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先日楽器屋で Roland の最新ステージピアノ「RD-2000」を試奏してきました。
RDシリーズは 700、700sx、700NX と一通り使ってきたので最新の2000が出たのは正直嬉しかったです。
全ての機能を確認できるはずもないので、タッチとデザイン、簡易的な操作性、サウンドなどを中心にレビューします。
また、私は2世代前の旧製品「RD-700NX」をメインコントローラーで使用しているので、それと比較しての進化や使い勝手なども書いてみます。
目次
RD-2000 の注目されている機能
公開された情報からだと、やはり V-Piano テクノロジーを搭載したピアノが一番大きいかなと思いました。それと今までのスーパーナチュラルピアノ音源の双方を備えたハイブリッド。
その他だと、やはりノブやフェーダーの数が大きく変わっていますので、コントローラー部分の進化が顕著ですね。
その辺も実際に触ってみて色々思うところもありました。
タッチ
鍵盤の材質は、表面など NX や従来品と比べて明らかに違うのが分かります。
象牙っぽさを漂わせる様な色合い、中は木製っぽい感じになっていたので深みが感じられました。
やはりピアノやエレピなどの音色は気持ち良いタッチですね。
あと若干 NX に比べて浅いと感じたので、グリッサンドがしやすいと思いますね。
同じ場所での弾き比べではないのでアレですが、従来に比べてコントロールパネル部分と鍵盤部分が近い傾斜になっているので、それで鍵盤が浅く感じらかもしれません。
タッチは間違いなく高フィーリングです。
サウンド
正直なところ、楽器屋での試奏なので細かいレベルでは書けませんが、良い音だなぁって1時間くらい色々な音色を弾いてましたねw
後述しますが、ノブが増えてシンセ系の音作りの操作性も上がっているのでピアノ系以外のサウンドにも手抜き無しな印象です。
従来品と差別化するのであれば、V Paino 音源でピアノを活かし切る様な演奏をするかどうか、と言う部分が重要かなと。
アンサンブルではうまく表現しないと違いが分かりませんしね。
操作性
従来だと、ダイヤルキーの周りに上下左右ボタンがあってディスプレイと連動してましたが、2000 の場合、上下左右ボタンが離れた位置にあるので操作しにくいですね。
また、カテゴリーボタンを押してレイヤー音色などを選択するときに、一覧表示が細かすぎてちょっと見にくいかな〜と思いました。
スペック表見たら、ディスプレイは縦幅50近く小さくなっているのでそれもあるかもですね。
ただ確かに表示は細かいのですが、音色を数サウンド先まで見渡せるのは嬉しいです。これは絶対に良いので仕方ないですね。
カテゴリーボタン
ダイレクトに各音源へ飛ぶことが出来るカテゴリーボタン。
ステージピアノ系やライブ向けの製品にはほとんど搭載しているボタンですが、NXなどの従来品と比べて消えているものがあります。
ピアノとエレピは三種類ずつ上段にあったのですが、それが2種類ずつ下段に来ているので、ギターとかマレット系のボタンが消えてましたので少し違和感あり (マレット系好きなの)
確かに、ピアノとエレピが相当メインになっている分、あまりその様な音色はダイレクトに選択することを求められていないのかもしれません。
あらかじめライブセットを作っておくぶんには問題ありませんが、セッションするときなどで即興で音色を変えたい時に影響があるかもしれませんね。
スライダー/ノブ/ボタン類
操作性の延長ですが、トランスポーズやスプリットなどのボタンが一番右端に追いやられているのが気になりました。
個人的にトランスポーズは頻繁に使うので、C4あたりにないと不便かなと。
恐らく増量したノブやスライダーの関係かな。
次にノブについて。
ここが正直、最初はかなりカッコいい! と思ったんですが、実際に触ってみると結構慣れが必要です。
見ての通り、ノブは4階層、左右4つずつで機能を併用させているので、覚えるまで各機能を把握しづらいかもしれません。
このあたりは他のメーカーのステージピアノ、パフォーマンスコントローラーでも同じなのですが、従来の RD シリーズはEQやリバーブ、コーラス/ディレイなどきちんと分けていたので使いやすかったのです。
その反面、RD-2000はステージピアノだけではなく、シンセサイザーとしての操作性をかなり重視しています。
ノブの階層や数は多いのですがADSRのエンベローブ、カットオフなど、音作りに必要になるパラメーターをつまみで直接操作できるようになりました。
音作りや腰を据えての操作時は効果は高いですが、ライブなどではどう使うかセッティングを決めておく必要がありますね。
ここは他の機能拡張による影響が大きいので、使い手が慣れるしかないですね。
お次はゾーン (スライダー)
拡張した9本のスライダーは内外部の音源を制御する上で利便性は高いですね。
変更点として、レイヤー機能では従来と比べアッパー、ロワーという概念がなくなり、8つの「ゾーン」という概念になっているようです。
また、表示、操作が左右逆になっているのでここも慣れが必要ですね。
従来は右のスライダーからアッパートーン1,2でしたが、今回は左からゾーンをコントロールする感じです。割り当ては自由なので、視認性なども考慮して任意のゾーンへ音色を配置するのも良さそうです。
ゾーン(スライダー)はリズムマシンや外部音源、レイヤーの調整など色々アサインできるので、9本という数を活かせれるとパフォーマンスの向上は間違い無いでしょう。
(スライダーは9本ですが、ゾーンとして使えるのは8つ)
あとはやはり、ドローバーのサウンド作りでもようやく真価を発揮します。
制御する音源別に赤と緑でLEDカラーで分けたのはいいですね。あと数値がLEDで表示されるのは視認性は抜群です。
ただ、操作できるコントローラーが一気に広がりすぎているので、従来のユーザーや、本当に最低限の機能のステージピアノを求める方には不要なボタン類が多いのも事実。
自分で必要かどうかを見極めることも重要になってきますね。
全体的な感想
圧倒的に違うのはやはりインターフェース/コントローラー部分。
この辺を中心に大きく進化しましたが、その機能をフル活用するには弾き手のアイデアも重要になってきます。
値段的には従来の製品が現行機種だった時と同じ価格なので、それを考えると素晴らしいステージピアノなのは間違いありません。
これからステージピアノ買う人でメーカーに拘りがないのであれば、 RD-2000 一択でOKでしょう。本当に素晴らしい仕上がりです。
ただ注意したいのが、私の様に従来の製品を使っている人が買い換えるべきか、と言われたら本当に迷いどころかも (いや、お金に余裕あるなら当然欲しいw)
私の場合、作曲に転向してしまったのもありますが、やっぱりサウンドやタッチなどはブラッシュアップはあれど、確かに普通に使う分には RD700GX あたりで十分完成されているのも事実。
買い換え検討中の方は、ライブでどこまで使うかで判断してからの方が良さそうです。
音楽の表現は日々進化していますし、DAW や外部音源との連携を使った表現を柔軟にするインターフェースはとても便利だと思いますので、そのような使い方をしたい人にとっては注目のピアノですね。
また、やはり V-Piano が搭載されてる部分が一番購入意欲を沸かせますね。
Roland のピアノの音色は本当に良い。
V-Piano は単機で50万以上する上にピアノだけに特化した製品。
私も含め買おうにも変えなかった人は多いと思いますので、その音源もついでに使える、というのは正直羨ましい話。
V-Piano 自体の醸し出すオーラ、唯一無二のあのデザインは V-Piano 独自のものですが、音源部分が RD で使えるのは最高です、しかもタッチも進化していますしw
最後に
色々な演奏表現が出来る人にとってはハイコスパなステージピアノ。
相当に進化しているので完全にプロユーザー向けとも言えますが、機能を少しずつ学んでいけば値段以上の価値を発揮すると思うので、初めてステージピアノ買う人にもぜひオススメしたいですね。
ネットで見るだけでは分からないことも多いので、当たり前ですが買い換えたい人は必ず試奏してからの方が良いと思います。
私はNX持ってなかったら絶対買ってるレベル、本当に良いピアノ。
ステージピアノを持ってなくて買おうか迷っている人、絶対満足出来るので買っちゃって良いと思います。