ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【作曲】12秒の曲をループさせる【制作時間を決めて作曲するメリット】とは?

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https://azukichi.net/season/06_june2.html

シンプルで短い曲をループさせる。曲は長ければ良いというものではなく、短くても上手くループさせれば、ゲームなどの各シーンの情報をより引き出すことが可能となります。

今回はゲーム音楽をイメージした短いループ曲を、30分という時間制限を設けて作ってみましたので、ループサウンドと時間制限を設けるメリットについて触れてみたいと思います。

はじめに

アーティストやバンドによっても様々ですが、バンドなどの歌モノなどを作曲したり聴いていると、だいたい一曲が「4〜5分程度」という印象があります。

それとは対極に、ゲーム音楽を始めとするサウンドトラックなどは、基本的に「10秒〜2分程度」の曲が「ループ」して、一曲あたりの時間が「1分〜7分」など幅広くなっていることが多いです。

今回はループサウンドのうんちくではなく、ループ技術を用いれば、10秒くらいの短い曲でも曲として成立する例を紹介したいと思います。

画面やシーンにさえマッチしていれば、曲を展開させなくてもプレイヤーに十分なイメージを持たせることができるので、引き出しの一つとして覚えておきたいです。

ループとは?

曲がエンドまで進むと「ここへ戻ってまた再生せよ」と言った命令をプログラミングします。そのため、ループする始点に戻っても違和感がないような曲の作り方をする必要があり、曲によっては起承転結が求められる場合もあります。

ループについてはいつから始まったのか分かりませんが、ファミリーコンピュータの音楽が短い曲でループしていることから、容量の制限を考慮し、短い時間で曲を充実させる方法に行き着いたのも一つのような気がします。また同様にして、シンセサイザーのPCM音源、特にピアノ音源などのサンプリング技術などにもループは応用されていますね。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

もう一つは、ゲームをプレイする上で音楽が途切れないようにする事も考えられていると思います。ループと言っても大きくは2種類あり、「一度無音になってからループする曲」と「完全につながっているようにループする曲」があります。

今回紹介する曲は、完全ループするタイプの曲になります。

ループの需要

完全に曲が繋がるようにループさせるには、ゲーム側のソフトウェアの都合と「ogg」「mp3」「m4a」などと言った曲ファイルの拡張子による互換性が必要になります。このへんがツクールなどでゲーム作りを始めるクリエイターの最初の壁だったりします。

特に最近だと、スマホ用のゲームなどで小規模のチームが製作したゲームなどは無料の音楽素材を使用しているケースが殆どです。例えば、私はノベルゲームが好きでよくスマホのサウンドノベルをプレイするのですが、普通にシナリオやキャラ、背景などのクオリティが高い有料ゲームでもループしてなかったりします。

ですが、実際にゲームをプレイしていると意外と気にならなかったりします。確かに曲が最後まで流れて止まり、また頭から再生するのですが慣れてくると「そういうもんだな」と認識していたりします。

アクションやシューティング、 RPG など、場面によっては雰囲気が台無しになるケースも多々あると思いますので、基本的にはループするように作られています。

なので一概に慣れれば問題ないとは言えないのですが、テキストゲームだとループしてなくても案外違和感がないな、というのが私の印象です。もちろんフリーゲームでもループするに越したことはありませんが・・・。

ゲーム制作の人気ツール「RPGツクール」にもループの条件があったりします。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

今回作った曲

12秒ほどでループする曲を作ってみました。

製作した経緯は、いつもHPをデザインしてくれる友人とスカイプをしていた時に「30分でこの画像に合う曲を作ってみて」というお題をもらい、本当に30分で無理やり作ったという。他にも違う画像で2曲やってみましたが、そのうち一つは30分でアイデアも構成も纏めきれずボツになりましたが、残りはなんとか聴くに耐えれるものが出来ました。こちらはそのうちの一つ。

(聴くに耐えれなかったらすいません)

Take Off

ゲームの RPG なら、飛行船や飛空艇などに乗る時、ドックとかで流れていそうな感じでしょうか? 友人からは「シューティングゲームの、スタートボタンを押してくれ的な画面で流れていそう」と言うコメントをもらいました。「急げ!」という感じの場面でも流れていそうですね。

曲の解説

シンバルは出だしの壮大さを演出し、マルカートストリングスでコードのリフを刻み、チャンバーストリングスで長い裏メロディを。ベースとドラムはずっと8ビートです。

マルカートとベースはひたすら同じ音を弾いていてるだけで、チャンバーストリングスだけ少しだけ音が動いてますが、このように実は殆ど音は動かしていません

(マルカートとは「強調する」という意味で、フレーズに強みを浴びせたい時に。チャンバーは基本的に「室内」という意味ですが、色々な曲調で使えますので、あまり音色名に固執せずに好きな音を使えば良いと思います)

ベースとドラムのシンプルな8ビートを入れたことによって、曲に少しドライブ感が出たのではないかと思います。ストリングスはよく言えば大胆、悪く言えば短時間で少しでも迫力を出そうとした結果です。

たったこれだけの音数、トラック数でも雰囲気を作ることが可能なループミュージックは、少ないデータ量で幅広い演出が可能な作曲法だと思います。

こちらの曲は、DAW内で何度かループさせて MP3 で書き出しているので容量は普通の曲と関係なくなっていますが、曲自体が短いループで成り立つのであれば後から加工自体はどうにでもできます。

今ではあまり容量の恩恵はないかもしれませんが、やはり少ないデータ量、最低限の音で場面を充実させる、というのはゲーム音楽ならではのテーマだと私は思います。

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DAW はこんな感じで、5トラックですね。16小節のループになります。白いバーまでが12秒で、その先はループになっています。

各パートを分けて流した雰囲気を聴いてみたい方はこちら

もし作曲を始めてみたい場合は、このような数秒程度の「16小節のループ」から作ってみると良いと思います。曲調によっては「8小節程度」でも良いですし、慣れてきたら「32小節」にしてみたりと少しずつ長くしていくのも良いと思います。 

時間制限を設けてみるのも手

何かを製作する時に「時間制限を設ける」ことは、どんな分野でも重要な項目であると思います。納期やスキルアップはもちろんですが、自分がどれくらいの時間でどんなジャンルならどのくらいのものが作れるのか、力を発揮できるのか、このような「自己分析においても一定の需要があるでしょう。

聴く人にとってはどれほど時間をかけたのかは関係ありませんが、作る方は集中力が高まるのは間違いないです。火事場の馬鹿力というやつでしょうか。時間を決めると基本的に無駄なことをしなくなりますので、たま〜にやってみるのもオススメします。

あと、誰かと一緒にいる時にやるのがモチベーション的にもオススメですね。今回のように、スカイプしながら「じゃあ作るから30分後にまた・・・」と一旦スカイプを切ったり。

で、聴かせて「お、なかなかいいね」とか「あ〜全然ダメだわこりゃ」ってなるという (笑) 

これが30分でしばらくやり続けると、1時間にした時に結構長く感じるようになります。不思議なものです。

ゲームによっては「各曲」にかける「時間のメリハリ」が必要?

フィールドやバトルなど、何回も聴くようなシーンで流れる曲、ゲームの顔となる中心曲には必然的に力を入れると思います。さらにはオープニング、下手をすれば一度しか聴かないラスボスやエンディングなどは、アレンジなどにもさらに時間をかけることになるでしょう。

その中でも、重要なシーンで流れるけど一回しか聴くことがないような曲もあると思います。4枚組のサウンドトラックともなるとそのパターンが結構多く、下手したら覚えていないことも少なくありません。そんな曲でも、作曲者は力を入れていたり、50%くらいの力で作っていたり・・・人によってはそんな一度しか流れない曲がお気に入りだったりします。

そう考えていくと、作曲時間はあまり関係なく、苦労してない曲が気に入ってもらえたり、逆に細部まで力を入れた曲などは作曲者しか分からないようなこだわりだったりしますね。このように聴く人によって良いと思う部分が全く違うので、後から作曲の裏話を聞くと曲に対する印象が変わったりと、これが作曲の面白いところだと思います。

ですが作曲者からするとメリハリは大事で、シンプルな構成で画面にマッチする曲を短時間で作る即興的な技術も必要ですね。ゲームでもそう言った曲は本当に多いですが、うまく作ってあるなぁ、と聴いてて感動します。

ループ素材の達人「Senses Circuit」

当ブログの音楽素材サイト紹介シリーズでも紹介している「Senses Circuit」さんは、音楽素材サイトの中でも老舗のサイトで、プロ級の BGM サウンドがたくさんあります。

その中でも「ショートループ素材」のクオリティが逸脱していますので、気になる人は是非見てみてください。10秒も無い曲を違和感なくループさせています。

利用規約を守れば自由に使用可能です。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

ゲームサウンド製作ガイド

こちらはゲームサウンド制作に特化した内容の海外の書籍ですが、ゲーム音楽を作る上で必要になる様々な手法や考えがまとめられています。特にゲームの体験ではループサウンドを感じさせないことが非常に重要だということが書かれています。

具体的には「Aメロ」「Bメロ」「Cメロ」といった音楽の基本的な構成によってループを感じさせてしまうのは最悪、といった少し過激な内容です。

様々な方法を用いて、ゲームプレイヤーに「ループポイント」を見破られないように構成し、さらにはループ時の違和感を無くせ、といった高度な内容が書かれています。確かに「迷いの森」のような場面には、そのような音楽がマッチするかもしれません。

私はどちらのタイプの音楽も必要だと思いますが、やはり聴きやすくて分かりやすくループする曲の方が好きですね。なぜなら後から曲を聴いた時にゲームを思い出せて楽しめる点が、ゲーム音楽の魅力の一つであると思っているからです。また、分かりやすい曲はアレンジやカバーもしやすいので、そう言った意味では広い可能性を持っていると言えます。

この辺は使用する場面やステージ、ゲームジャンルにもよりますので拾える部分だけ参考にして、効果的に使い分けていくのが良いと思います。

またその他にも、ゲームサウンドに関する実用的な様々な事が書いてありますのでオススメです。翻訳も違和感なく読めるレベルかと思います。 

機会があれば、この書籍の部分的なテーマを掘り下げて何か記事を書いてみたいと思います。なかなかこのレベルの書籍は無いので出版されたのは嬉しいです。

最後に 

今回は短いループ曲を例に、決めた時間内で作曲するメリットも書いてみました。

作曲を始めたばかりの方には「数秒の短い曲をループさせる」という事に着目するのがオススメです。

最初から時間制限を設けて作曲する必要はありませんが、短い曲をたくさん作るのは自信にも繋がる上に、段階を踏んでスキルアップしていけると思います。

また、ゲームをプレイしている時にも、短い曲がループしている場面に耳を傾けてみてその効果を感じてみるのも良いと思います。「あ、こんな短くても曲って成り立つんだ!」となるかもしれません。

時間制限はとにかく集中力がアップするので、思いも他普段とは違うアイデアが出てくる可能性があります

時間制限を理由にクオリティが低くなってしまうことを言い訳にするのはあまり印象が良く無いかもしれませんが、どちらにしても時間制限は大なり小なり存在しますので、少しでも意識していくべきだと思います。(難しい)

一度でもやってみると案外作れたり、そこそこ形になったり、何につまづいて時間を取られてしまったのかなど、色々自分の弱点や行動分析もできるかもしれませんので、是非試してみてください。