激闘の末、ウオッチマンの巣より帰還したレオン達。安堵と共にホームベースに戻るが、城下町に足を踏み入れた瞬間、すぐさまその異変に気づく。
もはやそこはいつものアバロンではなかった。エントランスをガードしていた兵士達が倒れているのを発見し、ただ事ではないと判断した。
レオン「お前達、芝居はよせ・・・フリであろう?
・・・この日の悲劇は、アバロン史上最悪の歴史を刻む出来事となった。
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ヴィクトールの死
レオン「ヴィクトぉオオーーーーーーーール!!!!
異変を察知したレオン達はすぐさま城下町の中央で倒れているヴィクトールの姿を発見した。レオンとジェラールが率先し全力で駆けつけたが・・・もはや虫の息であった。
ヴィクトール「お・・・おやじ・・・。
レオン「しっかりしろヴィクトール!! 一体何があったのだっ、お前ほどの腕の者がこんな・・・くそ・・・どうなっている!!
ヴィクトール「く、クジンシー・・・ヤツがやってきた・・・。
レオン「な、なんだと!? クジンシーが来たのか!! ・・・クジンシー・・・そうか・・・あのクジンシーが・・・ヤツが来たのか・・・ くっそぉ・・・クジンシーめ・・・・クジ野郎・・・・・ん・・・ジェラールよ、一つ聞いてよいか?
ジェラール「どうしたオヤジ?
レオン「クジンシーって誰だっけ?
一同「(ずご〜〜〜ん)
「流し斬り」とは、ヴィクトールが最も得意だった大剣技の中でも中堅レベルの威力を持つ技である。対象者の腕力を低下させる追加効果もある。
-数分前-
ヴィクトール「貴様、何者だ!?
?「ックックック・・・威勢が良いのぅ・・・我が名は『クジンシー』なり。
ヴィクトール「な、クジンシー・・・七英雄だと!? 七英雄とはこんな不細工なのか(汗
クジンシー「ぐ・・・きさまぁ。
突如としてアバロンを襲ってきたのは、なんとあの伝説の七英雄の1人である「クジンシー」であった。ヴィクトールは瞬時に大剣を構えた。
相手が全力を出していない事を知りつつも、手始めに「巻き打ち」などの基本攻撃を繰り出す。だが、さほどクジンシーに攻撃が効いてる様子はない。
ヴィクトール「くそ、ならば・・・・これでどうだ!!
一気にケリを付けるべきだと判断したヴィクトールは、自身の最大の奥義で必殺にかかる!
その一切無駄の無い動きでクジンシーの懐へ駿足で潜り込む!!
必殺の一撃を喰らわす!! ズシャ!!
ヴィクトール「思い知ったか化け物め!!
クジンシー「なかなかやりおるな。だが・・・まだまだ若いわぁ!!
ヴィクトール「!?
クジンシー「喰らえ!!
ヴィクトール「!? な・・・なんだあの禍々しい剣は・・う・・生気が奪われる・・・クソーーーなんだこの技はーーーーうおぁああああ!!!!
クジンシーが魔剣を振りかざすと、まるで意思を持っているかのように化け物と同化した剣からおぞましい気が発生した。ヴィクトールは金縛りにあったかのように一切身動きが出来ない。
ヴィクトール「が・・・は・・・。
クジンシー「良い生命力じゃ・・・レオンはさらにこの上をいくじゃろうな・・・・。
クジンシーの持つ魔剣から放たれる禍々しい邪の波動によって、ヴィクトールの生気は一滴も残ることなく奪い去られた。時間にして一瞬の出来事であった。
レオン「なんだそのソウルなんちゃらとか言うふざけた技はーーー!! 反則ではないかーーー!! 死ぬなヴィクトーーール!!!
ヴィクトール「・・・おやじ・・・た、頼む・・・声が・・・うるさい。
レオン「すまん。
ヴィクトールは自分が何も出来なかった事に無念を抱く。そして、「この無念を晴らして欲しい」とレオンに託す。
ジェラール「兄貴ィーーーーーーーー!!!!
レオン「うおぉぉおおおおおおあおああああああーーー!!!!
ジェイムズ「レオン様・・・。
テレーズ「ひどい・・・。
ベア「 (うるさい親子だな)
ヴィクトールを手厚く埋葬し宮殿へ戻るも、長い沈黙が続いた。
レオンは1人葛藤していた。
最愛の息子の1人を死なせてしまった事、そして女魔導士の助言を軽視し、クジンシーを野放しにしてしまった自分への罪悪感。
全てが一瞬の出来事であったため、心の整理がまだ追いつかない。
だが、その沈黙を破ったのは、レオン自身だった。
兵士「っは! しかし、最低限の兵士とヴィクトール様だけを攻撃して去っていきました・・・まるで見せしめのように・・・。
レオン「バカたれ!! そんなことは一目瞭然だ!!
なぜヴィクトールを命がけで守らなかった!!
ジェラール「よせオヤジ。兄貴が死んだのはそいつのせいじゃない。
レオン「だってだって〜〜 こんなのあんまりじゃ〜!! (じたばた)
ジェラール「わめくなよ。
滝のような涙を流した後、レオンの顔がいつもの表情へと戻る。いや・・・その表情はまるで鬼神のようだった。
レオン「気を取り乱した許せよ。
兵士「敬礼〜
レオン「一つ頼まれてくれるか? 急を要するのだ。
ジェラール「いきなりシリアスになるなよ (汗
レオンの元へクジンシーが危険な存在だと知らせたあの女魔導士。ヴィクトールの遺言が確かであるならば、ヤツが放つ一撃必殺「ソウルスティール」に対抗する策はあるのか。
それを確かめるべく、レオンは女魔導士オアイーブを召還せよと命ずる。
兵士が去ってから何度この台詞を吐いただろう。レオンは自分の中にクジンシーを確実に葬り去る呪いをかけるかのごとく、100回以上自分に言い聞かせた。
レオン「たった今、我が精神にクジンシー殺害の暗示を施した。今からはワシは血も涙も無い殺戮マシーンとなろう。
オアイーブ「ドラマの練習中悪いけど、入るわよ?
レオン「ん、確かに『北バレンヌ随一のイケメン皇帝レオン』とは私のことだが・・・ 何か用か?
オアイーブ「部屋を間違えたかしら (汗
レオン「単刀直入に言うぞ。ヤツをぶちのめす方法を教えろ。
オアイーブ「ソウルスティールね・・・。
レオン「どういつもこいつも、なんなんだそのソウルなんちゃらは!! 反則技ではないのか!!
レオンはヴィクトールの命を簡単に奪い去った技の名前をイマイチ覚える事ができないようだ。トラウマであろうか。
レオン「して、どうやってそのソウルなんちゃらを攻略するのだ?
オアイーブ「だからソウルスティールだってば。
オアイーブはレオンにクジンシーを確実に葬り去る方法を提案する。 だがそれは、もう一つの命を犠牲に成り立つ方法であった。その命とは・・・。
レオンはその案に若干の疑心を抱きながらも心置きなく承知した。
レオン「ワシはやると決めたらやる漢。クジンシーめ、目にもの見せてくれるわ!! ハーッはっはっは!!
オアイーブ「大丈夫かしら・・・
ジェラールもまた、レオンと同じ思いであった。生まれてからずっと一緒だった憧れの兄。楽しかった日々、一緒に切磋琢磨した日々、その思い出が一瞬にして過去のものとなり、二度と来ない現実。
ジェラール「ちくしょう・・・俺のファイアーボールで兄貴をサポートしていたら戦況は絶対に変わっていたはずなんだ・・・。
ガチャ!!
ジェラール「!?
レオン「残念ながら、お前のファイアーボール一つでどうこうできるような相手ではないぞジェラールよ。ヤツを侮るでない!!
ジェラール「クジンシーの存在自体を全く覚えてなかっただろ。
レオン「言うな。ジェラールよ、弔い合戦だ。ヴィクトールの仇を打ちに「ソーモン」へ向かう!!
ジェラール「・・・ああ!!
レオンにダメだしを喰らい、若干テンションが落ちたジェラールであったが、この時ジェラールの中で何かが変わった。
ジェラール「スカートめくりなど、もはやそんな悠長な事を言っている場合ではない。もっと大きな目標を持たなければ!!
レオン「お、お前・・・そんな目標で戦っていたのか・・・汗
ジェラールの衝撃発言により驚きを隠せなかったレオン。だがこうも思う。
レオン「ワシに似てきたなぁ・・・。
テラスでしばし思いに浸っていると、ジェイムズ達が支度が出来たと伝えてきた。
レオン「行くか・・・。
こうして、ヴィクトールの死によってクジンシーと対決せざるを得なくなったレオン達は、やつが支配している「ソーモン」へと指標を向け出発した。
次回は「ソーモン〜クジンシーとの対決」へ続く。