ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

【創作】ファンタジーRPGの曲を作りたい!私が『フリー音楽素材サイト』を作った経緯

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Art by  Wallpapers Free Online

「ファンタジーRPGの楽曲を作りたい」

最近当ブログにそのような検索ワードが見受けられたのですが、私も3〜4年前、作曲を本格的に始めた時に同じことを考えていました。

やはりRPGの音楽が好きなので、どうやったら作れるのか疑問を持ちました・・・が!

しかし、探してもそんな方法はどこにありません。

それもそのはず、何を持ってファンタジーなのかは各々の感性や経験で異なるもの。 

私は自身が運営している音楽素材サイト「音の園」に、自作したフリーで使える色々なBGMをアップしているのですが、ファンタジーRPGをイメージした楽曲も多数あります。

今までサイト以外含め300曲以上の曲を書いてきて、自らファンタジーRPGとして選定したカテゴリー枠としては100曲にも満たないのですが、今でも私の作曲欲の根底にあるジャンルはやはりファンタジーRPGです。

私が音楽素材サイトを作ったきっかけとなったのが、記事の後半に紹介するファンタジーRPGの楽曲制作でした。

これまで作曲してきた経験を元に、素材サイトを作るに至ったきっかけでもある、ファンタジーRPGの作曲に必要なこと、考えていたことを中心に雑記を書いてみたいと思います。

目次

「RPGの曲を作る」と言うことを今一度考えてみる

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Art by djandyw.com

私は自分が大好きなゲーム音楽、特に「RPG」に関しては夢がありました。

「いつか一つのRPGの曲を全部作ってみたい」

ゲーム音楽、特にRPGが大好きで作曲を目指す人なら私のように考える人も多いと思います。ファンタジーかどうかはまた別の話にはなりますが、RPGと言えば王道はだいたいファンタジーな世界観、というイメージがあります。

今回書くことは、このような憧れや夢を「職業や仕事」にすると言う規模ではなく「創作」と言う観点考えてみます。

なぜなら軽く考えてみても、仕事で一つのRPGの曲を1人で全部任される人と言うのは相当な実績を持っている人。まずプロは前提。

すなわち、ゲーム会社に就職していて開発してる人、もしくはしていた経験がある人などが対象になってくると思います。

何十曲を全曲、という企画はほぼない

今だと一つのゲームの曲を複数の作曲家に発注するパターンが多いと思いますし、実績のあるフリーランスの方でも携われるのは数曲、と言う形が多いようです。

すると2〜30曲全部作る、と言う手段、企画は自ずと限られてきます。

例えば、すぐ思いつくものだとRPGツクールなどの創作ゲームで任さられる、もしくは全部自分でやる、と言うパターンが一番現実的ではあります。

それでもゲーム自体の完成も含めて作りきるのは大変だと思いますが。

ゲームも作れて曲も作れて、それにあてる時間と熱意がある非凡な人もいますが、いずれも莫大な時間が必要になります。

ゲーム会社のサウンドクリエイターでさえ、自分がやりたいタイトルが回ってくることは殆どない、と言う話はよく耳にします。ましてRPGなんて人気のカテゴリー。

上記のように、フリーランスで数曲、と言う関わり方をするパターンはともかく、プロでさえ作りたいジャンルが出来ない状態なので、趣味程度か副業くらいの収益化を目指している人にとっては「仕事で全曲」は少し現実的ではないと思います。

創作であれば実現できる可能性が高い

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Art by Ventry

ただそれは、あくまで「仕事で」の話であり創作であればまだ実現可能、夢があると思いますし、今はそのようなツールやネット環境が揃っています。

必要なのはやはり「時間」です。

まともに働きながらさらに好きなことをやる、と言うことは本当に大変ですし、では自分が出来そうなレベルの表現は何だろう、これを考えて見るのも大事だと思います。

と、前置きはここまで。

ここまではファンタジーRPGと言うジャンルの開発期間、規模、などがやはり他のジャンルと比べて「敷居が高いもの」と言うことを今一度確認する為に書きました。

(もちろん短編や長編、クオリティ、分業するかで規模や制作時間は異なるかもしれませんが)

私は、それにただ単に憧れを抱いてましたが、現実を直視する、と言うことは作り手にとって必要なことであると思っています。

空中分解、自然消滅、開発断念という問題はそこら中溢れています。

「自分が表現できる切り口」を探すということ

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Art by FusionFXs

よくゲームを作りたい、と思って何も形にしていない時、FFやドラクエのようなRPGを体験している世代としてはそういうレベルのものを作ってみたいと憧れます。

もちろんそれは素人には難しいのですが、好きな作品が憧れの根底にあったりするとそういう世界観の音楽や作品を作りた、という欲は少なからず出てきます。

そこで叶わなくとも、せめてこんな感じに近いものにしたいなぁ、などと表現においても切り口を変える必要性が出てきます。

私の場合、例えばそのイメージするゲーム自体を作るわけではないので、あくまで音楽を聴いただけで一つのRPGの世界観を感じさせたい、そしてそれはゲーム音楽らしさの表現性を忘れたくない、となり、ではゲーム音楽の要素ってなんだろう? 

そのように考えていきました。

それが曲がループするようにするとか、オープニングやバトル、街のテーマ、ダンジョン、そういった複数の曲を構成することだったり、楽器の使い方やRPGらしいフレージングというものはどんな感じなのか、改めてそういった要素を考えます。

話が少し脱線しましたが、

ようはファンタジーRPGの世界観を表現したい、だけどゲームは作れない、ではどうやってそういったものを音楽で表現するか、そういった切り口ですね。

例えばドラクエ1のような規模のRPGを表現したい、なら8曲だけで世界観を表現する、これも一つだと思います。

私は欲に負けて20曲以上も作りたいとなってしまい、結局収集がつかなくなってしまいましたが、それがこちらの記事でも書いた「成長することで表現の欲が出てくる」という話です。

作曲を振り返って【制作期間の必要性と完成させる重要さ】 - ゲーム音楽の巣

よくゲームを作っている人には身に覚えがある話ではないかと思います。

「エターなる」という言葉がありますが、文字通り、製作していると自分の技術が上がってきてしまい、もっとよくしよう、大きくしよう、と収集がつかなくなりまとまらずに完成させれない現象です。

私はそれを回避すべく途中で考え方を変えましたが、危うくそうなるところでした。

フリー音楽素材におけるRPGの選曲で思うこと 

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Art by ZedLord

フリーゲームでもRPGは短編、長編で色々ありますが、一つ言えることは「短編でさえも、まともなクオリティにするには相当な熱意と時間が必要」です。

つまり、長編などは趣味で作るにしても色々な意味で上級者向け、と言えます。

最後まで作りきる力はもちろん、構成力、演出、バグ、素材、システム、ストーリー、そしてプレイヤーに「最後までやらせるテンポを作り出す」こと。

途中でダレないゲームを作るのは大変だと思うんですね。

話を音楽に変えます、、

そんなフリーのRPGをプレイしていて思うことは「フリー音楽素材の存在」です。

当然ですが、BGM素材ですので、ゲーム全体からすれば「パーツ中のパーツ」なわけですよね、他にもシステムやマップ、絵やSEなど色々ありますし。

うーん、色々書きたいことがあってまとめるのが大変なのですが、、、w

RPGは色々なシーンがあります。

それは普通に作っていても色々な楽曲が必要になります。場所を表現する曲や、キャラの感情を表現する曲、状況を演出する曲。

そこから、物語や世界観によってもあらゆるジャンルの曲調が必要になります。

ファンタジーRPGだけど、民族的な音楽、アンビエント、和風、中世、コミカルなど。

それらを色々なフリー音楽素材で選出するだけでも大変であり、ましてそれを1人の素材屋の作曲者が全て用意するのもかなり大変、、、と言うかやってる人ほとんどいません。

「魔王魂」さんくらいかな、とw

音楽素材サイト紹介『魔王魂』 - ゲーム音楽の巣

ストーリー音楽でどうにもならないパターン

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Art by dempatchs

音楽素材は、それぞれの作曲者が自分の得意なジャンルを作っていることが多いです。

例えば、前述したように、一通り必要な音楽を用意するのは大変です。

それは下手をすると中途半端なラインナップになり兼ねませんし、クオリティにもばらつきが出る可能性があります。

なので、イベント曲中心、バトル曲は任せろ、ピアノやヒーリング系だけ取り扱う、オーケストラ曲だけ作る、和風だけ極める、ロックや激しいサウンドを中心に用意する、クオリティを抑えて種類と数で勝負、など本当に色々な素材屋が存在します。

ゲーム作りで音楽素材を求める側は、完成しているシーンに合わせて音楽を探す場合、基本的に「まずシーンに合うか、もしくは使いたいと思うか」で選曲、探すことになると思います。

それ以外に最近聞いた話では、中には曲を聞いてからその曲に合うイベントやこんなシーンを作りたい、と想像力を掻き立てられる、そんな曲やパターンもあると聞きました。

それと少し関連した要素の話で、、

ストーリー音楽でどうしても必要になるものが「テーマのアレンジを施した曲」です。

わかりやすく言うと、メインテーマのアレンジが、キーやジャンル、楽器を変えたアレンジを経て登場する、と言うもの。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

これはゲームだけに止まらず、アニメやドラマ、映画などでもよく聴けると思います。

フリー素材では「それをやるのが基本的に難しい」と言うか、依頼じゃないので実現はほとんど無理です。

よくて、そのサイトさんがそのアレンジ曲を複数用意しており、ゲーム製作者側がそれに合わせてイベントを作る、くらいが限界だと思います。

フリーゲームにどこまで表現したいか、と言うことも当然ありますが・・・

やはりそれを実現しているゲームは、それだけゲームの世界観に深みが増すのでイベントの演出などでもプレイヤーに与える印象は強い、と思っています。

そして、私はそういう音楽の作り方が自分でゲームをプレイしていても、特に感動する要素だと感じています。

いざ、ファンタジーRPGの作曲をやってみて

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Art by jesus

私の経験上、RPGの音楽を作るのは、実は想像以上に難しいと言うことでした。

作ってみたい、と思ったところで、オープニングとバトル、街の曲を書いてみて終わり、ではありません。それらは質はともかく意外と頑張れば出来ます。

問題は、本当にそこから様々な音楽を作っていく、ということ。

実際、まだ作曲を本格的に開始していなく、イメージだけで憧れていたとき、そういったRPGの音楽を作るのは楽しそうだな、と思っていました。

しかし、いざ作ってみると苦難と実験、研究、忍耐、検証の連続でした。

一曲完成させるたびに新しい表現出来たことが嬉しく、そして楽しく、発見、充実、曲が増えていくことが楽しくて今もこの活動を続けていられます。

ですが、これはあくまで依頼でもなく、フリー音楽素材として好きに作っても良い、と言う状態であるにしても相当難しいわけです。

自由に作れるのに難しい。

単純に、まず普通に何十曲と作る、と言うハードル。

色々なジャンルに挑戦する熱意。

シーンと一致するかの検証。

そしてあってるか間違ってるか、人が聴いたらどう思うんだろう、という疑問と不安。

自信を持つことが大事なのか、自分よがりなのか、音の選択やエフェクター、リバーブの加減、トラック数、オートメーション、楽器の使い方は正しいのか、など。

今では「そんなの別に自由にやればいいんだよ」と言えることでも、当時はそんな作曲初心者にありがちな悩みを抱えていました。

で、そういう表現することにおいての初期の悩みは全てこの段階で吐き出しました。

自分の得意なジャンルを再考するきっかけ

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Art by InvaderXan

繰り返し、一通りのRPGで使う音楽を用意する、それはとても大変だと分かりました。

なので自分が作りやすい曲や、またはバトルだけ、街や洞窟、遺跡などダンジョンの曲だけ中心、など、多くの人はそういった作り方になっていきます。

文字通り、素材屋として得意分野に徹する、という。

色々作る問題の一つとして、色々なジャンルを作るので、正直一回か二回しかそのジャンルを作らない場合が多く、すると作り慣れてないのでクオリティが安定しない、まとまらない、と言うことが発生します。その代わり視野は広がります。

(それは音色やトラック数、どの程度のクオリティを求めるかにもよりますが)

私も色々作っていますが、まだまだ足りません。でもいろんな曲を作りたいし、一通りは揃ってまっせ、と言うのを目指したいんですよね^^;

そんな目標のもと、活動を続けています。

私が初めて作ったファンタジーの世界観

ファンタジーRPGの音楽を作りたい。

言ってしまえば、難しく考えずに「これがファンタジーRPGの曲だぜ」って感じで勝手に作ってしまえばいいのです。私はそうしました。

ただ、一曲だけでRPGの世界観を表現するには今の技術では無理があるな、と。

そもそもRPGで出てきそうな色々な曲を作りたいのだから。

そこで私は、使う音色をある程度決めて数十曲を作り「複数の曲ひとまとまりでまずファンタジーの世界観を作ってみる」と言う「切り口を目指しました。

それがこの DECISION と言うアルバム。

初めての挑戦で RPG で必要になる曲が色々と抜けていますし、コンセプトによっては必要でない曲も中にはあったりと難しかったです。

自然と作っていて、特にイベント曲を作るのは自分にとって難しいと分かりました。

コミカルな表現やサスペンスな表現は、心から笑わせたい、そのようなユーモアなセンス、悲壮的で残酷な表現は、現実で経験することが難しいゆえ、想像力が求められます。ドラマの劇伴などを見るなどの研究心も必要だなと。

振り返ると反省点が色々出てきました。

しかし、それは私が一定の期間で作りきれなかった結果であり、また、それでも一つの世界観として音楽だけでも完成とさせたい、と言うゴリ押しで作った結果です。

当時の断片的な思いをこの記事で書いてます。

andy-hiroyuki.hatenablog.com

最後に

「ファンタジーRPGの曲を作りたい」

そう思って実際に作ったら、この記事で書いたような悩みや課題、そして自分の実力、得意不得意、今できる事できないこと、などの反省点など、本当に色々分かりました。

そういう意味で、とにかくまず自分で曲を作ってみる」ことが大事で、その一曲がその後の自分が表現したいことに繋がるキッカケの一つになる可能性は高いのです。

作曲を始めた素人が、ゲーム音楽が好き、と言う熱意だけでやった結果なのですが、私はそれに納得しておらず、この後、音楽素材サイト「音の園」を作りました。

そして、作れなかった曲や表現したいもの、それをなるべく一定の需要に添えるように想像して作っていく、と言うことを意識して活動を続けています。

作業ペースは本業との兼ね合いもあり難しいですが、とにかく継続が重要なので、それと戦いながら活動している、と言う感じです。

というわけで、ファンタジーRPGの曲を作ってみたいなら、自分で妄想して妄想して、そのゲームの世界観を音楽で表現してやる、と言うくらいの熱意で臨むべきかなと。

私は作っていた当時、もはやそのファンタジーRPGの曲を作る、という作曲行為自体が自分にとって「冒険、戦い、あるいは喜び、苦難であった」のです。