ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【作曲】BGMの作曲で『曲の聴き心地』を良くするために意識していること

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Photo by  bark

BGM を作っていると、ちょっとしたバランス加減が聴き心地を左右したりします。

私の場合結構時間が経ってから気づくことが多く、メモっとかないとアップした後に気づくことも少なくありません。

毎回忘れがちになる最後の仕上げをちょっとだけ書いてみようと思います。

目次

フェードアウト

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「フェードアウト」は色々使い方がありますが、大体はループを繰り返して音が最小になっていくという表現です。

ゲーム音楽を始めとしたループミュージックは、サウンドトラックで一曲として聴くときには基本的には殆どフェードアウトで曲が終わるようになっています。

ループ処理を行う場合は別ですが、一曲として聴く時には「どこのタイミングでフェードアウトするか」というのが大事だったりします。

「フェードアウトの位置が悪い」「消え方が雑」「1ループは短い」

曲の構成が特殊なものもあったりしますが、基本的には「2ループ+3ループ目頭でフェードアウト」にしています。

「曲が2周聴けて、頭でフェードアウト」私は基本このように処理してます。

また音が完全に無くなってからの余韻を気にする人も中にはいます (はい、私)

音が段々消えて (フェードアウト) も、すぐに曲が終了したら何か「プチっ」ていきなり終わった感になります。

完全に音が消えて、テンポにもよりますが3~5秒くらい余韻を残すといい感じです。

フェードイン

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フェードインは基本的に「ムードを作りたい時」に使ったりします。

私の場合、アンビエントや、ヒーリング・ミュージックではほぼ必須で使いますが、基本的にフェードインは「後からでも出来ること」になります。

原曲があれば、それを動画ソフトなり、再度 DAW に読み込めばなんだって出来ますし、曲同士を繋げてメドレーにする場合も同じです。

逆に頭から普通に一定の音量で流したい場合は、最初からフェードインで仕上げてしまうと戻せませんが、このように施してないものが原曲であれば両方使えると思います。

(あくまでこれは、フリー素材として一方的に配っている場合の事例ですが)

最近のフェードインの使い方

最近ではちょっとだけフェードインをして曲が流れるようにしています。

全ての曲ではないですが、街やゆったりした曲、頭から全てのアンサンブルが重なってスタートする感じの曲など。

ほんとに少〜しフェードインしてあげるだけで、聴き心地が違ってきたりします。

夜路

陽気

例えばこの二曲は、ループも含む曲頭では少しフェードインさせています。

以前、サイトを作ってくれてる友人に「いきなり音が出てビックリするな」という感じな話になり、それから意識するようになりました。

最初からノリノリな曲はまた違いますが、そういうものとは違う場合、念のためにどちらが良いか試してみるのも良いかもしれません。

フェードインは後からでも処理出来ますが、マスターボリュームではなく、楽器単体のトラック別でフェードインさせたりも良いと思います。

その場合は大抵、アタックが強い要素の楽器のメロディだったりしますが・・・。

曲の出だしちょっとキツイな、びっくりするかな、という風に感じたら少しだけ下げてみると「スッ」と聴けるかもしれません。

ボリュームオートメーション

音量 (ボリューム) のオートメーション (パラメーターの変化値) を設定すると、音楽に表情がつきますので、オススメです。

特に一定のループ、シーケンスパターンを繰り返すトラックについては、私はジグザグ型に音量のオートメーションを書くことが多いです。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

こちらの記事でも書きましたが、同じフレーズを繰り返す場合、これだけで曲に変化を付加させれるので何もしないよりは飽きることを防げます。

Star Rain

Forest Growth

8分、16分音符の同じフレーズ。

やはりずっと同じ音量で流れていたら嫌でも耳に付いてしまいますし、例えベロシティをランダマイズ (強弱をつける) しても、あまりに繰り返す場合、やはり一定の音量では不快に聴こえてきます。

これは SoundCloud で曲をアップしていたら、ある人物が私にコメントで助言してくれたことが意識するキッカケになりました。

「そのシンセのフレーズめちゃいいんだけど、一定の音量じゃなくてボリュームを書くともっと表現力が上がると思うよ」

自分自身で効果を実感できれば、ぜひ取り入れたいですね。

イコライザー (低音〜高音)

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マスターEQ はもちろん、トラック毎に不要な周波数、成分をカットしたり、逆に音を太くしたり持ち上げたい時に付加するなどバランスを調整しています。

音に特徴をもたせたい場合は本記事のテーマと逸れますが、再生媒体 (スピーカーの再現力) によっては中域〜高音域がうるさかったりします。

そこで EQ でその成分をカットします。

しかし難しいのが、カットし過ぎるとバウンス後にその楽器本来の「味」「表現力」みたいなのが消えてしまう時があります。

でもカットしないとうるさかったりと、その加減が難しいですね。

例えば、最近だと和風の曲で 琴/亊 の音色を使っていますが、普通に弾くと中域が強めですが、逆にそれが琴の特徴のような気もします。

そのままスマホ、MacBook などで聴くと結構中域〜高音域がキツかったりします。

結局は、それらの媒体、スピーカーの再現力に依存するからですね。

小さい再生媒体だと低音が弱い事が多いです。ただ単に「低音の迫力が無い」というだけでなく、低音が出ないことによってキンキンに聴こえたりとバランスが悪くなるので、無いだけで失うものが結構多いです。

低音が弱すぎて上モノだけでは意図したコード感が感じられなくなることもあります。

少々面倒かもしれませんが、デモを書き出して色々な媒体で再生してみてから最終的な数字を決定しても良いと思います。

リバーブ

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リバーブのかけ具合をこだわる人も多いのではないでしょうか。

私自身もなかなか掴めませんが、曲の聴き心地を左右する重要なパラメーターなのでこだわりたいですね。

私はリバーブ好きな方ですが、やはり人によって強めが好きな人もいるようです。

PC で聴くとバランス良く聴こえてもスマホで聴くと結構リバーブや高音が強いと感じることも少なくありません (聴く部屋や環境にもよりますが)

リバーブもマスタートラックでかける場合は先ほどと同様に、原曲でかけすぎてしまうと書き出した後に削ぎ落とすことは難しいので、基本的に迷ったら足らないくらい、が良いとは思います。

金物はスマホなどのスピーカーでは結構目立つ (中域〜高音) ので、リバーブで背景に溶け込ませてなおかつ輪郭は失わないようにしています。

個人的に金物系は、PC のスピーカーであまり聴こえないくらいが、スマホなどで丁度良いくらいと感じています。

最後に

まだまだ色々ありますが簡単に書き出してみました。

色々なパラメーターがありますが、効果を実感出来ているものだけをまずは確実に押さえるのが大事だと思います。

ジャンルによって必要なものが違うので、人によって使うパラメーター、作り方は全然違うでしょうね・・・。

曲が良くても、それ以外の部分で不快感が出てしまうと凄くもったいないので、なるべく聴いていて心地良いように仕上げていきたいですね。