私は歌モノではなくインストを作る人なのですが、今回ご紹介する
「サントラ、BGMの作曲法」はまさにそんな人へおすすめしたい本です。
結構人気のある本みたいで、何度かリニューアルしてますね。
インスト、BGMが作りたいと思ってる人は値段分の価値以上に回収できる内容です。
目次
- この本をオススメしたい人
- 著者
- この本のいいところ
- この本の注意点
- 映像シーンの演出を表現する曲の作り方
- サントラを作るのが初めての人
- サントラ制作経験者の中級者
- 理論
- ショートミュージック
- その他
- 終わりに
この本をオススメしたい人
- ゲームミュージックやサントラを作りたい人
- 簡単な劇伴を作りたい人 (動画とか)
- ゲームなどのジングル、効果音 (SE) の作り方を知りたい人
- BGMの考え方を知りたい人
- 簡単にピアノが弾けて、最低限譜面が読める人
ざっくりとこんな感じですね。
歌ものを作っている人にはほとんど役に立たない内容なので、題名どおりサウンドトラックを作りたい人に為に書かれた本になります。
作ってみたいなぁ、では無く「作ってやる!」くらいの意気込みでみていきましょう。
著者
岡 素世 さん
元、任天堂のコンポーザーでマリオカートやシムシティなどに携わられた方みたいで、ゲーム音楽のプロが書いた本という感じですね。
だから読んでてすごくわかりやすいんだな、って思いました。
ゲーム音楽作りたい人は読んでいい本です。
この本のいいところ
- シーン別に特徴を押さえた情報がまとまっている
- 理論はスケールとコード、リズムの基礎が中心
- サントラが好きな人は読むだけでも共感できる内容になってる説明文
- 譜例別に、メロディの指定楽器、リバーブ多めなどの指示がある (goodポイント)
- 無駄なページがない、その為本は110ページで読みやすい
- 全体的に細かい配慮が多い
普通なら譜例を用意して「こんな感じだよ」って終わりですが、どんな楽器を使うと良いかが載ってますので、雰囲気を出す時に参考になると思います。
例えば、メロディはストリングス、ピアノ、クラリネット、などの指定があります。
なので、その音色で譜例を弾くと、しっかりと雰囲気を掴めますね。
慣れてる人はピアノで弾いても音色をイメージできると思いますが、初心者に対しての配慮が行き届いてるところがグッド。
この本の注意点
色々なシーンの譜例やアプローチが載っていますが、あくまで「ピアノ譜での表現」にとどめられています。
サウンドトラックを作る場合、色々な楽器の音色を使うことになりますが、その中核となる譜例になります。
なので、そう言った「曲自体が持つ要素」を理解することが目的となります。
そこから自分で音色を変えたら、リズムを加えたらどうなるかなぁ、などという発想が必要になってきます。
映像シーンの演出を表現する曲の作り方
サントラには欠かせない「シーン別に作られる音楽」の数々。
歌ものと違った、色々な音楽知識、文化、音楽ジャンルの勉強が必要になってきますが、そういった要素を「勇者の冒険」「バトル」という具体的なシーンから「夏、秋」「悪い展開」「和風、インド」のような例えで譜例が用意されています。
なので「あ、確かにそんな感じだな〜」ってな感じでスラスラ読めますね。
あくまで各シーンに対して1つの譜例なので、当然1つのシーンに対して1パターンという内容ですが、それでも一冊で幅広いジャンルの譜例を見ることができます。
対象としては、サントラを作り出した人、作ってみたい人向けですが、コード進行に対するスケール理論が出てきます。
それを理解しようとすると難しくなるので、その辺りは後付け的な読み方でもいいと思います。
そこで、私なりのこの本の使い方を紹介します。
サントラを作るのが初めての人
歌ものを作る人はスケール理論を知らない人が多いと思います。
主にバンドや楽器のアドリブでソロなどを弾くとき習得することが多いからですね。
前半ではスケールが紹介され、譜例の曲がどんなスケールで作られているかが表示されていたり、どんなコード進行時にアプローチしているか、効果が出るのかが解説されています。
しかし、初心者がこれを読んでも多分わからないと思いますので、まずは譜例をピアノで弾いてみて、雰囲気をつかむことをオススメします。
そのあとに「リズム」と「コード進行」に着目してほしいです。
というのも、
シーン別のBGMを作る上で大事な要素は「リズム」と「コード」です。
メロディは最悪、無くてもよくて、コードやリズムで雰囲気を作ることでBGMが成立してしまうことも多いんですね。
BGMの作曲は、色々なリズムとコード進行を知ることで、幅広い音楽ジャンルに対応できるようになると思ってます。
メロディももちろん大事ですが、歌ものに比べて必須ではないので、最初はスケール理論は飛ばしても色々と学べることは多いです。
譜例に書いてあるメロディを弾いて感じを掴む、くらいできればOKです。
サントラ制作経験者の中級者
私みたいな人に対しては「確認、おさらい、新たな発見」で使えます。
色々な音楽を聴いて、とりあえず自分なりにいろんなシーンの曲を作ってきたけど、それらは改めて解説するとどんな説明になるのか?
読んでると「ふむふむ、そうだよねやっぱ」って感じ。
そんな内容になってますので、復習も兼ねて、コードアプローチ、リズム、スケールの大切さが改めて重要だと気づく内容です。
私は読んでて、自分が感覚でやってきたことを作者がまとめてくれたな、って思うくらい、色々と共感できる部分が多かったです。
音楽の三大要素
- メロディ
- ハーモニー
- リズム
譜例はメロディ、ベースが基本ですが、必要なシーンではドラムのリズム譜が載ってます。
作者の岡さんは、おそらくこの3点が大事だと押さえて、譜例を作ってます。
作曲を長くやってると、音楽の三大要素がどれだけ大事か思い知らされることが多いのですが、それを改めて認識できると思います。
理論
ダイアトニックからセカンダリードミナント、ダブルドミナントなどに触れており、スケールも最低限のものは載っています。
コードもテンションまで一通り抑えてあり、メロディからテンションノートへのアプローチも少し書いてあります。
ところどころ「なんちゃって」的な雰囲気の出し方も載ってるので、そういう軽さから学んでいく方が近道だと思うんです。
とにかく「曲を作ることの方が大事」なのは変わりないですから。
自分も曲作る時そうだったし、今でもそんな感じだったりします。
ショートミュージック
ここは岡さんならではというか、効果音やサウンドロゴみたいなジングルの作り方、考え方のアドバイスも載ってます。
この辺は数ページだけおまけみたいな感じですが、嬉しい内容です。
半音階や広いアルペジオなど、通常の作曲ではイメージしにくい譜例が少し載ってるので面白いですね。
その他
他にも「楽器ならではの奏法、使い方」も少し載ってます。
全部を説明出来なかったためか、楽器が絞って載ってますが、よく使う手法だったりするのでこの辺もおすすめですね。
キーボードやシンセサイザーを弾く経験がない人には参考になると思います。
全体的に細かい配慮が多く、機械的な説明になってないのがポイント。
譜例ごとに、ピアノ高音を活かすとか、そういう細かいアドバイスがたくさん載っているので、パラパラ好きなページを見ても参考になったりします。
終わりに
作曲の本はたくさんありますが、やたら理論だけで分厚かったりと上級者向けに抽象的に書かれた本が多いですよね。
音楽を本で解説するって難しいので無理もないです (泣
その点、この本はサウンドトラックへのアプローチに絞って書かれてますので、読む人の属性をある程度絞ってから書かれた内容になってます。
おそらくそこが理解しやすいポイントかな、と思いました。
ゲーム音楽だけに限らず、BGMの譜例を色々見て見たい人にオススメですね。