ボツ曲かどうかをジャッジする。
これは作曲を始めた頃はもちろん、ある程度慣れてきても発生する厄介なことです。
作曲のジャンルは色々ありますが、相変わらずBGMのケースで話を進めてみたいと思います。
依頼やお仕事で相手のイメージと合わなかったりな都合など、そういうパターンは当然意味が少し違うので除外して、自分の主観でボツ曲と判定を下す場合で考えてみたいと思います。
目次
ボツ曲のジャッジは基本「早めに」行うべき
自ら「ボツの烙印」を押印するのは勇気と決断が入りますが、世の中と同じで決断は早い方が良いです。
どのみちこの先新たに何曲も作ることになるので、今ここで目の前の微妙にまとまりそうにない曲にいつまでも時間を吸い取られてる場合ではありません。
株や投資と一緒で、いつまでも希望を抱いて死にかけてる銘柄を手放せない。
「いつまでもなんとかならねーかなここまで作ったんやし」
悩んだり (祈ったり) 少しフレーズや音色変えたりしても大してよくならない場合、はっきりって「この曲・・・この程度の変化で動じんのか・・・レベル足らんかったか」くらいに思った方が良いです。
そいつは仲間にならないので諦めて早くトドメをさしてあげてください。
ボツのジャッジは早ければ早いほど、次の曲を考える時間が増えます。
覚えておきたいのは、
「ボツにする前はボツにしない方がここまで作った時間の無駄を防止できると固執してしまう」
これはまだその段階では諦めてないので当然なんですが、実際諦めた時の時間と精神損失感は半端ないです。
何と自分はいつまでも戦っていたのか・・・いや、確かに予兆はあった。
少し変えたら良くなる場合は足掻いてみよう
上記とは逆に、何か1つフレーズが、音がダサいだけで惜しい、みたいなパターンも当然ですがあります。というか、それを期待しているわけですが・・・
で、そういうのは少し変えただけで「お前は水を得た魚かよ」ってくらい曲が良くなります。その感覚は誰でもあると思います。
それを基本は「修正」と呼びますが
「自分は今、思い通りに修正しているのか、ただ迷っているのか」
これを意識するとボツのジャッジが早いです。
(ただ、実際修正しているときに意識するのは容易ではありません)
迷っていると、いつの間にか修正視点がミクロになってしまうのです。
私はこれを「没沼くん」と読んでいますが・・・すでに全体で見れなくなっていることが多いので、体感的に時間の経過も恐ろしく早いです。
「ただ迷ってアンドゥアンドゥコマンドZ繰り返してたら1時間経ってた・・・」
お〜い没沼ぁ〜さっさと湯を捨てないと麺が伸びちまうぜ!!
目的のない航海
なんとなく作曲をし始めてしまうと、面白い音色やとっさに思いついたフレーズがなかなか良い感じで、きっかけはどうあれトラックを重ねて行くと形になっていきます。
その時にスムーズに完成まで至れば問題ないのですが、何かに悩み始めてしまう時があります。
その「何か」っていうのは人それぞれで抽象的な話になってしまいますが・・・
例えば私も最近だと、
イントロがなかなかかっこいいのが出来てのですが、どうもAメロが一気にダサい。
自分の直感が
「冷静になれ、そのAは絶対ダサいぞ。イントロがいいから迷ってるんだろ」
こういってるんですね。
(これは主観的な話なので実際ダサいかどうかは他人からすれば関係ないです)
ただその時、何の曲を作っているのか、この自覚がないまま作り始めてしまうと、ただ単に曲自体の雰囲気を良くしようと右往左往するだけになってしまってしまいがち。
目的もなく航海に出てどっか良い場所に着いたらいいな〜と当てもなく彷徨う
沈没船と金塊
イントロは割と数分でスムーズに出来ました。
そのあとそのまま勢いで録音してったAメロBメロの流れ。
流石に即興なのもあり、後から修正しようと思っていた・・・にも関わらず、それがうまくいかない。
気がついたらAメロだけで1時間も使っている、そしてその内容は相変わらずダメか大して変化なし。もしくは流れが合わない。イントロはあんな早かったのに・・・
その時考えていたことは
「このイントロはシーンに対して雰囲気が出てる、だから絶対良いはずなのでどうしても使いたい、生かしたい・・・だからAメロをよくするしかないんだ」
イントロが金塊だとして、それをどうしても捨てきれずに船からの脱出に間に合わなかった船長はどこのどいつだろう。
あの世で納得のいくAメロを見つけるのもいいけど、一旦全てを泡にして一から作り直してみるのも手です。命があれば何度でもやり直せる。
私はその方法を選択し、フレッシュな気持ちで全く違うフレーズから新たなイントロもAメロも作ることができました。
それも、Aメロに悩んでいた時間よりも早く。
まぁ必ずこういう結果になるわけでもないですが、私はこの方が粘るよりも上手くいってます。
人間ダメだと分かったら切り替えが大事です、恋愛と同じですね!
パーツだろうが、断片であろうが作った経験は無駄にはならないので、思い切って新たに作る方が早い場合は本当に多いです。
いつまでも1つのセクションに執着してミクロ視点になり、いつの間にかあたりは日没みたいなパターンからおさらばしましょう。
試しているのか、探しているのか
ここにこういう音色でこういうフレーズが来るとイメージ通りの結果になる。
イメージする音色に近いものを探しているのか、それともそれが何かもわかっていない状態でただひたすら「なんか合いそうな音色ねーかなー」って試しているだけなのか・・・
似ているように見えますが、たどり着こうとしている場所への「目的」が案外違うんですね。解決した時、結果論としては同じに見えますが。
地図を持っているのか、適当に進んでいるのか。
自分の経験が浅いうちは難しいし、どうしても最初は色々な音色を覚える必要があったりすると思います。すると試したり音色を視聴する時間も必要です。
ただ、最終的に合わなかったり間違っていてもいいので「自分がイメージしている音色を探す」という行動をしていくと、「適当に選ぶ」から「探す」に変わります。
「当たればいいな、ではなく、狙っていく」
例えばただなんとなく合いそうなのを探している場合と違って、「こんな感じの音」って絞れると、例えばその音は違う楽器で代用出来ないかな? とかなるわけです。
私も意外とこれが出来てなくて、ダラダラ順番に選んだりするだけになってしまってます。なるべく先に頑張って今まで聞いて来た音を想像してみる習慣も大事かと。
「ツクツクチキチクツクパーチーはぶぶ・・・・」
みたいな音なんだけどなー・・・クソぉねーな多分・・・
音色から曲のきっかけを得る場合は適当に選んだりするのも有効ですが、頭の中にイメージを作る癖をつけると、行き当たりばったりが減ると思います。
ちょっと脱線しました。
修正に関して、明確に目的を持ってイメージに近けようとしているのか、ただ闇雲にピアノロールでフレーズを上下運動させているのか。
まぁそれ私なんですけど。
作ってる曲が自分の得意分野かどうか
当然ですが、初めて作る曲調であったりする場合、音色の選定もフレーズの実験も含めて時間がかかります。
そういう時間のかかり方をしているのか、そうじゃないのか、というジャッジですね。
作ったこないジャンルははっきり言って最初は大変です。
それに関しては早くにボツにしてしまわず粘ってみるのも大事なので、早まった真似はしない方がいい時もあります。
逆に言えば、慣れているジャンルでそういうことが発生した場合は間違いなくボツ臭が漂っています。
「・・・臭うな、没沼・・・またお前なのか?」
ボツジャッジは自己責任でお願いします。
終わりに
ボツ曲かどうかを判断するのは難しく、決断を下すにも勇気が入ります。
積み上げてきたものを崩す、ぶっ壊す、無にする、それは一見時間損失に見えるから。
しかし紛れもなくボツ曲を作ったのは自分なので、ローラ間違えちゃったてへ、みたいな感じで切り替えて、新たなフレッシュな気持ちで作り始めましょう。
それでもダメなら、そもそも何を作ろうとしてるのかがボヤけていたり、もしくはイメージできてないかもしれません。
今まで作った曲よりもすごいのを作ってやろう、みたいなのはある意味ポジティブスランプなので、それがまとまらないのはまた別の話だと思ってます。
そうやって自分の失敗と成功パターンを覚えておくのが大事ですね。