ファイナルファンタジー外伝「聖剣伝説」の音楽
伊藤賢治氏(以下イトケンさん)
ファンから「イトケン節」と呼ばれるくらいそのスーパーメロディを生み出すのがイトケンさんです。イトケンさんはロマンシングサガ(通称ロマサガ)の音楽で有名ですが初代の聖剣伝説の音楽を作曲されています。
FF、ロマサガなどに並ぶスクウェアアクションRPGの代表作
聖剣伝説は「ファイナルファンタジー外伝」という位置づけで世に出ました。FF外伝としてFFブランドを持ちながらにしてゲームボーイをプラットフォームとして1991年に発売されたアクションRPGで、私も当時夢中になってプレイしました。今プレイしても全然楽しめます。完成度が非常に高い作品ですが、その理由の一つに音楽が上げられることは言うまでもありません。
ピアノアレンジの方向性
前回のFFのピアノアレンジはメロディの断片を使用した即興演奏でしたが、今回もそれに近い弾き方をしている曲もあります。原曲重視のアレンジだとゲーム音楽の場合1ループが短いのでなかなか展開的に難しいのですが。。。
Rising Sun ~ライジングサン~
(ライジングサンは聖剣伝説をプレイした人なら誰もが知るオープニングテーマですね。イトケンさんらしいとても美しい旋律です)
このライジングサンという曲は実は聖剣伝説シリーズ中1と4しか出てきません。2と3は菊田裕樹さんという方が音楽を担当されています。菊田さんはゲーム音楽だけでなく漫画やシナリオやゲームデザインなど何でもこなすマルチプレイヤーとして活躍しています。スクウェアの黄金期時代の作曲家ですね。
Endless Battlefield ~果てしなき戦場~
(前半のフィールドで流れる何回も耳にする曲です。リズムを出す為には左手のパターンをどうするか悩みました(汗) なるべく静と動を意識してオクターブ奏法をメインにダイナミックでシンプルに弾きました。)
サガシリーズを予感させるメロディたち
イトケンさんと言えばバトルの曲が印象深いですね。7thコードやディミニッシュコードを「ここぞ!」という時に使うセンスでイトケン節を確立しました。メロディが良いのは言うまでもないのですが、このパターンによりさらにメロディ展開を印象深いものにしています。
Battle #2 ~戦闘2~
(秘宝伝説サガ2のバトル曲も良いですが、バトルの曲のメロディはこの頃からイトケン節を確立しつつありますね)
ピアノアレンジの魅力
これは私の価値観なのですが、曲をピアノアレンジする時、やはり「元がゲーム音源」というのが最大の魅力だと思っています。理由は、原曲がゲームの音だと言うだけで、それをそのままピアノで弾いただけでもその「差」に感動があります。そしてそこに「プレイした記憶や思い出」が付加されてよみがえるのでさらに感動です。これが私がゲーム音楽が好きな最大の理由です。
一つの曲としての価値
人によっては、ゲームの思い出や補正などを抜きにして純粋に音楽だけの評価を求めようとしたりする場合がありますが、そもそもゲーム音楽に限らず人によってその音楽(曲)との関係が様々です。なのでその討論は無意味だと思っていますが、ゲームの音楽である以上、ゲーム無しではその良さは完全なものとならないと思ってます。たとえ音楽が良くともゲームシステムやデザインがダメなら音楽との相乗効果は見込めません。両方とも良いものが合わさって人々の印象に残るゲームになると思います。もちろんゲームから独立して音楽だけでも十分な作品として成り立つと評価される作品もあります。