ゲーム音楽の巣

フリー音楽素材サイト「音の園」の管理者及び作曲者。このブログではキーボーディスト、ゲームミュージックの作曲を中心に音楽雑記を書いています。健康第一。

ミニマリズムだったゲーム音楽、あるもので工夫する考えを忘れたくない

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はい、最近とても面白い書籍を買いました。

 

これ

チップチューン界隈で顕著な hally こと、田中治久 さんの書いた『チップチューンのすべて』という本。

 

発売がアナウンスされてから予約して最近届いたのですが、、、、

「マニアックすぎる!!」

 

私はファミコン音源、音楽が好きなくらいで大体その辺りを少しかじっている程度なのですが、そのレベルでこの本を取るとマジで書いてあることが10%くらいしか理解できません (いい意味で)

 

チップチューンのすべて、と書かれているくらいなので、その内容はゲーム音源だけにとどまらず、チップチューンの歴史や発展、国内外のチップチューンアーティストの活動やインタビューも含めた多岐に渡る内容となっています。

 

で、やはりファミコンのゲーム音源である「PSG音源」や、それ前後のPCサウンドなどにも当然ながらマニアレベルで徹底的に書かれている本書。

その中にすごくグッっときた言葉がありまして

限定された機材や環境であっても、ポジティブに活用していけば新しい音楽スタイルが生まれうる。

ゲーム音楽はその意味で、同時代的なミニマリズム音楽の一形態であったとも言えるだろう。

ここですね。

チップチューン

チップチューンは、ファミコンやゲームボーイのBGMで使われている音で作られた音楽ジャンル、なのでファミコン音楽ではないんですよね。

YMCKさんとか分かりやすいかも。

まぁ、今日はチップチューンについて書きたいわけではないのでこのへんで・・・。

ミニマリズム音楽

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で、ここで言うミニマリズム音楽は、いわゆるミニマルミュージックのことでは無く、一定の制限の中で新しいものを生み出すと言う意味。

それが上記したファミコン音楽、チップチューンの発展にヒントがあると思いました。

今の時代、最先端のゲーム音楽は豪勢な音色による迫力のあるサウンド、映画と大差ないようなレベルのものとなっています。グラフィックもそのレベルなので、音楽もそれに追従していると言う感じですね。

一方で、昔はグラフィックは簡素で音楽もシンプルなものでした。

しかし、シンプルと思っていただけで実はその内容と工夫はすごいものだったと思うんですよね。それは当時では認識されてなかったことですが。

まぁ、どちらがどうとではなく、属性が違うだけですが・・・人がそれにかける創意工夫や情熱と言うのは姿が変われど、やはり興味深いです。

あるもの、制限の中で工夫する楽しみ 

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今って色々な音楽機材が出てるじゃないですか。

音楽を作るのに、楽器が弾けることが前提となっている考えはすでに古いと思いますし、弾けなくても作り出せるように考えられて作られた機材は多いです。

音楽を豊かに表現するには感情も必要だと思いますが、コンピュータミュージックとなるとやはり音楽って数学的な部分が強いと思うんですよね。

ファミコン音楽も今のように DAW のシーケンス画面があるわけでも無く、イベントノート、数値で入力していくと言うレベルだったみたいなので、今それをやれて言われたら出来るでしょうか・・・まぁ時代なので当時はそれでやるしかなかっただけ、と言えばそれまでですが。

音を聴いてのトライアンドエラーは同じですが、その工程や材料を考えると、手元にあるものだけで創意工夫する、と言うものがどれだけ奥深いかを思い知らされます。

小さな違いを聴き分ける楽しみ

限られた音色や機材で作るものって、その細かい違いが分からなければどれも似たようなものに聴こえます。

その中での小さな違いを楽しむ、昔のゲーム音楽ってそう言う部分あったと思うんですよね。音が似ているからメロディとか展開とかリズムとか。

昔は各社が作る音楽に敏感に反応してたようなので、機材や音源がほとんど一緒だと「どうやって作ってるんだこのサウンド」とかなったりしたんだろうな。

ディスクシステムからDPCM、スーファミあたりからサンプリングで差別化も出来たようですが、ゲームの快適性を優先して内蔵音源だけで作っていたり。

今は音源やエフェクトだけでも数え切れないくらいあって、しかもそれが簡単に手に入る時代。

言ってしまえば、それだけですでに差別化してます。

もちろんそれが良い悪いではなく、楽しみでもあるのですが、自ら制作に制限を施す、と言うのは何か新しいものが生まれる可能性があるかもしれません。

やはり人間、制限されると工夫しますから・・・。

最後に 

新しいものをどんどん取り入れていく姿勢も大事ですが、だいたい人って熟練してくると、自分のスタイルが出来上がってるので無闇に機材とか環境変えないじゃないですか。

試したり取っ替えるにしても、ベース環境があった上でサブでそれを行いながら、スタイルにハメていけそうな手段だけ取り入れていくと言うか。

それはその人が、少ない時間で自分の力を最大に発揮出来るから、だと思うんです。

そう言う部分見習いたいし、あるもので工夫する、って言うのを忘れたくないですね。

この本に書かれていることの本筋や、伝えたい事はそういうことじゃないと思いますが、ゲーム機からの音楽発展していく様を読んでいたら、そういうのも大事だなって。

気になる人はぜひ手にとってみてください。

ここで書いたこととは全く関係ないレベルでチップチューンに関する色々なことが書かれています。

とくに昔のゲーム機、音楽の時代背景がすごくよく理解できるのが素晴らしいです。

また別記事でちょっと書きたいですね。