ファイナルファンタジー3 のゲーム音楽レビュー
#7 悠久の風
悠久の風は、FF3のフィールドで流れる曲ですが、もはやこの曲はFF3の世界観を表現しきっていると言ってもいいでしょう。
ファイナルファンタジー3=悠久の風
私も色々考えましたが、これ以外に表現方法が思い浮かびません。
この曲で思いっきりFF3の世界観を感じたユーザーは多いのではないでしょうか?
(風に導かれるままに、ここから主人公たちの旅が始まる。物語の最後までこの曲は聴くことができる。)
プレイヤーとしての視点
バトル1と同じくらい聴くことになるこの曲は、恐らくプレイヤーが人生を終えるまで記憶に残る曲の一つになるのではないでしょうか。
ファイナルファンタジーのフィールドのテーマはそのナンバリングの顔といっても過言ではありません。どこか懐かしく、そして哀愁が漂うメロディですね。
作曲者としての視点
この曲の構成は
イントロ→主題→展開→リピート
ストレートな構成ですが、その代わり音響的な演出面で工夫があります。
イントロ
イントロは矩形波を微妙にずらして鳴らすことによって「ディレイ効果」を実現しています。それによって音が分厚く聴こえ、空間の広さの演出に成功しています。ディレイとはエフェクターの一種でも使用されますが、元々の意味は「遅延」で、原音の後に追従して音が鳴るようなイメージが分かりやすいと思います。
「タラタラタラ、ッタラッタッタラッタ」
このフレーズの後ろで同じフレーズの矩形波が小さめに鳴っています。さらにそれを少し遅らせて鳴らすことによって、広い空間を演出しています。
広い場所で発声すると音が遅れて聴こえるという現象を逆手にとり、逆に音が遅れて聴こえさせることによって、広い場所のようなイメージを作り出しているんですね〜。イントロはこのフレーズしか無いため、この表現の為だけに矩形波を贅沢に使用しています。
主題→展開
ここからの低音の三角波が登場します。このベースラインは非常に作り込まれていて、3つの音が全て互いの弱点を補ってますね。イントロで登場した矩形波のフレーズは単音でずっと奥で鳴り続けます。単音になりイントロのような空間の広がりは無くなりますが、ノリの良い三角波のベースラインに加えて、もう一方の矩形波のメロディが登場し、悠久の風のテーマが始まります。ベースの音が大きいのがノリを良くしている要因の一つでしょう。やはり歌うようなラインです。
メロディがシンプルなのに、イントロのリフが曲全体の印象を維持しながら、ベースラインとぶつからないようにノリの良いサウンドを生み出しています。
次回は