ファイナルファンタジー3 のゲーム音楽レビュー
#4 クリスタルルーム
クリスタルルームとは、その名の通り
風、火、水、土のクリスタルがある部屋にたどり着いた時に流れる曲です。
(上記の4つの他にも闇のクリスタル、黄金のクリスタルというのも一応ある)
なので「クリスタルのある洞窟」と大体セットになる曲ですね。
(風のクリスタル。ビッシリと水晶に囲まれた部屋で、主人公たちが近づくとクリスタルは輝き出し、彼らに話しかける。)
(水のクリスタル。時には避けて通れない悲しいイベントが主人公たちを待ち受ける。エリアは水の巫女。)
この他にも火、土、黄金、闇などのクリスタルもあるが、それぞれのクリスタルの部屋では様々な能力を持つボスとイベントが待ち受ける。
(余談ですが、金を生み出す「黄金のクリスタル」はドーガが作り出した偽物なんですが、中盤にゴールドルというやつが主人公たちがクリスタルを奪いに来たと勘違いし襲いかかります。(単に主人公たちは船の鎖を解いてほしかっただけなのだがw) そして倒した後にクリスタルを奪われたく無いが為に破壊してしまいます。ゴールドルは超勘違い野郎なんですw。まぁいらないんで良いんですがw)
プレイヤーとしての視点
この曲を聴いた時は不気味な印象を受けたのを覚えています。
その理由は音とか音階だとか色々あるのですが、プレリュードと曲調が似ているにも関わらず、暗くて、何か無機質なイメージを感じたのが原因だと思います。
FF2などではクリスタルのある部屋ではプレリュードが流れますが
FF3では新たにクリスタルのイメージを演出したかったのでしょうか。
FF=クリスタル=アルペジオ=プレリュード
私の中で、クリスタルはこんなイメージでした。
(クリスタルは各ダンジョンの最深階にあるんですが、スーファミなどと違ってボス前にセーブポイントやテントのようなキャンプアイテムが無いんですねぇ汗。 初回プレイではボスの強さやダンジョンの長さ、ボスとの相性が良いジョブも分からないし、MPの残量も気にしなくてはならない。その為かなりレベルに余裕が無いと純粋な初回プレイでは厳しいものがあるんですねぇ汗。)
作曲者としての視点
この曲の構成は基本的にはストレートで、特に曲的な展開はありません。
音階が変化するくらいですが、それよりも、どちらかといえばこの曲は曲展開よりも、音階の工夫によってより「空間」を演出していると思います。
この曲は少し複雑な音階で構成されています。
Fm7-5 Dmaj7-5 F♯m7-5/A A♭m7-5
まずは7th(四和音)であることと(セブンスコード)、-5(減5度)であること。
次に4つのコードの内、3つはマイナーコード(暗い和音)で、1つはメジャーコードの組み合わせであること。
Dはメジャーコードですが、メジャーコードの7thに-5を足すのも凄いセンスです。
(さすが植松さん...驚)
それをマイナーコードの7thの間に入れるので、普通に考えると4つ全部マイナーコードにしても良い気がしますが、あえてDだけメジャーにしたと考えて良いでしょう。
基本的に狙って使うコードになりますので、こういった知識があると引き出しが増えますね。
クリスタルルームのコード構成
Fm7-5 Dmaj7-5 F♯m7-5/A A♭m7-5
(F♯m7-5だけ低音がAの始まりで、コードの和音の形が変化する。これを「転回系」と呼ぶ。)
このコードの音階を低音から順番に16
分音符で上昇するだけで曲が構成されています。
全コードに共通している「-5」というこの音が入ると
暗くて不気味な雰囲気を作り出します。
また、この「-5」は減5度とか「♭5」フラットファイブなどと呼ばれるコードで
コードの5度の音を半音下げた音になります。
この音はジャズやブルーズの世界では「ブルーノート」と呼ばれていますが、ここでは割合します。
一定の音量、テンポで無機質にリピートすることによって、その独特な雰囲気をより一層高めています。またやはりPSG音源だというのが無機質を相乗させている要因だと思います。
幻想的な雰囲気と言えなくも無いですが、いずれにしても少し薄暗い大空間で人知を超えた何かと対峙する雰囲気を感じます。
次回は