ファイナルファンタジー3 のゲーム音楽レビュー
#1 プレリュード
ファイナルファンタジーをやったことがある人なら誰もが耳にする曲ですね。
ゲームの電源をONにして「青い画面」が立ち上がり最初にこの曲が流れます。
プレイヤーとしての視点
ファミリーコンピュータのゲームにおいて、「色」というのは
そのゲームソフトの印象をより強くさせるものになります。
例えばファミコンの「カセットの色」など、パッケージの絵を見れない場合ある程度これでゲームソフトを絞り出すことが可能です。
大量のカセットが箱に閉まってあって上から選ぶときにFFなら白いカセットのどれかだな? といった具合に。
パッケージデザインだけでは無くファミコンにおいては現在のゲームスペックとは違ってドット絵ということもあり、ゲーム本編の画像に関してもCGに比べて色の役割は大きなものになります。
ファミコンの電源を入れて接触が悪い時など、画面全体が茶色だったり、緑だったり
ピンクだったり、ぐちゃぐちゃな時もありますがこれもファミコン特有のものですね。
そういうのとは別に、FFはシリーズは1、2、3ともに「ブルー」の画面が多い
具体的に言うと電源を入れたばかりの「オープニングテロップ」
メニュー画面時の背景など。
(この画面でプレリュードが流れます、一番始めにこの画面と音楽を聴いた時、とてもキレイな曲だと思いました。これからゲームが始まるワクワク感を感じさせてくれるBGMに子供ながらにして感動したと思います。何もボタンを押さずに放置してましたね。記事を書いていてプレイしたくなってきたw )
これは制作者がFFのイメージカラーは「青」という風にしたかったのも理由の一つかもしれませんが、青の背景に白いフォント(文字)はとても見やすい配色なのかもしれません。
(後の違うメーカーのスーファミRPGなども青い背景は良く使われます)
このプレリュードは最初の青い画面で流れるので、私にとってこの曲は「青のイメージ」を持ちます。
別に曲だけではなく何かを創造する時において、「イメージカラー」を持つことはとても重要で曲の持つイメージカラーによって、選ぶ音色(楽器など)、または材料なども決まってくると思います。
余談ですが、私は一番最初FF#3をプレイした時に曲の出だしがほんのわずかゆっくり始まるので、処理落ちの為かと最初は思いましたが、リピート前のラストの繋ぎも少し遅くなっているので「なるほど意図的か」と思いましたw
このゆっくり始まる部分がなぜか印象的だったりします。
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作曲者としての視点
過去作に比べて音質で強化されましたが、とにかく音が分厚いです。
エコー効果を狙ったようで、分厚さの要因となっているようです。
通常、曲というのはメロディを聴くことが多く、曲を思い出す時もメロディを思い出すことが基本だと思います。しかしこの曲の場合は聴く人によってどれが、どこがメロディなのか迷うかもしれません。
アルペジオ(分散和音)
この曲は100%「アルペジオ」で成り立っています。一般的なアルペジオとは、複数の単音を同時に鳴らす和音を「8分音符以上の音符で拍を跨いで、分散させて弾く奏法」です。逆に言えばその分散した音の塊で和音に感じさせる奏法、とも言えます。
音楽的に言えば「アルペジオでコード感を出す」などと言う表現もあります。
話を戻して、このプレリュードは
ドレミソ(CDEG)の4音をオクターブで展開しているだけなのですが
この曲の場合はこの一纏まりがメロディになりますね。
曲によってメロディの定義は変化すると思います。
この曲の場合、曲を思い出すことが出来る断片(パーツ)がアルペジオだと思います。
アルペジオしかないのですのでw
そしてFF4からプレリュードの2週目より曲の展開があり、FFのプレリュードの「テーマ」が登場しました。
ですがFF1~3までの段階ではまだ「テーマ」というものが無く、あくまでこのアルペジオがテーマ、メロディと言えます。
プレリュードはFF4以降のシリーズからメロディ、テーマが登場しますので
FF4以降においてプレリュードのアルペジオは奥でひたすら鳴り続ける「バッキング」の役割を担うことになります。
転調
この曲はドの音から始まるのですが、コードで言うならばCのメジャーコードから始まります。大雑把にコード進行に置き換えるなら
C→Am→C→ Am→ F→G →
転調 A♭→B♭→リピート
A♭の部分から転調になります。
ゲーム音楽だけではなく、転調はループが必要となる音楽で良く使われる手法で、スタート時の音に違和感なく戻る為に転調を駆使するのは、すべての音楽ジャンルの共通になってます。
その他、曲の印象を変えたい時にも良く使われる技法で、具体的に言うと
ポップスなどのジャンルにおいて、最後に盛り上がりたいときに転調してキーを例えば1音上げ(半音でも良い)、ボーカルの出せる最高音を1音あげることにより、サビなどでもっと迫力を出したりする手法です。
いずれにしても共通していることは
転調は曲により深みを持たせることが可能ということですね。
それによって結果的に名曲になったり、飽きない曲になる可能性がある。
もちろん逆の効果になる場合もあるので使い所と、そもそも使うべき曲なのかを考えないといけません。