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ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。4月はバトル系の素材曲を作っています。健康第一。

【作曲】ゲームのBGM『音楽素材』における『短いループ曲』を作る時の考え方

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音楽素材は、作曲者が曲が使用される用途を想定して一方的に配布するスタイル。

なので、使う側は基本的にオーダー出来ないですが、その代わり「無料」「好きに選べる」と言うメリットがあります。

音楽やBGMは基本的に「使われるもの」になります。なのでいくら自由に作るとはいえ、使い手や、使うコンテンツを中心に考える事が多いと思います。

今日は「無料で配布する音楽素材」における尺の長さについて考えてみます。

目次

はじめに

私はRPGツクールなどをはじめとした「ゲームで使われていそうな音楽」をイメージして作曲していますが、曲の長さ「尺」について色々と普段から考えています。

それは「どのくらいが適正なのか」と言うことです。

「そりゃ何に使うか、どんな場面で使うか、どう表現したいかによるでしょ」

ごもっともです。

ただそれは作り手と一緒にコミュニケーションを図りながら作り上げる場合の話で、音楽素材として一方的に配っている以上、出来る限り需要がある方、求められている方へシフトしたいのが正直な思いです。

そして、自分自身もゲームをプレイしていて「BGM、このくらいのループで十分だな」と感じる事が結構あります。

ループサウンドに対して感じること

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もともとは、音楽のファイル要領を意識しての短い時間で充実させる、または完結させる事が目的であったと推測します。

いわゆる「必要以上なことをしない」と言うことですね。

要領は少ないに越したことはありませんし、昔のゲームは常にメモリーとの戦いであったようなので、全体を通して逆算していきます。

テキスト、グラフィック、BGM、まだ色々あると思いますが、どれも工夫すれば削れる部分というのは出てくると思います。ただそれは、MAXが決められていて、それに合わす必要がある場合です。

そして、ゲーム、コンテンツによって何が優先かは当然変わってくるでしょう。

作曲者の個人的な思い

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作曲者自身は「もっとこう展開したい」「2週目は音数増やして・・・」みたいな欲望が出てきてしまいます。

当然ですが、一曲に対してなるべく凝りたいに決まってますし、メロディアスなメロディ、展開が期待できそうであれば、歌モノのような充実さを図りたいでしょう。

しかし、そうした作曲者の個人的な思いは、オリジナルサウンドトラックとは別で発売される「アレンジアルバム」で昇華されている事が多いのです。

ただ本編でその展開、規模が必要か、と言われたら「あったら確かにいいけど、なくてもいいでしょ」って感じること、かなりあるんですね。

それは、そこまで切り詰めなければ分からない感覚だったりしますが、こういう感覚よくありませんか?

「100文字で、この作品の良いところを語ってください」

そう言われたら、無駄な言葉や閉鎖的な言葉、イメージが広がらない言葉はなるべく避けて、短文で密度の深さを表現できることを選びます。

でもその前提が「まず書いてみないと分からない」というのがあります。

全体を決めてから、これだけの容量を与えるからなんとかしてくれ、という。

もともとそういった背景があったと思います。

「1分程度」と大体決めている

私は色々な音楽素材を聴いてきて、衝撃を受けた音楽素材が「Senses Circuit」さんのショートループ素材。

www.senses-circuit.com

この中で

フリーループ(Loop)BGM素材[激しい、緊張、緊迫]

というカテゴリーがあります。

10数秒から30秒程度のループ素材ですが、これらを聴いた時に「これで十分だわ」と思ってしまい、さらに「曲が展開したりする意味ってなんだろう」とよく考えるようになりました。

これらに影響を受けて、最近では1分程度でループしても違和感がないような、充実するような作り方を目指しています。

以前の作り方

ループすることはイメージしていますが、長さや展開までも「最低限」という言葉は自分にはありませんでしたから、やはり2分以上いってるものが多いですね。

しかし、意識してこの尺、と考えて作るようになってからは、少なくとも自分にとって色々とメリットがありました。

これは音楽素材を作るに当たってはもちろん、作曲を数多くこなす、という意味も含めてです。

短く作るメリット

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まず、得れることは「ツボを抑える事が出来る」「早く作れる」「悩まなくて済む」というのが大きいです。

それによって、早く作れるということは、つまりすぐに完成するわけなので、当然ですがモチベーションが上がります。

やはり、曲が完成する瞬間というのは一番嬉しい瞬間なのです。

それが短いスパンで続くわけですから、モチベーションが維持され「次の曲を作るハードルを下げる事ができる」というのが非常に大きいです。

(これがブログでもできたらいいけどw)

活動していくにあたって、クリエイターは数を熟さなければならない、というハードルがまずあると思っています。

それは、たくさん作らなければ分からない事が本当に多いからなんですよね。

私も毎回毎回一曲作るたびに発見と反省の繰り返しで、本当に楽しいと同時に「これは新たに気をつけなきゃダメなやつやな」とかホント色々あります。

このように、作曲者にとっても短いループサウンドの作成は「作曲の登竜門」みたいな感じでオススメなんですね。

(これを私は自然に学べたので結果論なんですが)

なかなか曲が完成させられない段階であれば、これは絶対にオススメです。

それを熟していくと、まず作曲に慣れる事ができるのです。

もちろん、たくさん作りたいか、一曲に時間を費やしたいか、曲つくりの目的は人によります。

短いループは、手抜きなのか?

次に「短く作る事が、手抜きかどうか」というテーマについて

私も曲作ってない時は、これ結構思ってたりしたんですよね。なので、そう思う人も中にはいるのかもしれません。

ただこの場合、短いからではなくて、曲自体が充実していないか、使う場面にマッチしていないかが大きいと思います。

「短くても良いものはいい」

これはやっぱりコンテンツの規模 (ここではゲームとします) の影響もあると思ってます。

最近のアプリとか

では、小さい規模で作られたゲームの場合はどう思いますか?

無料のちょっとしたアプリをやっていると、内容によってはこのくらいの曲の長さで十分って思うのですが、それはゲームの場面自体がそれほど展開せず、その瞬間瞬間を表現するための曲、だから短くて十分なんだと思っています。

または、その画面、シーンをプレイヤーは時間にしてどのくらい体験することになるのか、それによっても当てはめる曲の適正なループ時間が変わってきます。

規模が小さい、というのは手抜きということはなく、そういう種類、属性であること、という意味です。

実際そう言った規模のゲームは存在しますし、それが良い悪いではありません。

作品を公開してく事で制作者は成長しますし、そのためには練習で作ってみた、というような規模のゲームも中にはあります。

でも、1時間でクリアできるゲームでもまとまってれば素晴らしいですよね。

それは、グラフィックや音楽にも同じ事が言えるのではないでしょうか?

密度と展開

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音楽や多くのコンテンツは「時間」を消費して体験します。

つまり「時間軸」があるんですね。

「横(時間経過)」「縦(密度)」が存在します。

*ここでの曲は「メロディがある曲」を前提として例にあげます

例えば、音楽を聴くにあたって、音圧とかゴージャスさ、プロっぽさ、は正直「密度」つまり「縦のライン」が充実して入ればそう聞こえる、感じる事が多いです。

トラックを重ねれば音は厚くなりますし、それが適正な重ね方であればなお良いです。

しかし、曲の良さは「展開」つまり「横のライン」でも勝負できます。

メロディで勝負する、というのはこれですよね? メロディは横に移動しますから。

そのメロディを最大限に伝えるのが、縦の役割、密度の差です。

どれだけ縦を充実 (トラックを重ねる) させても、展開に乏しければダメです。時間が進まなければ曲という情報を伝えれないためです。

ですが、横は縦に比べて伝えれる情報が多いのです。それは時間が縦よりも使えるという事が大きいんですね。

「縦と横の良いところを組み合わせる」

どちらも必要な縦と横の関係。

そして、短いループサウンドは、この両方の良いところを組み合わせた一つの境地です。

短いことについて考える

なぜ「短い」という事がテーマになってくるのでしょうか?

それは長い、大きい、たくさん、ある方が情報は多いので、充実することは当たり前なんですね。ですが、どんなことでも「過剰」という言葉があります。

ありすぎても仕方ない、多すぎても逆に伝えたい事が伝わらない。

私はよく友人に「曲展開しすぎ」と言われる事があり、もちろん目的にもよりますが、やはり一曲に色々組み込むと、汎用性が無くなります。

「前半の雰囲気はいいのに、違う感じに展開しちゃうから使えない」

このことを理解した上で短いサウンドを作ることを考えていくと、短い曲の作り方やイメージが変わると思うんです。

もちろん、色々な音楽、BGM、表現がありますから、これは曲作りの一つの例に過ぎませんが、私は短いループサウンドに対してこんな考え方を取り入れています。

短い時間でそれが作れるなら、それは作り手にもメリットがありますし、コンテンツを体験する人にとっても「必要にして十分な体験」が実現できると思います。

つまり「なんでも長ければ、短ければ良いという話ではない」ということですね。

だから難しいんですが・・・。

最後に

短く伝える、最少量で表現する、というのはどの分野でも永遠の課題だと思います。

本記事では音楽、BGMをテーマに書いてみましたが、絵でも文章でも同じ事が言えると思いますし、逆に言えば、長くするならそれなりに全体を見て仕上げなければならないのです。

つまり「作曲は短いループからやってみるのがオススメ」ですね。

同時に、短く最大に表現する、というのはある程度曲作ってきてからもぶち当たる壁で、同時にすごく挑戦しがいのあるテーマ。

(そして私の次の課題は、長い曲を作る事、へと続くのです)