ADV トガビトノセンリツ

ADV トガビトノセンリツ

  • Kotobuki Solution Co., Ltd.
  • ゲーム
  • 無料

 

高校内の奇人・変人を集めた“管弦部”。ある日、メンバーたちが課外活動中に謎の集団に拉致され、ある施設に閉じ込められてしまいます。彼らを待っていたのは、“プリズナーゲーム”と呼ばれる殺人ゲーム。生き残るためには誰かが死なねばならないという、極限状態で葛藤する少年たちを描いた作品です。

電撃 - 【レビュー&攻略】『トガビトノセンリツ』必ず誰かが死ぬデスゲームに放り込まれた少年たちは極限状態で何を見る?(電撃おすすめアプリ 第77回)より引用

ゲームをテーマにしたオリジナル曲を作ることがメインなので、作中に使用されている曲についてはそこまで触れていません。目的はシーンの画像やキャラクターたちの心理描写にマッチするサウンド作りを考えていくことです。

なので、それらを中心にユーザー目線で書いていきたいと思います。

曲は何となくは作らない

当たり前ですが、曲は目的を持って作るようにしています。

何となく作ったものとそうでないものには必ず差が出てきます。

怖い雰囲気を出したい

そう思って曲にしようとするも、何を持って「怖さ」なのか。

冒頭でお話しした通り、私は怖さについてロクに考えもせずイメージだけで曲を作ってました。そんな感じで作ってると「全然怖くないわこれ」ってなるんですね。

じゃあ「こういう音階や音程にしてみよう」とまた安易な考えで作り・・・

またダメです。

聴く人の感情を刺激する曲を作るには、感情を刺激する要素とは何かを少し考えてみる必要がありそうです。

そう言った「要素の解明」というのは、人それぞれ多少の差はあれど大衆的な音楽を目指すには必要で、今回もなるべく感情の共有を目指したいのです。

今回は「怖さ」ですが、その正体が全く分かりませんでした。

まずはそこからです。

「怖さ」と「驚き」

改めて「怖い」ってなんだろう? 

自分がホラーテイストなゲームをしていたり、お化け屋敷に行った時のことを思い出すと「怖さ」に他にも「驚き」の感情もあることに気づきました。

この二つの感情は単体で出現することもあれば、連動して出てくることもあります。

ホラージャンルでは、様々な効果音が率先して怖さや驚きの感情を引き出しています。ですがそれらは、ストーリーや、絵の描写などの視覚的な演出、キャラクターの心理描写のリアリティ、没入感によっても表現されています。

サウンド以外に関心を持ちたい

シナリオライターを目指しているわけではありません。

そのため作曲開始当初は、サウンド以外の演出に関してはあまり分からなくとも仕方ないかも、などと考えていました。

しかし「それでは絶対にダメだな」と即痛感。何よりそんな気持ちで作曲しててもつまらないし、何事にも探究心を持とうとしなければ、自分の作るもののクオリティがある程度のところで止まってしまいます。

最終的に合う合わないは自分が判断することではないのかもしれませんが、そこに至るまでの過程では奮闘したいと思っています。

サウンドクリエイターも演出家の視点を持つことで、新たなアイデアが思い浮かんだり狙った音に近づけれる確率が上がるのではと思います。

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http://dengekionline.com/elem/000/000/686/686834/

この文章、背景だけでめちゃくちゃ怖いです。実際ゲームでもかなり怖いんですが・・・。

一つ覚えておきたいのは、こういうのって人によっても意見が分かれたりもします。あくまで自分なりの考えで良いと思いますよ。

そして人と意見交換をしましょう。

調べたりするのも良いですが、今現在の自分の考えや価値観を洗い出してみるのが一番自分を知れるのではないでしょうか?

「怖さ」の大きさ

人によって怖さのシンボルは異なります。

怖さは、各々の人生経験やトラウマなどによってもその大きさは左右するでしょう。感情は「小さなもの〜大きなもの」までの広い範囲を持っており、どの程度に思うのかは各々の価値観や経験、感受性によって違ってきます。

例えばその中でも「死を予感させる、感じさせる」という情報、演出は、多くの人が持つ「怖い」という感情を引き出すトリガーとしては基本だと思います。

基本的に誰でも「死にたくない」と思っているからです。

死に直結しないのであれば、生への執着もそれほど湧かないので物語は盛り上がりませんし、逃げたりそれらから解放されたい、と思う動機も薄いでしょう。

同時に次々にキャラクターが死んでいくストーリーも、かなり演出や構成に重きを置かなければ、プレイヤーが死というものに慣れてしまいます。

1人目や2人目が死亡した時は恐怖を感じたが、5、6人目にもなると死ぬことによる恐怖は段々薄れていき、最終的には誰がどうやって生き残るのかがなど、物語の結末などに興味を持ち始めます。

ストーリーや表現がしっかりしていなければ、死は軽くも重くもなります。

(もちろんゲームの狙いがそこではないのなら話は別です)

「失う」という怖さ

自分の生きがいや、人生で大切なもの、地位や名誉、告白して振られる、人間関係など、人はそれらを「失う怖さ」と呼ぶでしょう。

直接的な死とは違いますが、一時的にしても死んだも当然の状態になるからかもしれませんね。

(もちろん失うという意味では死も同義語ですが)

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http://www.4gamer.net/games/192/G019295/20130218041/

次々と嘘をつかなければならない状況。良好であった人間関係が崩壊していくのは怖いですね。

分からないことに対する「恐れ」 

大きな音が突然鳴ったり、不快な音が小さく聴こえ、段々近づいたり遠のいたり、そういった原因が分からずに音が鳴り続けることによっても不快さや不安を覚えます。また、正体不明なものとの対峙など。

ホラーには少なからずこのような要素や演出があると思います。

人は「分からないことに恐怖を感じる」のですね。

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http://appget.com/appli/view/63394

お化け屋敷はお化け屋敷と分かって入るのでまた少し違いますが、いきなり異空間に連れ去られてそのような状態になれば恐怖以外の何物でもありません。

また単純に、暗いから怖いのではなく

暗い→目で認識できる情報が少なくなる→不確定な要素が増える→恐怖

とか

場に相応しくない者がいる→おかしいと感じる→その原因が分からない→恐怖

という関係性もあると思います。

音楽の役割を改める必要性

こうやって改めて考えてみると、効果音はそれで別の役割があり、絵や文章、ストーリーもそれぞれ役割があります。

なので何でもかんでも BGM だけで怖さを表現するには少し限界があるように思えます。また、そうしようとすればうまくいかなかったりもするでしょう。

BGM は絵や文章などと同じで色々な表現が出来ると思いますので、曲だけで「どういった種類の怖さを引き出せるのか」も考える必要があるかもしれませんね。

感情はどのようにして引き出される?

常にこういったことを意識すれば、人はなぜ悲しいと思うか、怖いと思うか、などのヒントになりますね。常に意識するのは難しいですが、ふとそういう場面ってありませんか?

「しまった、今のは言ってはいけないパターンや」など。

ゲームや映画、メディアなど、私たちの周りには様々な情報が溢れていますが、同じ情報でも「くだらない」と感じる人もいれば「怖い」「悲しい」と思う人もいます。

人はそれらを、未来的に起こる自分のことのように重ねたりした時に、その重さや大きさに初めて気付きます。また、そう言った経験や想像力を持った人はより怖いと感じるかもしれません。

自分が死ぬかもしれない、という想像力こそが怖さのトリガーかもしれません。

「驚き」に付随するあらゆる感情

驚きとは、ビックリしたりすることですが、良い知らせの時もあれば悪い知らせの時もありますよね?

ビックリさせる王道の演出ですが、いきなり大きな声で「ハッピーバースデー!!」と言われたらビックリしますが嬉しいわけです。

(驚き+嬉しさ)

反面、「ドン!!」と大きな音がした後に後ろを振り返り人が倒れていたら・・・

(驚き+疑問+心配+怖さ)

大きな音で驚き、何が起こったとと疑問が出てくると同時に、対象が無事かどうか心配し、反応がなければ怖くなります。

それは「死んでいないかの確認」を無意識にするためでしょう。

驚きの前後に、意図した要素を配置することによって、さらなる感情を表現することを目指します。それは楽しさだったり、怖さだったり、不思議さだったりと、色々なあります。

感情と感情のタッグを組ませる

このように、アクションを起こした後の情報次第で、人の感情は連鎖的に色々セットで引き出されるのだと思います。

リアリティ

いきなり感情移入していないキャラクターが冒頭で死んだところで・・・悲しくも驚きもしません。これは現実世界に置き換えても、近いことが言えるのではないでしょうか?

自分の知人、家族が亡くなるのと、顔も知らない人が亡くなるのでは「出てくる感情の大きさ」が違います。10000人の死よりも、一人の大切な人の死、それがその人にとってのリアリティだと思います。

ゲームの場合、まず「世界観」をしっかり作らなければ没入感が得られません。

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http://sinplelove.jp/blog-entry-5127.html

無理やり怖い絵を見せても「気持ち悪い、グロテスク」なだけで終わってしまい、それは確かに怖いは怖いだけど、少し強引な怖がらせ方になります。まぁそれもアリですが。

絵だけでそれらを表現したいのであれば、それは問題ないことだと思いますが、やはりストーリーがあるのであれば、それに見合うサウンドも組み込みたいので、他のパーツの役割も確認しながらサウンドはサウンドが出来ることを追求したいですね。

「大きな差」を感じさせることが重要

例えば、散々冒頭から登場キャラの仲良しなやり取りを見せつけられた後、彼らが強制的に殺し合いを余儀なくされるというのは今ではよくあるシナリオですが、それは実際として「何らかの差」があるのです。

この場合、日常から、非日常への差です。

まずはプレイヤーに「その世界観での日常」を体験させなければなりません。

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http://appget.com/appli/view/63394

いきなり非日常を見せたところで、それはその世界観の中ではまだ別に非日常ではないのです。比較体験がその世界観の中でまだ無いので、プレイヤーは登場人物に対してどこか他人事です。

逆に簡単な説明だけして非日常から始まるようなパターンもありですが、私の経験上、前半や冒頭に日常のやり取りがあった方が、後のデスゲームでより一層悲しみや葛藤を共有出来ます。見せ方にもよりますケド。

怖いメロディってあるの?

ようやく音楽の話になります。

例えば、不協和音を効果音のように鳴らしたりしてもある程度の恐怖感を出せます。分かりやすい例だとヴァイオリンの高音域など。

ではメロディはどうでしょう? 

音楽用語で言えば

減5度の音程で動く旋律、マイナー7th (♭5) などのコード、それらの分散などは分かりやすいですね。

そういった音楽理論を用いれば、ある程度までは一定の怖さを出せるかもしれません。

「減5度」の音程 (インターバル) による検証

ここからは音楽に興味がある方向けです。

では「C4 (真ん中のドの音)」を中心に「減5度」の音程を軸に、簡単な検証を行います。音色はピアノの音でスタートし、後半はシンセ系、ボイス系も加えて効果を見てみましょう。

しばらく音のサンプルが続きますので、同じ音程でも音域や音の長さ、大きさ、残響などによってどのような印象を受けるか比較してみましょう。

 一つ一つに私なりの印象も付け加えてみます。

不吉な音程感で、これだけで明るくない状況なのは間違いないです。ただ怖いかと言われれば怖いレベルではありません。弾いている感が出てしまってます。

ディレイ (遅延) を足してみました。弾いている感が少し薄れ、上記よりも雰囲気が出ていると思います。

ディレイ (遅延) とリバーブ (残響) を足しました。遠近感が出て、上記2種類よりも背景に溶け込んでいるように聴こえます。

2音目の音の長さをワザと短くしました。これだけで怖いどころか「ん?」というように失笑してしまいます。つまり音の長さは重要な要素だと言えるでしょう。

2オクターブ音程を下げてみました。どっしりとした印象になり、上記の中域に比べると怖いとまではいきませんが「怪しい」という印象があります。

3オクターブ音程を下げました。怪しさも出ていますが、重厚感が増して「とうとうやってしまった」「とうとう起こってしまった」というような印象を受けます。

2オクターブ音程を上げました。重厚感の印象とは逆で、「これから何かが起こる」「話し合ったり検証している」ような印象。ある意味怖いです。

では1オクターブ下げて、ボイス系の音色に変更してみました。音の大きさも怖さの迫力に影響するように感じますね。

1オクターブ下げて、シンセ系の音色にしました。ピアノに比べて倍音も多く、同じ音程感でも音の情報が豊かです。かなり雰囲気が出ていますので、これで音色の選択は重要だということが分かります。とにかく奥行きが出ており、世界観や空間を感じさせます。 

減5度のインターバル (音程) による簡単な検証でした。

今回はちょっとした思いつきでザックリと比較してみましたが、このように音程、音色、音域、音の長さ、音の大きさやテンポなどの変更によって、メロディ、ひいては曲の印象がどのように変化するのかを自分なりに感じてみましょう。

私はこんな感じですが、ここから絵やセリフなどが加わるとさらに印象が変わると思います。

作り手がどのように構成し、それをユーザーがどう感じるのか気になるところです。

まず自分はどう思うか「言葉」にしてみる。言葉で表現すると自分の考えや感受性がより具体的に、明確になる。

曲を作る上ではこれをまず意識していくことが大切かと思います。その上で他の人の意見も聴いてみると面白いですね。

まだまだ無数にあるメロディ、音色の組み合わせ、音色変化などでも感じ方が変わると思います。

というわけで、さらにテンポを遅くしたりボリュームが徐々に上がったりと、まだまだ印象や怖さの深さを変えれそうです。

それらを組み込んで作った曲はこの後紹介します。

曲が表現すべきことは何か?

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私は自分なりにゲーム体験でメロディの怖さを体験してきました。

トガビトのオープニングで流れる鎮魂歌的な旋律は、悍ましいのに神々しさと美しさも兼ね備えている中毒性のあるメロディ。ユーザーの恐怖感に訴えかける破壊力を持っています。

ゲーム中のある場面で聴いた時は鳥肌が立つ思いでした。

物語とメロディがリンクしている場合、それらのアレンジが流れてメロディが意味を持った時にゲームの世界観にリアリティが生まれ、恐怖を感じました。

つまり曲だけで恐怖は最大化出来ません

人がゲームに求めているものが、ただの死や恐怖ではないからだと思います。

「トガビトノセンリツ」というゲームは、私にそれら一連の衝撃を与えた作品です。

ゲームのジャンルなどによっては全く考え方が違う場合もあると思いますが、少なくとも私は、怒りや悲しみや楽しさをキャラクターを通して共感したいですね。

また、そのような曲作りを目指したいです。

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http://dengekionline.com/elem/000/000/686/686839/

状況 (場所の表現) とキャラクターの心理描写 (感情) を表現することが重要になります。

さきほどの検証のように、怖く感じさせる音色、倍音、メロディももちろんありますが、言葉でそれらを語るには限界がありますね。

この作品に触れて作った以下の曲を聴いてみて判断していただければと思います。

(上記の画像は作曲の参考資料として利用しています。この曲は、ゲーム「トガビトノセンリツ」の内容とは一切関係ありません)

Cling to Life

上記の画像を元にキャラクターたちの、悲しみや怒り、運命に翻弄される感情を表現してみました。私が今まで作ってきた BGM の中でも、少しは世界観を出せたかな〜と感じてる曲です。

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http://dengekionline.com/elem/000/000/686/686820/

Pulsation -死への鼓動-

こちらは主に「状況や場所をイメージ」していますが、キャラの感情表現にも場合によっては当てはめることが出来るかもしれません。上記の曲のアレンジです。

※この曲は「ダークオブアルケミスト」と言うゲームに使っていただきました。

ダーク オブ アルケミスト

ダーク オブ アルケミスト

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作曲ワンポイント

実際のフレージングや雰囲気は曲を聴いていただいた通りです。

とにかく全ての音になるべく意味を持たせて、後から不要な音は消すようにしています。そのどっちでも良い音が一つ入っているだけでも印象が変わってしまう為です。

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今回は ABSYNTH 5 を使用しています。このインターフェースからしてホラーですよ (笑) 良いサウンドがたくさん入っていますので、想像力を掻き立ててくれます!

Holding Pattern という耳鳴りのような音色、その他リズムのループ系音色を使用しています。

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黄色が音量ボリューム、緑色がパンニングのオートメーションです。

パンニングとは音を左右のどちらに配置するかを決めるパラメータで、ヘッドフォンで聴くと変化が分かりやすいです。今回はランダム性を持たせるためにピアノのアルペジオが左右を行ったり来たり往復します。

さらにビブラフォンを不規則なリズムで歌うように組み込み、多少大げさに叩きランダム感を増加します。

最後に

今回作曲していて、キャラクターの心理描写をする事がヒントなのかな〜と思いました。かと言っても毎回違う曲を使うわけにもいきませんので、ある程度のシーンを一曲でカバーできる汎用性も必要なのですが・・・。

怖さについては、私自身が「トガビトノセンリツ」のゲーム体験より得たヒントを中心に考えたことですが、少しまとめた程度なので収拾がついていません。ですが、自分なりの怖さのイメージみたいなものを改めてみるキッカケになったと思います。

なかなか怖さを言葉で表現するのって難しいですね。

減5度による各検証は、実用性は無いかもしれませんが、自分の音に対する感じ方、考え方を言葉で表現してみるのも面白いのではないでしょうか?

最初は単純に怖い音楽を作る事が目的だったのですが、それらを追求していくとやはり様々な要素が絡み合って怖さに深みが出る」のだと分かりました。

トガビト本編のシナリオ、そしてサウンドは美しく、恐ろしく、切なく、そして中毒性があります。

このような世界観の表現は本当に奥が深いですね・・・。